カテゴリー
医工連携

Face Shield | NES

Simple holder for face shield

フェイスシールド用簡易ホルダー

 2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により不足した個人防護具(PPE)と呼ばれる医療物資。

 当社として不足を補う方法は無いかと考え、医工連携のネットワークからマスクやガウンなどの増産について各方面に依頼しました。

 生産を待つ間、内製的に何かできないかと医療従事者へヒアリングしたところフェイスシールドが不足し、事務用品で代用していることがわかり、その事務用品の課題も聴くことができました。

 3Dプリンタでホルダーを試作したところ、課題解決に寄与する可能性が示唆されたため、広く意見聴取するに至りました。

プレスリリース: 簡易フェイスシールド3D造形試作とデータ無償提供について (2020年4月16日)




ホルダー(フレーム)の使い方

完成形

 このホルダー(フレーム)はフィルムをホールドするための物です。
 そして、頭に装着するための物です。



準備

 3Dプリンタで造形したホルダー(フレーム)と、顔をシールドするためのフィルムを用意します。

 急場をしのぐ意味で事務用品を使う場合は、A4判の物をご用意ください。



スリットへ挿入

 ホルダー(フレーム)の半月状になっている部分にスリットがあります。

 このスリットにシートを挿入します。

 スリットは25cm以上ありますが、端へ行くほど狭くなっています。



抜け止めステープラー

 フィルムがスリットから抜け落ちないように、スリットからの出シロ部分にステープラー(ホチキス)を空打ちすると効果的です。
 2~3カ所で十分な保持力が生まれます。



ゴムバンド

 ホルダー(フレーム)の両サイドにある穴にゴムや紐を通して完成です。

 ゴムは4~6mm程度のパンツゴム用の平打ちゴムがちょうど良いですが、ゴムが弱く感じられる方は弁当箱用のゴムでも良いと思います。

 下図は二重リングを使って輪を大きくし、25mmのパジャマゴムを通してステープラー(ホチキス)で固定した事例です。
 ゴムは太い方が安定しますので、25~30mm程のゴムを通せると、より確実性が増すと思います。

[Link] Amazon: メガネストラップ

[Link] Amazon: 織ゴム(マスクゴム・パジャマゴム・パンツゴム)

[Link] Amazon: 二重丸環・二重リング



装着




ホルダの特徴

専用品も文具も使える

 文房具や事務用品を使う事もできるように配慮しスリット部は約28cmあり、A4判のラミネートフィルムやクリアホルダが入る様になっています。厚みにも配慮しています。
 事務用品ではなく、医療用のシールドであってもサイズが合えば装着できるため品薄状態が解消された後もお使いいただけます。


広い面でホールド

 半月状のバインド部は、A4判なら21cmの幅でホールドしますので、パンチ穴など点で支える物より安定し、脱落してしまうリスク低減を図っています。
 医療従事者から『落ちてしまったときが危険』と強く要望を受けていましたので特に注意しました。


小顔にもフィット

 額(おでこ)に当たる部分は柔らかく仕上げており、女性の多い看護師さんの小顔にもフィットするように配慮しています。


メガネや高い鼻にも対応

 バインド部とおでこのフィット部との間には数センチの空間がありますので、鼻が当たる事も無く、メガネを掛けていてもフェイスシールドとして使えます。


本体ごと落ちにくい全周バンド

 頭への固定方法はゴムバンド等で全周的に行います。
 ヘアバンド型で全周を囲っているため、耳にかける眼鏡フレーム型に比べて脱落のリスクが低いと考えています。
 ゴムバンドが使えるため、個人の頭の大きさに調整がしやすくなっています。


造形時間にも配慮

 3D造形する際、なるべく時間を短くしたいと思い高さを低くしています。1cm未満でありながら、おでこにフィットする程度の高さを残しています。

 世界中で様々なデザインが出ていますので、お使いやすい物をご利用なさると良いと思います。




医療従事者による評価(無償提供)

レビューを受付

 評価を希望する医療機関様、医療従事者様向けに評価用製品をお送りさせて頂きます。

 2020年9月30日で第一期の募集は締切ました。
 需給が安定したため本品のニーズは無くなったと思いますが、試用なさりたい医療従事者様にはお送りいたしますので、お気軽にお問合せ下さい。




寄贈

寄贈しました

2020年4月25日現在の造形進捗状況でした。これらは4月30日に大阪府立母子医療センターへ寄付しました。


2020年7月30日に生長会ベルピアノ病院様(大阪府堺市)へ2回目の寄付をしました。



協力のお願い

 私たちは、設計データを公開し、無償提供しています。

 私たちは、造形物を医療機関へ無償提供しています。

 造形には時間がかかり、1台では製作数に限界があります。

 1人では資金の限界があり、寄贈活動の永続性に難があります。

 医療機関への直接の寄贈、あるいは我々の活動に資する材料等の寄贈にご協力をお願い申し上げます。



当方へ物資提供(資材寄贈のお願い)

 当方へ3Dプリンタ素材など物資をご提供頂けましたら幸いです。

 造形データがダウンロードされても当方の資産は減りませんが、3D造形をするためには素材が必要であり、3Dプリンタのメンテナンスが発生し、電力を消費し、医療機関へ送るためには封筒や切手が要ります。

