いよいよい今週から東京オリンピックが始まりますが、コロナの影響で無観客が多くなりました。
外出自粛の夏ですので、自宅で観戦する人が非常に多いと思います。
2002年のサッカーワールドカップ(日本開催)ではスマホ普及前でしたのでネット観戦する人は少なかったのですが、2019年のラグビーワールドカップ(日本開催)ではオンデマンド放送が普及していたためネット視聴した人も少なくありません。
今年は自宅の大型テレビで視聴しようという人が多いと思います。令和の時代、家にテレビがあっても地上波は見ない、見れないという家庭も少なくありません。当社の電気工事のお仕事で関わるのですが、新築住宅でネットは強化するがテレビは配線すらしないというご家庭も多いです。
五輪ウェブ視聴
gorin.jp
gorin.jpとは、民放テレビ局によるインターネットでのオリンピック公式競技動画配信サイトです。
公式というだけあって、コンテンツは充実しています。
TVer
TVer(ティーバー)とは、民放テレビ局が連携した公式サイトです。放送終了後にオンデマンド配信される動画コンテンツが充実しています。
オリンピック特設ページが設けられていますが、中継はgorin.jpを視聴する事になるようです。
NHKプラス
NHKの動画配信サイトです。
HIS・PACSとの関係
日本だけでも数千万人が視聴するオリンピック、しかも時差がないので日勤帯に競技が行われます。
普段でも平日に12~13時はオフィス街を中心にネットがつながりにくくなる事があるのですが、これは多くの人が一斉にスマホで通信をする事が影響しています。
mineoという通信サービスでは、この時間帯の通信量を減らす取り組みをしています。通信各社では既知の事実のようです。
競泳女子の池江璃花子さんが出場するとなれば、視聴率が高くなりそうですので、通信量が激増しそうです。
近年、電子カルテ(医療情報システム・HIS)や医療画像管理システム(PACS)のクラウド化が進み、院外サーバで管理していたり、バックアップを院外に置いているケースが見られるようになりました。
この情報の出し入れにはインターネット回線を使いますので、オリンピックによる通信量増加がどのように影響するのか心配しています。
[Link] BIGLOBE: Q. お昼時は遅くなると聞いたのですが、本当ですか。
[Link] Ascii: テレワーク化進行で格安SIMの通信速度は変化したのか?
輻輳(ふくそう)
輻輳とは、局所に集中して混雑する様子を表わす言葉です。
災害時には電話回線が混雑してつながらない事がありますが、最近ではワクチン接種予約で市役所の電話がつながりにくくなった例もあります。このようなときに、通信が輻輳状態であるといった表現をします。
電話とネットでは仕組みが違いますが、輻輳状態が生じる事には大差ありません。
[Link] NTT docomo: 夜間やイベント時にケータイ電話を使うと通信速度が遅くなる気がするのはなぜ
ネットの輻輳状態
ネットの輻輳状態には大きく2つあり、サーバ側が混雑する場合と、閲覧者からサーバまでの経路のどこかで混雑している場合があります。
下図はサーバ側が混雑してしまい、同時にさばける数を超えてしまったのでアクセスできなくなった時の画面です。
例えば同時接続100本で設計していた所に、地震などの臨時ニュースが入って1万人がアクセスすれば、設計の100倍になりますので接続できる確率は理論上100分の1、しかし実際はどれをつなぐかという入口(ゲートウェイ)の作業負荷が重くなってしまい、すべてを遮断してしまう可能性もあります。
表現が正しいかどうかわかりませんが、駐車場が満車で道路に車が溢れ過ぎたので、駐車場を閉鎖してしまい一切受け付けないという措置を取るような感じだと思います。
五輪では配信サイトのサーバで輻輳状態が起こるかもしれませんが、そうならないように対策をしていると思います。
それよりも恐れるべきは、医療機関周辺の通信だと思います。
医療機関の前にある電柱に架けられている光ファイバーは、その下流にあるオフィスや住宅の通信も通します。
住宅で一斉に動画を視聴すれば通信量が増えるのは当然で、おそらく過去に経験の無いほどの通信量になると思います。
平時であれば光ファイバの許容量の5%や10%を医療機関が使っても遅滞なく通信できていたものが、1%しか使えないとなれば顕著に遅れを感じると思います。
老若男女を問わず観戦するオリンピックゆえに、危険性は高いと思います。
災害モード
電子カルテなどは、災害時に通信が途絶えた時のために災害モードを用意していると思います。
可能な限り最新データをサーバからダウンロードしておき、当面は院内ローカルで運用、時期が来たらローカルに貯めたデータをサーバにアップロードして更新する方法があると思います。
災害モードを併用する方法もあります。
データを端末(パソコン)にダウンロードしてネットを遮断、参照のみできるパソコンにしてしまい書き込みはしない方法で運用します。
処方など書き込みが必要な場合は、ネット接続された指定のパソコンから行ってもらうことで、医療機関と院外サーバとの通信量は少なくて済みますし、仮に通信に失敗しても入力した端末が特定できているので、あとで同期させやすいです。
このようなモードが備わっていないシステムもありますので、各院で調整が必要だと思います。
参照と手書きカルテ
最後にはカルテの手書きを考えなければなりません。
可能な限り、過去データは参照できるように参照専用パソコンを今から作っておくと良いと思います。
おそらく、困るのは26日からの平日だと思います。オフィスも住宅も通信量が多くなると思います。
これまで一度も手書きカルテを使ったことが無いという医師や看護師も少なくありません。
院内で完結するオーダリングシステムなどは院外の通信状況の影響を受けないので問題ないと思いますので、障害が出る部分だけにフォーカスして対応すると良いと思います。
もし、あとでカルテを手入力しなければならないのであれば、事務員さんでもわかるような記述に心がけると、文字入力はアシストしてもらえると思います。
たぶん、大丈夫
通信が遅くなるのはあり得ると思いますが、まったくつながらない事はないと思いますので、たぶん大丈夫だと思います。
もし、あまりに心配でしたら通信を所掌する総務省へお問合せしてみてはいかがでしょうか。