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建築屋さんと在宅医療

在宅医療

 医療機関から見て院外、医療機関以外の居住場所で医療的ケアが実施されている状態を全般的に在宅医療と呼んでいます。

 概念的には医療従事者が常駐しない場所で行われる医療で、一般的には医療設備も整備されていないことが想定されます。

 院外とだけいうと道路上での卒倒やスポーツ競技のメディカルトレーナーなど広範になるため居住場所という表現をしています。

 居住場所は自宅のみならず、高齢者施設やグループホーム、サービス付き高齢者住宅なども居住場所になります。



建築屋の出番

 住まいがケアの実施場所でもあることから、建築屋が関わることになります。

 病院や高齢者施設は鉄骨やRC造の比較的大きな建物ゆえに専門の設計士やコンサルタントが関与し、また施主側も医療サービスに精通した人員で構成されているため完璧を追求した建設がなされます。

 一方で一般住宅は市中の工務店やリフォーム業者と患者との間で話しが進められて工事が行われる事が多いです。

 勝手かもしれませんが、患者さん側は建築屋さんを『プロ』として絶大なる信頼を寄せています。
 普通の住宅工事なら齟齬が瑕疵があっても手直し工事でフォローアップできますが、在宅医療となると生活だけでなく生命に関わることもあり得るので、簡単に片づける事ができません。





在宅医療を知る

訪問診療と往診

 簡単に言えば、計画的・定期的に患者宅を訪れて診療するのが訪問診療、患者側の求めに応じて患者を訪ねて診療するのが往診です。

 救急隊も患者の求めに応じて訪問しますが、往診には該当しません。応急処置や救命処置と呼ばれ、医療行為(特定行為)に及ぶ場合には医師の指示を受けて行います。

 医師による往診はその場で診断や治療指示(処方)が行われますが、救急隊は自己判断せず医療機関へ搬送して患者を医師に診せることが仕事です。



遠隔診療

 患者を『訪ねる』という手段が徐々に変化しています。

 ICTの高度化により世界中の人々がLINEやSKYPEなどでビデオチャットする時代であり、企業でもテレビ会議システムの導入は普遍化しています。

 わが国では2018年より『オンライン診療料』という保険算定ができるようになり、医療の現場にも徐々にICT化が近づいています。

日本経済新聞:遠隔診療_実験相次ぐ_生活習慣病、スマホ使い指導/降雪地帯、テレビ電話で支援(2018年2月12日)
厚生労働省:第1回情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会 資料1.情報通信機器を用いた診療の経緯について(2018年2月8日)
首相官邸:未来投資会議構造改革徹底推進会合『健康・医療・介護』(第2回) 資料2.遠隔診療の推進 (2017年11月15日)



訪問看護

 前述の訪問診療や往診は医師を中心に描かれていますが、病院でも多くの医療業務が医師以外の医療従事者によって行われています。

 医療従事者の中でも100万人超えの多数派である看護師は、それだけの業務を抱えており、医療の場が在宅にシフトしても需要は変わりません。

 訪問看護は看護師が患者を訪ねて医療行為をすることであり、血圧測定や採血などが想像しやすいと思います。
 人工呼吸器装着患者では装置の設定確認、チューブ類の正常性点検、患者の喀痰吸引など有資格者で専門性があるからこそできる業務も多数あります。

 訪問診療を行う医師と訪問看護を担う看護師は、同じ法人である必要がありませんので、必ずしも同僚であるとは限りません。

厚生労働省:社会保険審査会 第142回介護給付費分科会 参考資料2.訪問看護 (2017年7月5日)





在宅医療のプロフェッショナル

空席あり

 在宅医療において、医療のプロフェッショナルとしては医師や看護師が居り、在宅医療を専門とする診療所や看護ステーションも多く開設されています。

 しかしリハビリや栄養など少し外側へ行くと専門家が減ります。訪問リハビリテーションなど学術的にも拡大しつつはありますが、普及には至っていません。

 さらに医療の枠外となれば、もはや専門家不在の分野も散見されます。
 建築や設備などは、医療機関においても『建築の専門家』として従業する人は多くても『医療建築物の専門家です』と名乗る人は滅多にいません。

