照明器具の点灯制御にセンサーを活用する場面は多いと思います。
一般住宅であれば玄関ポーチや廊下などは、いちいち壁のスイッチで操作するよりも利便性が高まるケースが多くあります。
センサーに関するご質問やご相談について振り返ってみると、いくつかご案内しておくべき事があるなと気づきましたので、今回記事にまとめてみようと思いました。
- 明るさ and/or 人検知
- その他の自動制御
- コンビネーション
- コンビネーションで安価に庭園灯
- 夏と冬で異なるセンサーへのクレーム
- 冬は過剰検出
- センサー設置場所で工夫
- センサー内蔵or別置
- 勝手口なら内蔵型(搭載型)でも
- 階段や廊下のセンサー化には注意
- とはいえ廊下にはオススメ
- トイレはセンサーが良いか?
- ガレージは目的を見据えて
- 玄関ポーチ用『かってにスイッチ』とは?
明るさ and/or 人検知
多くの照明用センサーは明るさを検知する物か、人を検知するものです。その両方という物も少なくありません。
デスクライトなどは昼夜を問わず使いますが、多くの照明は暗いときに使います。
暗さによって点灯/消灯させたいという需要があるので、明るさセンサーが採用されています。
人検知型のセンサーは、まさに人が居る時だけ点灯して欲しいという需要から採用されています。
人検知型のセンサーは、まさに人が居る時だけ点灯して欲しいという需要から採用されています。
その他の自動制御
センサーは制御系で用いられますが、明るさや人の検知以外にもセンサーは存在します。
例えばドアの開閉により照明(多くは回転灯など)を点灯させる物や、音で制御する物もあります。音については、昔は拍手などの打撃音が見られましたが、近年ではAIスピーカーに代表されるような音声制御や、音楽などに連動して強弱が変化する照明などがあります。
センサーとは少し異なりますが、タイマーも自動制御の一種です。
店舗などでは開店から閉店までだけ看板灯を点灯させるように24時間タイマーを使う事があります。
定刻ではなく定時タイマーもあります。30分間だけ換気扇を動かす、退社後3分で事務所内の照明を消灯させる遅延タイマーなどが活用されています。
コンビネーション
自動制御は単体で使用するだけでなく、連動させて使用する事がよくあります。
例えば明るさセンサーですが、防犯灯であれば夕方に点灯して朝方に消灯でも良いですが、玄関ポーチ灯などでは深夜の来客は無いと思いますので、深夜は消灯したいというニーズがあります。
そこで、24時間タイマーと明るさセンサーを同時に使う事があります。
例えば24時間タイマーを22時でオフになるように設定すれば、夕方暗くなり始めると明るさセンサーで点灯、22時にタイマーで消灯という動作ができます。
私宅でコンビネーションを利用している箇所では、次のような設定にしています。
- 明るさセンサー:通常通り暗くなるとオン、明るいとオフ
- 24時間タイマー:朝7時にオン(最初に家を出る者に合わせてオン)、22時にオフ(近所迷惑にならない程度でオフ)
この設定により、普段は夕方になると点灯して22時に定刻で消灯します。
朝は、天気が悪い日には点灯しています。
昼は、台風などの荒天時に点灯している事がありますが、そうした日に来客はありません。
昔はこうした組み合わせで調整していましたが、近年はパナソニックの『かってにスイッチ』の機能が優れているので、厳密な定刻管理が必要でなければ、センサー器具1つで自動制御が完結します。
コンビネーションで安価に庭園灯
既製品の庭園灯は意外と高価です。
高価な割に目立たず、人目に触れる機会は少ないです。
どうせ見られないなら安物でも良いではないかという事で、半分自作のようなDIY庭園灯を設置した事があります。
土台部分の黒い物は、ガーデニングなどで使われる防腐剤入りの角柱です。それを黒く塗装しています。
上に載っている照明器具は、浴室や勝手口などで使われるシンプルな器具で、1台3千円前後です。
この安価でシンプルな庭園灯を制御しているのが明るさセンサーと24時間タイマーのコンビネーションです。
暗くなれば点灯、深夜は定刻に消灯します。庭園灯なので庭の木や住居の外壁を照らしています。この照明が無いと歩けないという物でもなく、演出用なので遅い時間まで点灯している必要性もありませんが、防犯カメラの光源も兼ねているので、それなりに遅い時間まで点灯させています。
タイマーで自在に操る事ができますので、安物の器具の割には良い仕事をしていると思います。
夏と冬で異なるセンサーへのクレーム
人感センサーに関してご相談や苦情を頂く場合、夏と冬では傾向が異なります。
