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ヘルスケア分野と異業種との境界領域最適化

医工連携事業化推進Consulting for Healthcare Business Creation

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Five Forces Analysis

 ファイブフォース分析とは、分析手法の1つです。

 5つの競争要因(脅威)から事業性について分析します。

 事業のウィークポイントを見つけやすく、戦略も立てやすいというのが特徴です。

 市場を全くしらないと脅威の推定や仮説を立てらないので、業界に明るい人が関わる必要があります。

 医工連携では医療・医学からみた脅威と、産業界の技術革新といった脅威が複雑に関係するので、双方から意見を出し合う必要があります。
 既に陳腐化したコンテンツの焼き直しであれば、医療側だけで議論できる事案もあります。


西謙一: 医工連携の実際〜メーカーとの関わりと臨床工学技士の役割 (京都府臨床工学技士会キックオフセミナー・2017年12月3日)





研修会、承ります

 Five Forces Analysisの活用法などについて研修会を承ります。

 弊社提携先から優秀人材をご用意いたします。

 医工連携に特化したワークショップなどは弊社人材が対応します。





5つの競争要因

1.新規参入の脅威
2.売り手の圧力
3.買い手の圧力
4.代替品の脅威
5.業界内の競争





1.新規参入の脅威

 新規参入が増加すると既存シェアが奪われる可能性があります。

 医療機器には薬事法という規制、医療独特の商習慣、生命に関わるという高度な安全管理など参入障壁があることが既存メーカーの守りの擁壁であり、攻めの一手でもあります。
 そこに近年は新規参入企業が散見されるようになり、既存メーカーからみれば新規参入の脅威が急増していることになります。

 新規参入者が限られた市場(需要)を奪い合うのか、新規需要を創出・喚起するのかで業界規模も変動します。



一般市場での参考例

 楽天が携帯電話事業者としての周波数を申請、NTTドコモ・au・Softbankの3社寡占市場に『新規参入』することになりました。

 携帯電話料金が高止まりしていると総務省から指摘を受けている中で、政府主導ではなく民間主導で低価格化されることが期待されます。

 官房長官も記者会見で『市場の公平、公正な競争を通じ利用者にプラスになるような料金やサービスが実現することを期待したい』と述べ、新規参入が市場に与える好適影響が示唆されました。

 楽天は他にも新規参入を仕掛けており、睡眠やペットなど多くの国民生活に密接に関わる分野を中心に、保険や仮想通貨など金融系にも参入しています。

 既存の携帯事業者も状況は変化しており、昔は音声通話が主体であった通信も年々発信回数・通話時間ともに減少しており、ポケベル⇒メール⇒LINEと変遷したように文字や画像での連絡が中心となる中で、インフラとしての通信網に付加価値が必要となっています。

日本経済新聞:楽天、3社寡占にくさび 携帯事業、価格競争に期待(2017年12月15日)
日本経済新聞:楽天、損保に参入_顧客データ活用_野村系を買収(2018年1月29日)
日本経済新聞:楽天が仮想通貨参入 決済需要に狙い LINEは独自通貨(2018年9月1日)
総務省:通信量からみた我が国の音声通信利用状況 平成28年度の利用状況(2018年1月31日)





2.売り手の圧力

 医療機器メーカーの競争が少ない場合は調達側が弱く、業界(医療機関)からみての脅威がメーカーになります。

 元々供給側に立つ企業自体が少ない医療業界において、メーカーから見れば原材料卸や技術提供者が脅威になります。
 特に日本では治療用機器開発における材料調達・部品調達は安易ではないことが多々あります。

 山間部や過疎地など物流の悪い地域などでは納入業者が少ないことから、メーカーだけでなくディーラー等も医療機関から見ての脅威となることがあります。



一般市場での参考例

 ネット通販の普及により個人宅への配送が増え、物流業界は慢性的な人手不足となりました。
 それでも物流量は減ることはなく、2017年にはヤマト・佐川が値上げしたことで物量を減らすことができ、同時に利益は増える結果となりました。

 アマゾンや楽天などネット通販大手は"送料無料"が魅力であり、そこを死守しなければ店頭販売との競争力にダメージを受けます。
 アマゾンは有料のPrime会員制度により、会員優待として送料無料を維持する仕組みを維持しています。

 意外にもダメージが大きかったのが出版業界でした。
 Kindleなど電子ブックが普及し紙離れが進む中で苦境にあった出版市場ですが、製紙業や印刷業ではなく物流業の影響が及びました。