 当方の活動に対しご支援いただければ活動の永続性も高まります。

※.ご寄贈頂ける場合は、上記リストからカートに商品を入れて頂き、届け先に『稲垣謙一(プライバシー保護)』を選んで頂ければ届きます。
※.上記を選択頂きますと弊社事務所に配送されます。



開発経緯

 私たちがなぜフェイスシールドを開発し、医療機関へ無償提供するに至ったのかについて、動画でご紹介しています。



謝辞

 フェイスシールド用の簡易ホルダの寄贈活動にご支援、ご協力をくださいました皆様に改めまして感謝申し上げます。

 皆様のご厚意、善意を励みに活動を継続してまいります。

NES株式会社 西 謙一




医療機関へ寄贈を!!

 3Dプリンタをお持ちの方々、ぜひホルダ(フレーム)を造形して医療機関へ寄贈してください。

 医師1人のクリニックでも看護師や医事会計などスタッフは5名ほど居ります。
 小さそうに見える病院でもスタッフは30~50人くらいは居ます。
 大病院となると1,000名以上のスタッフが働いています。

 ホルダは何個あっても良いと思います。
 ホルダは破損します。ホルダは洗浄・消毒します。ホルダはどこかに置き忘れます。人数分以上のホルダがあっても困りません。



寄贈方法

 お手持ちの3Dプリンタでホルダを造形してください。
 お近くの医療機関で要否をご確認の上、寄贈してください。
 寄贈先が見つからない場合、当社に送って頂ければ希望されている医療機関へお届けします。

※.医療現場混乱回避のため、当社から医療機関リストなどは公表いたしません。



おすすめはType-C, Type-D

 Type-CとDは仕上がりで同じサイズですが、この2タイプはA3タテまで挟むことができる大判対応タイプです。

 おでこに当てて頭に密着させる部分と、シートを挟んで保持するバインド部の距離がType-A/Bよりも広いため、メガネや鼻が当たりにくくなっています。

 フレームが耳の後ろの方まで回りますので、ゴム紐が短くて済むため、ゴムの強さがフレームに伝わりやすく、脱落の危険性が低くなると考えています。





3D造形

造形データ

 3Dプリンタで造形するための元となるSTLデータを公開しています。

 登録などは不要で、下記ファイルをダウンロードして頂ければ無償で利用できます。

 サイズは20cm×15cmの造形台におさまるように設計しています。
 機種によっては造形台に収まりませんのでご注意ください。

 フィルムを挟むためのスリットがあります。3Dプリンタの精度によりスリットの厚みは変化しますが、概ね千円札程度の厚みの物が1枚~数枚程度挟めます。
 左右にゴム紐を掛ける穴が飛び出ています。穴径は3.5mmです。

 ロゴなどは入っていません。



Type-D

 Type-Cに、造形時の崩れ防止用の支えとなる床が追記されているタイプです。
 支えの床を切り落としてしまえば、仕上がり形状はType-Cと同じです。

Size: W200*D129*H8.8

YouTube: フェイスシールド造形後の仕上げ

NIH 3D Print Exchange: NES Universal Frame for Face Shield (←当サイトと同じデータ)



Type-C

 A4ヨコ・A3タテをバインドできるW297mm対応タイプです。
 おでこに当たる部分からフィルム(シールド)をバインドする部分までの距離をType-Aより長くしてあるため鼻が高い人や、メガネの出が多い人にもお使いいただけます。

Size: W200*D129*H8.8



レビューを!

 もし、本品を造形してご試用いただいた場合、ぜひNIHのサイトでレビューをお願い致します。
 第三者からの一般的意見がNIHのデータベースに反映されます。

NIH 3D Print Exchange: NES Universal Frame for Face Shield (←当サイトと同じ STL データ)




造形

 STLデータを任意の造形データに変換して、それぞれに造形して頂けます。

 下面から1層ずつ積み上げていく熱溶解積層型(FDM)の3Dプリンタの場合、半月状の薄い縦パーツ部分が造形中(積層中)に崩れやすいため、床面サポートが入ったタイプの造形データを使う事をお奨めします。

 光造形などの場合は支持用の床面は不要なので、最初から完成品で仕上がるタイプのデータをお選びになると良いと思います。

Recipe for Creator Pro (FlashForge)
 私たちはFlashForgeのCreator Proという機種を使用しています。
 STLデータはFlashPrintというソフトウェアを使ってX3Gデータに変換し、SDカードで3Dプリンタに読み込ませて造形しています。ここではFlashPrintで設定を触った部分についてご案内いたします。
ヘッド:210℃ / プラットフォーム:40℃ / 頭部レイヤ:6 / 底面レイヤ:6 / 充填率:30%