夏場は『検知できない』『反応が鈍い』といった内容が多いです。
これは、周囲温度と体温が関係している場合が多いです。
人感センサーの多くが熱式であり、周囲に人間の体温程の塊が進入すると接点をオンにする機能が働きます。
体温、すなわち36℃前後ですが、気温が35℃以上になると人間の体表温との差が小さくなり、検知しづらい状態になります。
新型コロナウイルス感染症の流行拡大で普及したカメラ型の体温計も、屋外では上手く動作しづらい機種もあります。
屋外では人間よりも熱い物、例えば自動車のエンジンやタイヤなどがあり、外壁や屋根なども高温となっているため、それらが雑音のようになって体温測定が上手く行かないようです。
この温度差を上手く遊びに活かせば、人感センサーに気づかれないようにセンサーに近づくような遊びができるかもしれません。
気温が40℃近い場所で、周囲の空気を乱さないように近づけば、人としての気配を消せるかもしれません。
冬は過剰検出
真冬の屋外、特に朝方などは氷点下になるため玄関のタイルも門扉も、何もかもが氷点下です。
そこへ機械の熱が通ったり、犬猫が通ったりすれば大きな熱の塊とセンサーが勘違いして誤検出する事があります。
本下水ではほとんどありませんが、お湯が排水管を流れて行って排水マスから熱気があがれば、ちょうどよく人間っぽく検知してしまう事もあります。
朝方にしか起こらない現象ですと、電気屋が駆け付ける時間帯では再現性が無いので、原因の特定が難しい場合があります。
センサー設置場所で工夫
誤検知を減らす方法の1つに、センサーの設置場所の工夫があります。
例えば、車の往来が多い道路の方を向けないのも1つの方法です。
人感センサーでは人間を検知したいので、概ね1.5m~2mあたりをターゲットにすれば犬猫や排水管は検知されにくくなります。
玄関ポーチでは、端部は道路側と玄関扉の2か所しかないとすれば、そのどちらかに近接した位置にセンサーを設置することで、玄関ポーチエリアに入ってきた瞬間を捉えて点灯させることができます。
どこで、誰を、どのように検知すれば照明が活かされるのか、何のための照明であるかを検討する事が重要になります。
センサー内蔵or別置
私がプランニングする場合、センサー類は照明器具内蔵型はあまりお勧めしていません。
それは、照明したいエリアと、対象物を検知したいエリアが同じという事が少ないからです。
また、内蔵型の場合は選択できる照明器具の幅が狭くなります。本体色や明るさなど、施主様の希望通りの照明が存在しない事もあります。
話を『エリア』に戻しますと、例えば玄関ポーチでは玄関扉の近くに照明を設置する事が多いですが、検知したいのは道路側から来た人であり、できれば敷地に1歩入ったときから点灯させてあげたいと思うと、照明とセンサーに位置関係が難しくなります。
センサーを別置型にすれば、その自由度が高まるので、本来の目的を果たしやすくなります。
勝手口なら内蔵型(搭載型)でも
勝手口などでは、照明で明るくしたいエリアと、人を検知したいエリアがだいたい一致する事が多いので、ここは内蔵型(一体型)でもあまり問題にならないと思います。
勝手口照明を壁スイッチにする場合もありますが、私はセンサーをお勧めしています。
キッチンなどから出る際には壁スイッチでも良いのですが、外から勝手口にまわってきたときにはセンサーが重宝されます。
また、勝手口を狙った泥棒も少なくないので、そうした人を威嚇する意味でもセンサー式にしておいた方が良いと思います。
内蔵型(一体型)のメリットとして、既存器具からの置き換えが容易である点が挙げられます。
施工方法は、まず既存の照明器具を取り外すところから始まります。この作業には、一部の器具を除き電気工事士免状が必要になる確率が高いです。
照明器具は、既存照明と同じ様な形状の、同じような取付方法の器具を調達します。
今回であれば丸型で、電源線が直結となるタイプを用意することで、経年的に退色した外壁も目立たなく、また特別な加工などもせずに照明を置換できます。
このアイリスオーヤマの照明器具はAmazonやホームセンターで普通に買える器具です。
ベースを取り付け、配線を接続し、照明部をベースに固定してカバーを被せて完了です。
既存器具は壁スイッチでOn/Offしていましたが、新しい器具は自動点滅型ですので壁スイッチは無用になります。常時オンの状態にしておき、照明器具側で自動的に動作するようにしておきます。
誤って壁スイッチをオフにすると照明は自動点滅しないので注意が必要です。
階段や廊下のセンサー化には注意
オフィスや学校などでは階段や廊下の照明をセンサーにするのは普遍的です。無駄が少ないですし、防犯性も高まります。