日本経済新聞:アマゾン、配送代行値上げ(2018年3月1日)
日本経済新聞:ゆうパック、年末綱渡り ヤマト・佐川値上げで荷物集中、遅配の懸念 (2017年12月12日)
日本経済新聞:物流危機が迫る出版改革 雑誌の発売日分散広がる 配送撤退、電子化を後押し (2018年1月24日)
日本経済新聞:17年出版市場 減少幅最大に 書店、生き残りへ再編 丸善ジュンク堂 直接取引を開始 (2017年12月26日)


医療と物流

 上記の物流の影響は医療業界にもじわりと出てきています。

 消費増税(5%⇒8%)の際に診療報酬は上がることが無く、消費税がかからない医療は実質的に仕入れ値が上がったことになりました。
 物流コストも上昇が続いていますが、診療報酬は一定のままなので、誰かが差額を負担しなければなりません。

 筆者が透析施設の技士長を務めていた際、納入業者さんとの価格交渉で物流費が課題となりました。
 透析は回路、針、処置セットなど商品種類が少ないので病院職員が取りに行っても良いかなと考えました。病院には透析患者送迎用の車両が数台あったので、空荷で車を走らせるくらいならどこかの倉庫に立ち寄るのもアリだと思います。





3.買い手の圧力

 医療機器の場合の購入者は医療機関に限定されるといっても過言ではなく、例えば注射針や放射線装置など医療機関以外で購入されることは稀です。

 医療機関以外では買えない、買う必要のない商品を扱う医療機器メーカーにとって医療機関は脅威です。

 さらに、診療報酬(国民皆保険制度)という限定的な資本で業界が稼働していることも日本の医療の特徴です。
 日本では保険収載・診療報酬改定で一喜一憂します。



一般市場での参考例

 高度経済成長を支え『いつかはクラウン』と自動車を保有すること自体がステータスであった世代も高齢化が進み免許返納、自動車を持つ必要がなくなってきました。

 運転免許を取らない若者が増え、自動車への関心が薄くなる中、自動車の販売は落ち込んでいます。

 週末に家族で大量の買物をするという姿も減り、ネット通販で毎日が買物のチャンスになりました。

 車を運転する人たちも保有から利用へとシフトし、カーシェアはビジネスマンも学生も利用する普遍的なサービスとなりました。

 買い手が求める自動車像が変化する中、自動ブレーキは商用車と高級車を中心に普及し、今では大衆車にも標準搭載されるまでになりました。
 次はAI搭載の自動車、自動運転車と変遷します。車体は老舗メーカーに高い信頼がありますが、機能面では新規参入組がマーケットイン型の戦略で進出してくると思われます。すでにトヨタはアマゾンのAI搭載を発表し、ソフトバンクとの協業も進めています。


日本経済新聞:国内新車販売 500万台割れ 今年見通し、5年ぶり低水準 車離れ追い打ち (2016年6月19日)
日本経済新聞:所有からシェア トヨタ手探り 車定額乗り換え 売り切りモデル 転換 世界市場38兆円へ シェア経済、あらゆる分野に (2018年11月2日)
日本経済新聞:車課税『保有から利用へ』 抜本改革を明記 与党税制大綱 (2018年12月12日)
日本経済新聞:免許返納、呼び水効いた 昨年度、都内2.7倍 運転経歴証明書、無期限に/店など特典拡大 (2013年6月5日)





4.代替品の脅威

 既存商品と同じ役割・効果効能・診療の結果が得られる代替品の登場は価格や需要の変化を招きます。

 フィルムからPACS、伝票からオーダリングシステムとアナログ⇒デジタルに変遷し、IT化は多くの商品・サービスと競合し、淘汰された商品が無数にあります。

 今後は再生医療が医療機器や医薬品を代替することでしょう。



一般市場での参考例

 電気自動車を運転する側から見れば『静か』『ガソリンスタンドに行かない』などの違いで、移動手段としては大差がありません。

 しかし業界ではエンジンがモーターに代わることで大きな変革がもたらされることになります。
 アイシン精機の社長は『トランスミッションやエンジンなどが全てなくなると1兆円近い売上高がなくなる。うかうかしていられない』と述べています。

 エンジンは燃料を爆発させてピストンを動かすといった機構のため、動きの良いピストン、燃料を効率よく噴射する装置、点火する電極、高温や振動に耐える金属、爆発音を抑制する消音機など様々な構成要素がありますが、これらすべてがモーターには不要になります。

 自動車好きの人なら誰もが知っているブランドも、業態変容しなければ消えるリスクがあります。
 フジツボといえばマフラー、カストロといえばエンジンオイル、20年後はどのような市場規模でしょうか。

