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BCP 実績・事例

難治病対応国立病院様 | BCP実績 | NES株式会社

難病に対応する国立病院

特徴

 こちらの医療機関様の特徴は以下のとおりです。

  • 専門性が高い公立病院
  • 敷地面積6ha以上、新旧複数の建物が点在
  • 病床規模は300~399床
  • 複数のサブセンターを内部に設置
  • 緑地風致地域であり、寺社仏閣など歴史ある文化財も多くある地域
  • 半径10km圏内の人口は推計100万人超、ビジネスや観光も栄えているため昼間人口は更に多いエリア


難病治療の拠点

 神経筋疾患の拠点として長い歴史を持つ公立の医療機関です。

 災害拠点病院では無いため『災害医療』を担う必要性はありませんが、災害時に行き場を失った患者、特に神経筋疾患など自院の専門性や特異性が活きる分野の患者は受け入れていく必要がある医療機関です。



広域

 神経難病などを専門とする医療機関はさほど多くないため、都道府県ごとに数軒程度の開設、それぞれが抱える患者の居住エリアは一般の医療機関に比べて広域になります。

 したがって、自院を目指して来院する患者の道程には多くの障害があることが想定され、また他院のかかりつけ患者であっても遠路移動が困難となり、当院を受診する可能性があります。



花折断層

 内陸に位置する医療機関のため南海トラフ地震の影響は軽微であると考えられています。

 活断層による内陸地震の方が被害想定が大きいため、断層地震を脅威としました。

 その土地土地で、脅威とすべき対象が異なるため、毎回いくつかの提案を持参し議論させて頂いております。

地震本部: 三方・花折断層帯




BCP方針・戦略

脅威の定義

 当該医療機関における当社が依頼を受けたBCP上の脅威は『地震』としました。

 具体的には地元自治体が制作した地域防災計画にも想定されている『花折断層を震源域とするマグニチュード7.5の地震』を参考に脅威を定義しました。



提供すべき医療

 地域を見渡して特に自院の専門性の高いと考えられる医療を抽出しました。

 重要業務は何であるかを検討してもらいました。



患者想定(シミュレーション)

 かかりつけ患者を中心に数字を仮想しました。

 地域住民も『病院』というだけで駆け込むことを想定しました。

 当社にはシミュレーションした数値に基づき、後述する戦略や計画を策定しました。



BCP上の戦略と方針

 災害という非常事態にも屈せず医療機関として提供すべきサービスを継続するためには戦略が不可欠となります。




シミュレーション

かかりつけ

 急激な病状悪化は考えづらい疾患が多いかかりつけ患者ですが、人工呼吸器装着患者に関しては病態は不変であっても、装置停止が呼吸停止に相当してしまうため、重要業務・重要疾患として想定しました。

 その他も、疾患ごとに特性があるため、それぞれ検討しました。

刀根山病院: 神経筋難病災害時支援ガイドライン『在宅人工呼吸器装着患者の緊急避難体制』

東埼玉病院: 難病患者支援マニュアル7 あらためて神経難病の在宅人工呼吸療法を考える



外傷数

 災害時の徒歩圏を10kmとした場合、当院から10km圏内には数十万人の住民が居り、観光地やホテルが多いため瞬間的には数万人の一時滞在者が居ると想定されます。

 0.1%の人が重傷を負うとした場合でも数百人が同時に負傷、軽傷者を合わせれば数千人もの患者が発生することになります。



救急搬送

 先のシミュレーションで予想された外傷患者数は桁違いであることから、救急車が正常に運行していても台数不足になることがわかり、ウォークインで『近医受診』として当院にも患者が押し寄せるであろう予想が立ちました。

 先のシミュレーションで予想された外傷患者数は桁違いであることから、救急車が正常に運行していても台数不足になることがわかり、ウォークインで『近医受診』として当院にも患者が押し寄せるであろう予想が立ちました。




行動計画

大綱

 ヒト・モノ・情報などそれぞれについて非常時に何が起こり、どのような行動を起こすのかを書き込んでいきました。

 その行動に必要となる備蓄なども併記しました。



重要業務

 戦略策定時に掲げた重要業務に対する行動計画を立てました。

 例えば人工呼吸療法を重要業務とし、その継続を計画する場合、患者の安全が確認できたあとで装置の正常性を確認、次に酸素ガスや電源の確保を確認することになります。
 どれか1つでも欠落すると本業務の継続は困難となりますので、確認方法やバックアップ手段について深掘りすることになります。



職員参集と受援

 発災後に参集できる職員の数で、サービスの量・質が左右されます。

 関連病院が他県にもあり、居住地が病院から遠いスタッフが多いことが既知であったため、参集困難な職員が一定数居る事がわかりました。



情報発信

 災害時の情報収集は当然のこととして行われると思います。BCPにもその手段や頻度などを明記しています。

 当社では情報発信の重要性についてもご案内しております。


【参考】病院公式ホームページ災害モード




BCM

マネジメント

 BCPは計画です。希望も含めた内容を盛り込んだ文書であるとも言えます。

 その計画が最適に実践されるためにはマネジメントが必要になります。

 当社ではBCP策定のみならず、BCMについてもお手伝いさせて頂いております。



調整

 マネジメントの重要業務として各種調整があります。

 院内調整としては備蓄量の調整や職種横断的な役割分担など多種多様です。

 院外にも調整先があり、例えば市役所の水道局や交通局、医薬品卸会社や門前調剤薬局、同じ診療科を持つ近隣の医療機関も調整相手となることがあります。



訓練

 災害訓練に立ち会いました。

 訓練を実施することで課題が抽出できるだけでなく、スタッフの皆さんが自身の進捗を把握でき自信を持つ事につながる場合もあります。