注意して頂きたいのは生活者の特性です。
例えばご高齢で、深夜にトイレに行くことがあるが、明るい光を見てしまうと眠れなくなるという場合、センサーで廊下照明が点灯してしまうと弊害が生まれます。
猫を飼っているお宅では、夜中に何度も廊下が点灯して煩わしいという事があるかもしれません。
生活を想像した上で、貴邸にとって何が最適であるかを考える事が重要です。
とはいえ廊下にはオススメ
たとえば4方向からアクセスできる廊下に、スイッチを4個も設置するよりセンサーにした方がわかりやすいし、恐らくスイッチよりもコストダウンになります。
施主様に利用シーンを想像してもらう際に、よく出す事例が『買い物から帰ってきてからの動線』です。
両手がふさがった状態、荷物を置いたり持ったりを繰り返したくない、ガレージからキッチンへ直行したい、様々な意見が出されます。
この動線の中で、スイッチ操作の煩わしさに気づくことがあります。
また、玄関扉の近くにはスイッチを設置するのに適した壁が無い事が多く、玄関ホールのスイッチまで数歩先という事もあり、センサー式を勧めるポイントにもなります。
よく『ウチの廊下は短いから』センサーは要らないというお話も聞きますが、短いからこそスイッチ操作が煩わしいという事もあります。
廊下や階段のセンサー化、多くのご家庭に採用されています。
トイレはセンサーが良いか?
商業施設や公共施設のトイレ照明はセンサー化されている事が多いと思います。
ご自宅のトイレもセンサー化すべきか否かというご質問に対しては、概ね『センサーが良いです』と回答しています。
- 消し忘れが無い
- トイレトレーニングを始めた子供でも安心して入れる
- スイッチ位置を知らない来客にも優しい
- スイッチを介した感染リスクが無い
上記は主な理由です。
一人暮らしだから要らない、LEDだから消し忘れても大した損害にならないなど、施主様によっては不要と感じる方も居られます。
眩しさについてはメーカーも改善策を打っており『ほんのり点灯』というモードを備えたスイッチが上市されています。
[Link] Panasonic: トイレ壁取付かってにスイッチ 換気扇連動・ほんのり点灯モード対応
ガレージは目的を見据えて
ガレージ(車庫)もセンサーを検討される事が多い箇所ですが、どのような目的で照明を設置するのか、しっかりと検討する必要があります。
車への乗り降りに照明が欲しいという場合には人感センサー式が便利だと思います。
帰宅して、車から降りてスイッチを操作する必要はありませんし、出掛けるときも消灯操作が不要です。
人感センサーは防犯効果もあるので、私宅でも駐車場にカーポートに取り付けてあります。
他方、ガレージでは車の乗降以外で照明を使う事は無いでしょうか。
バーベキューをしたり、DIYをしたりという場合に照明が欲しいかもしれません。
常に人が動いていれば人感センサー式でも消灯してしまう事はありませんが、常時点灯も併用したいという場合には、配線に工夫をしておくと良いです。
私宅ではカーポートの照明は3系統あります。
1つは人感センサー式の、防犯も兼ねた物です。
もう1つは明るさセンサーと24時間タイマーを併用した、暗いときに点灯するが深夜は消灯するという物です。これも防犯を意識しています。
最後の1つは壁スイッチ式です。カーポートで何か作業をするときなどに使います。
[Link] Panasonic: センサ付スイッチ(かってにスイッチ)
※.FreePaについては下図および同サイト(画像をクリックすると開きます)をご参照ください。
[Link] Panasonic: FreePa お出迎え〔点灯省エネ型〕&ペア点灯
玄関ポーチ用『かってにスイッチ』とは?
玄関(屋外)用のかってにスイッチには設置方法で2種類に大別できます。
1つは定番とも言える軒下(天井)に設置するタイプ。もう1つは壁付タイプです。
玄関用のかってにスイッチの優れている点は、人感センサーが有効活用されている点にあると思います。
明るさセンサーの働きで、夕方になれば自動点灯します。内部制御系で深夜は自動的に消灯、または薄暗く点灯します。
この深夜帯に帰宅者や訪問者があった場合、明るさセンサーのみでの制御では何の変化も起こりませんが、かってにスイッチの場合は人を検知して100%点灯してくれます。
残業で帰りが遅くなっても、センサーが出迎えてくれます。
この機能を備えているセンサーが少ないので、かってにスイッチを提案する事が多くなります。
毎日の生活に密接に関わりますし、滅多に壊れるような製品でもないので、現場に適した物の設置をお勧めしています。