 在宅医療を支えるプロフェッショナルとして、建築業界からも『在宅医療の建築系プロ』を担う人材が豊富になることが望まれています。



空席を埋める人

 当面は建築系に従事している方々がホスピタルエンジニア認定などの検定試験を受ける方法で医療に近づいていただくことが近道であると考えられます。

 医療従事者より、建築系従事者の方が圧倒的に人数が多いです。

 自己PRのようになってしまいますが、筆者は建築系の職人として7年、臨床家として5年、医と工の境界領域で10年ほどの実務経験がありますが、非常に稀な存在です。恐らく今後も、医療界に入った人が建築職人を経験することは少ないと思いますので、前述のとおり建築系からの人材輩出が期待されます。



認定ホスピタルエンジニア

 受験資格はないので誰でも受けられます。

 この検定試験は日本医療福祉設備協会が主宰しています。その名の通り、医療設備・福祉設備に強みを持つ団体であり、検定試験もその内容です。

 この検定受験の利点は、受験者のための講習会があり、2日かけて詳しく解説してもらえる点にあります。

 受験者の多くが建築系人材です。

一般社団法人日本医療福祉設備協会(HEAJ):認定ホスピタルエンジニア(CHE)





現場での要求

対応力

 在宅医療現場、あるいはこれから在宅医療を始めようとする場面において、欲しい人材は『対応力のある人』です。

 患者は自らの病気の事についても素人、気がかりなのは今後の生活基盤となる収入やケアのこと。医療従事者は各家庭の住宅事情や建築工法などまでは深入りできない。行政も介護保険サービスなどは案内できても建築までは入れない。

 この状況下で、建築のプロが担う役割は、図面を書いたり設備を提案したりすることですが、その上に、ユーザーとなる患者に適した提案がなされるかどうかということです。

 畳敷の和室を療養部屋としようとしているときに、何が提案できますか。
 鉄製のベッドを置くうえで配慮は要りませんか。
 消毒や清掃は行き届きますか。

 臨機応変に、インプットされる情報への適切なアウトプットが求められます。



白衣の天使

 看護師の存在に癒されたり、安心感や親近感を持つ人は多いと思います。

 看護師の仕事は療養上の世話など、患者志向です。

 建築屋さんが患者のために動いてくれていないなと察知されれば、少々厳しい事を言われることもあるかもしれません。

 患者の良き相談相手が看護師であることは多々あります。患者のためになるとわかれば忙しい中でも質問に答えてくれるかもしれません。

 上手くお付き合いして、相乗効果を狙いましょう。





現場での仕事

コミュニケーション(ヒアリング)

 建築のプロとして、壁や床のリクエストは簡単に応じられることでしょう。

 療養住環境の場合、ADL(日常生活動作)や病状などが話題に挙がり、そこで使われる医療機器やサービスについても言及すると思います。

 トイレのリフォーム依頼であっても『脳卒中で右麻痺が残ったのでトイレを改装したい』との依頼にはどのように対応しますか。

 人工呼吸器を装着して退院するという患者宅に必要な物は想像できますか。
 ヒアリングの段階で良い質問ができないと、プランニングにてこずります。

 ときには英語で会話するよりも難しいなと感じるコミュニケーション。
 外国人と会話するくらいの意気込みで対応すると良いかもしれません。



プランニング

 計画や設計のプロでも、在宅医療・介護の専門家であることは少ないです。

 ベッド上での生活が長くなる居住者。天井の照明位置にも配慮が必要です。その照明もスイッチまで手が届かず、マヒがあればリモコン操作も一苦労です。

 段差解消や手すり設置などは慣れた方も多いと思いますが、内臓疾患に対しては経験が少ないのではないでしょうか。
 大腸がん患者の場合、化学療法・ストーマ装着・経腸栄養などが要素として提示されたとき、どのようなプランを提示しますか。



施工

 図面ができあがれば、いつも通りに工事します。

 医療機関内であれば制約も多いですが、住宅であれば在宅医療をするからといって特別な法規制は受けません。

 ただし、人工呼吸器のような医療機器については免許が無ければ操作できないため、機器にトラブルが及ばないよう安全に配慮した工事が必要です。

 小児の場合は先天的な難病などにより基礎疾患がある上に合併症を患っている事も多くあります。アレルギー性の疾患で化学物質に過敏であったり、視力がほとんど残っておらず壁も床もたくさん触って確認する子供など、工事中の清掃や仕上がりなど細心の注意が必要な場合もありますので、施工される方々には理解を求めましょう。



医療・介護・福祉系の工事でお困りの建築屋・工務店・設備業者・リフォーム業者のみなさま

 当社では専門間の翻訳サービス、企画や設計への助言サービス、施工の立会サービスなど各種サービスをご用意しております。在宅医療や介護について不安な業者様を全面的にサポートいたします。



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