新型コロナウイルス感染症対策
新型コロナウイルス感染症の流行により、普段は必要性の低い物の需要が高まり、医療物資が不足したり、そもそもの備えが無かったりするものが多々ありました。
当社はBCPコンサルティングサービスを展開していますが、電気工事業者でもあり、医工連携にも幅広いチャネルを持っています。
今回は、コロナウイルス陽性患者を隔離するための部屋、あるいは検体検査や使用物品の廃棄などを行う部屋に設置される陰圧装置に着目して開発を行いました。
目次
- 簡易陰圧システム
- 2.5Pa(パスカル)
- 簡易陰圧装置&HEPAフィルタ付空気浄化装置
- ここで使う
├ 自宅療養
├ 高齢者施設
├ 病院
├ 外来・診療所
├ 学校保健室
└ 商業施設や事業所でも - 臨床工学技士と電気工事士
- 販売(SISM)
- 設置は置くだけ簡単[動画あり]
- 簡単設置(壁換気扇を利用)[動画あり]
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簡易陰圧システム
私たちが開発した簡易陰圧装置はCDCガイドラインには準拠しない、テンポラリー(仮設・一時的)で使用する簡易版です。
とはいえ、CDCガイドラインをしっかり読込み、運用面での工夫をすれば対応できるようにと取り組んでいます。
2.5Pa
私たちの装置では、居室において2.5Paの差圧が出ることを確認しています。
密閉度の低い木造住宅、入口ドアの上下には隙間があり、ダクト工事がしてある訳でもないので窓から簡易的に排気をする機構の中で、廊下と居室との間に2.5Paの差圧を確認できました。
簡単に言えば、居室内に居る感染者から出る菌やウイルスを廊下に出さずに居室に留めることができると考えられます。
自宅療養する中で、家族を感染させたくないという思いから始めたこの開発品の目的が達成できていることを示す数字です。
[Link] 2.5Paの根拠などCDCガイドラインについて
簡易陰圧装置&HEPAフィルタ付空気浄化装置
私たちの装置は、簡易型の陰圧装置です。
私たちの装置には、交換可能なHEPAフィルタを搭載しています。
HEPAフィルタは空気を浄化します。フィルタを通った空気は、フィルタの目の粗さ(細かさ)で除去できる物が異なりますが、HEPAフィルタなので0.3ミクロンの微粒子を99.97%捕集する能力があります(規格値)。
見解が誤っていなければ『HEPAフィルター付空気清浄機(陰圧対応可能なものに限る)』という文言に対応した装置です。
○HEPAフィルタ搭載(←搭載あり)
○空気浄化(←CDCガイドラインを参照し搭載)
○陰圧装置による陰圧対応(←本装置の主たる機能)
ここで使う
自宅療養
この簡易陰圧システムの開発は、医療崩壊により自宅療養が必要となったときを想定して作り始めました。
日本人が日本で作ったので、日本の木造家屋で開発当初の実験を重ねてきました。
工事業者を呼ばなくても、誰にでも簡単に設置できるように工夫しているのも、自宅療養を想定しているからです。
高齢者施設
高齢者施設で治療する訳ではありませんが、入院調整中の待機期間、施設内での感染拡大を防ぐためには陽性者を隔離しておく必要があります。
住宅用に開発された簡易陰圧システムは、高齢者施設での利用を想定したオプションを開発することで適応しました。
利用者さまの居室への設置のみならず、会議室やカンファレンス室、構造によってはプレイルームや食堂などにも設置することができます。
病院
開発者は臨床工学技士ですが、本システム開発の途中で医療従事者から幾度もコメントや評価を貰っています。
救急現場からは、どの患者がコロナかわからないのでなるべく隔離したいというご意見を頂戴しました。
病棟からは、明らかなCOVID-19陽性患者は陰圧室に入れられるが疑い患者の分まで病床がないので、一般病棟で陰圧化したいというご意見を頂戴しました。
その他、たくさんのご意見、ご要望に応えられるように調整を重ねた商品となっています。
CDCガイドラインへの準拠についても調査・検討を重ねて現在に至っています。
外来・診療所
外来は不特定の患者、どのような症状で、どのような経緯で来院しているかわからない患者が多い場所であり、医療従事者も患者同士も不安になる場所です。
外来では一般的に待合室の人数が多く様々な空気が混ざり合いますので、ここの換気は不可欠になります。
ここに簡易陰圧装置を設置して換気をしながら待合室を診察室よりやや低圧にする事で、待合から診察室への空気流入を抑える効果が期待できます。
病院に限らずクリニック、歯科医院、調剤薬局なども同様の考え方で待合に設置することができます。
学校保健室
校内で発症する可能性は低いと思いますが、それでも急な発熱で保健室に来た児童・生徒が、エピソードを聞くと感染を疑わざるを得ない場合、帰宅させるにしても受診させるにしても、一定期間の構内待機は必要になります。
何かあってからの対応ではなく、発熱を訴える子どもは一旦、陰圧室に入ってもらいゆっくり対処を考えるということの方が子供も職員も安心できるのではないでしょうか。
多くの公立小学校が指定避難所にもなっていますので、発災時に避難者が発熱した場合、医療機関へのアクセスも困難が予想されるため、この場合は数日隔離という事も想定しなければならず、感染まん延防止が必須の被災時ですので、簡易陰圧装置の備蓄が生命を救うツールにもなり得ます。
学校に限らず保育園などでも同様の事が考えられます。
商業施設や事業所でも
隔離目的で使用するのではなく、ゾーン毎の圧コントロールにご利用頂けます。
サービス提供の場とバックヤードをゾーン分けする事で、出入りの多い店先と、入退者が限定される倉庫や厨房などの管理を区分けすることができます。
住宅兼店舗の場合は生活空間への空気流入を抑える事で、主たるスタッフである家族の感染を抑止する効果も期待できます。
美容室やカフェ、一般オフィスなど業種を問わず休憩室や更衣室なども特定少数であるスタッフしか出入りしませんので、そこは不特定多数が出入りする場所からの空気流入を抑える事が、従業者の安全にもつながります。
臨床工学技士と電気工事士
医療現場の工学的な分野を担う臨床工学技士は、人工呼吸器やECMOなど装置を使った治療に参画しCOVID-19とも対峙しています。
その臨床工学技士は医療機器の安全管理も担っています。装置自体の点検整備にとどまらず、マネジメント対象は使用環境やユーザーにも及ぶため、現場の改善や教育にも熱心に取り組んでいます。
その臨床工学技士が、簡易陰圧システムを考案しました。
考案者は電気工事士としてのキャリアを持って臨床工学技士になったため、設備にも精通しています。医療機器と設備の同時的管理を担ってきた経緯があり、講演なども行っています。
どのようにすれば現場に設置可能であり、かつ、安全であり、しかも陰圧化できるか、研究した成果物が本装置です。
※.詳しい開発ストーリーはこちらをご参照ください。
販売
簡易陰圧室を実践して頂きやすいよう、開発した製品を商品化しました。
比較的安価で、簡便に設置できるシステムです。HEPAフィルタも装着し、一定の機能は備えております。
製造・販売は株式会社SISM(シズン)様です。我々とパートナーシップを組み、非常事態に混乱の種を増やさぬよう、価格と納期の維持に努めています。
本体・加工費などを含めてご案内致します。
詳しくは、お問合せ頂ければと思います。
設置は置くだけ簡単
設置は非常に簡単です。持ってきて、置いて、ダクトをつなぐだけです。最短で1分以内で設置完了します。
簡単設置(壁換気扇を利用)
汎用の壁換気扇を取り外して簡易陰圧装置を設置する方法があります。