造形品を仕上げる

 このデータで造形した場合、1つだけ取り除いて頂くパーツがあります。
 造形直後の形は三日月形、フレームのスペースは薄い板で埋まっています。

 カッターナイフが無いと切り落とせないと思いますので、ご面倒ですがナイフをご用意ください。

 半円状のフレームの間にある薄膜のような部分を、カッターで切り落とします。

 1回で強く切り落とすよりは、少しずつ傷つけるようにして、ときどき薄膜部を指で押すなどして外れないか確認します。

 詳しくは動画をご覧ください。




フィルム

シールド(シート)を買う

 事務用品(文具)をシールドとして使う事には多少の危険があります。

 やはり、専用品には専用品の特性があり、優位性があります。

 価格面では事務用品と同列にはなりませんが、スタッフの安全のため、業務の効率化のため、買う価値はあると思います。

 調達時に確認したいいくつかの特徴をお示しします。

  • 透明度は高いか (目が疲れない程度に透明)
  • 低反射であるか (透明度と同様に目が疲れず、見落としがないように)
  • 防曇加工はされているか (自分の吐く息が障害にならないように)
  • 防護すべき範囲を覆っているか (正面だけでなく斜めや横からの飛沫に弱いと感染リスク)


A4判シートでつくるシールド(シート)

 透明度や歪みなどを考える、医療従事者のためには市販の専用シールドを使って頂きたいのですが、急場をしのぐために事務用品を使う場合には、型紙を利用して使いやすい形に加工して頂ければと思います。

 準備して頂く物はA4判のシート類と、ハサミです。
 型紙の線は目安なので、厳密に合わせて切らなくても大丈夫です。


注意

 事務用品等の転用には以下のような弱点があります。課題を理解した上で使用しなければ思わぬ感染に遭ってしまうかもしれません。

  • 透明度が低い(見づらい)
  • 息で曇ってしまう(見づらい)
  • コシがなく表面が波打つ(視界が歪んで酔う)
  • 脆さがあり突然割れてしまう(飛沫を浴びてしまう恐れ)
レールクリアホルダ(ブック型)
 PET素材のレールクリヤーホルダーは透明度が高いです。冊子を保護する目的の商品なので、フィルムは1枚で構成されており、中央の折り目でカットすれば2枚取れます。目的外使用なので仕方ありませんが、反射します。
OHPフィルム
 2000年頃までは講演等でも多用されていたOHPフィルムです。医系の講演では100枚以上のOHPフィルムが使われることもあり、大学や病院には普通に在庫がありましたが、今はほとんどが処分されてしまったようです。商品によってはやや薄いなと思う物もあります。プリンタで印刷したり、油性ペンで描き込んだりできますので、ゾーン分けや個人名記入などができます。

国立印刷局: お札に関するよくあるご質問




他者の形状(参考)

カードケース+スポンジ

 ANA(全日空)のグランドスタッフ(地上係員)が考案したものです。

 文房具のカードケースを切って使います。

産経新聞: ANAスタッフがフェイスシールド製作 コロナ感染防止策 (2020年4月17日)

朝日新聞: ANA地上職員がフェースガード自作 発熱者応対で着用 (2020年4月20日)

Aviation Wire: カードケースをフェイスシールドに 羽田のANA地上係員が自作 (2020年4月21日)

ANAホールディングス



市販眼鏡+クリアファイル(文具)

 東京五輪のトーチをデザインした吉岡徳仁さんが、自作できるフェイスシールドの設計図を公開しています。

TOKUJIN YOSHIOKA+TYD: Easy-to-make FACE SHIELD

TOKUJIN YOSHIOKA+TYD: Easy-to-make FACE SHIELD Template (DropBox)

読売新聞: 簡易フェースシールドの作り方を公開…聖火リレーのトーチ手がけたデザイナーが考案 (2020年4月19日)



大阪大学

 大阪大学大学院医学系研究科にある次世代内視鏡治療学共同研究講座(プロジェクトENGINE)の中島清一先生が発信しているフェイスシールド用のフレームデータです。

 新聞やテレビで大々的に報道されましたので、恐らく日本で一番認知度が高い製品だと思います。

 3D造形データ以外にも、組み立て方の動画なども閲覧することができます。

次世代内視鏡治療学共同研究講座 (プロジェクトENGINE)



NIH (米国保健福祉省 国立衛生研究所)

 アメリカのNIHが各種シールドのデータを集めて公開しています。

 NIH公認というかどうかわかりませんが、多種多様な物が用意されています

NIH: NIH 3D Print Exchange

NIH 3D Print Exchange: NES Universal Frame for Face Shield



PRUSA RESEARCH(プルサ・リサーチ)

 3Dプリンタユーザーのコミュニティサイトです。
 何種類かのデータを公開しています。

 オレンジ色がイメージカラーのようで、オレンジ色で造形した物の写真がいくつかupされています。

 新型コロナウイルスへの対応ページが設けられています。

 COVID-19へのPPE対策として3Dプリンタを活用する人々のためにフィラメントを特価で提供しています。
 PETGのオレンジ色、1kgを22.49ドルです。

PRUSA RESERCH: COVID-19




NEWS

慶応義塾大学

 慶応義塾大学の青木先生らが実施した3Dプリンタによるフェイスシールド製造の調査を受けました。

[Link] COVID-19下における3Dプリントによるフェイスシールド製造のムーブメントの調査