 自動車は市場がワールドワイドなので、世界中からエンジンが消えることはないと思います。
 一方で和室は日本独特、畳は日本の住宅からも消えているので、いずれは極小市場になることでしょう。電卓が普及してそろばんの需要は減りましたが、知育として生き残りができています。何か工夫が必要そうです。

日本経済新聞:アイシングループ、EVシフトに備え 2社の新社長ら会見 (2017年8月25日)
FUJITSUBO





5.業界内の競争

 市場が成熟し差別化が難しい、同業者が多い、成長速度が遅い場合に敵対関係が激化します。

 独占市場はほぼ存在せず、何らかの形で競争・競合は存在します。

 もし何十年もほぼ変化や成長が無い商品があるとすれば、それは規制が厳しい商品であるのか、談合が慢性化しているのか、何かが偽装されているのか、なにかウラがあるかもしれません。
 値引き競争やサービス競争が起こるのは市場原理からみれば自然なことです。無い方が不自然です。

 ただし、医療の場合は公定価格ともいえる保険制度の"償還価格"や"薬価"などがあります。
 全国一律で統一価格表を使うため、地域や病床規模での格差はほぼありません。
 概ねいくらで卸しているかを調査されて償還価格が付くため、価格に関して大きな競争が生まれない商品が多数あります。




一般市場での参考例

 コンビニはセブン、ファミマ、ローソンの3社で市場のほとんどを占めていいますが、出店数や立地の競争が一段落したいま、サービスや品質の競争が激化し消費者にとっては良い傾向になっています。

 美味しいコーヒーが100円で飲めるようになったのもここ数年、イートインコーナー設置やトイレが使いやすくなるなど店舗改装にも力を入れています。

 近年は異業種との共同出店やエキナカ・院内コンビニも増加しています。
 ドラッグストアやコインランドリーとの併設店舗は郊外を中心によく見られるようになりましたが、今後はオンライン服薬指導が普遍化することで調剤薬局の機能代替や行政手続き、生命保険契約などあらゆるサービスがコンビニに集結する可能性は高いのではないかと考えられます。

日本経済新聞:コンビニ市場10兆円突破_昨年度本社調べ、寡占化一段と_大手3社、PB武器に成長 (2015年7月22日)
日本経済新聞: コンビニ出店ブレーキ 3社の純増数、5年で3分の1 異業種と組み客数増狙う (2018年6月10日)
日本経済新聞: 処方薬 自宅で入手可能に 2020年めど、在宅医療後押し (2018年12月25日)



一般市場での参考例

 日本で寡占状態の市場はいくつもあります。

 コピー機やインクジェットプリンタなどOA機器もメーカー名を挙げると数個しか出ないことがわかります。

 前述のコンビニのように寡占状態でも『買い手』が強ければ正常な市場原理の下にサービスや価格が適正に保たれます。

 医薬品は日進月歩なアイテムが多いため独占商品も少なくありません。
 本庶先生のノーベル賞受賞でも注目を浴びたオプジーボですが、開発失敗のリスクも含めて製薬会社が負担した開発費を回収するためには必要な価格設定と、額面上で高額であることを問題視する声とが同時に聞かれました。オプジーボには『代替品の脅威』が迫りますのでここ数年が勝負どころかもしれません。

 寡占状態でいえばインクジェットプリンタはエプソン・キヤノン・ブラザーの3社で100%に近い状態を長い間維持しています。企業努力により本体価格は家庭でも導入しやすい状況です。
 ただし、インクが高価であることが懸念材料でした。カラー全色で5,000円前後、消費量が多いブラックだけでも1,000円前後とランニングコストが高価でしたが、怪しい商品も含め廉価品が出回るようになりました。
 『買い手の圧力』と『新規参入の脅威』が作用した構図です。今後『代替品の脅威』としてプリントパックのような安価な印刷サービスが作用すると思われ、すでに名刺を内製化する動きは停滞しています。

日本経済新聞:シェア上位_寡占一段と_トップ3で過半、69品目_国内100品目_16年調査 (2017年7月23日)
日本経済新聞:化血研_110日間業務停止_代替品なく7割除外_厚労省_『厳罰』寡占で骨抜き (2016年1月9日)
日本経済新聞:薬価つり上げ_米で横行_特許切れ品・後発薬_寡占化_メーカー優位に (2016年3月1日)
日本経済新聞:ガソリンスタンド_3万か所、ピークから半減 (2016年3月1日)
Amazon:プリンタ用インクカートリッジ









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