2022年3月16日23時半頃、宮城・福島で震度6強の地震がありました。
この記事は発災から約2時間後、東京都内のホテルで書いています。偶然、出張中のホテルで地震に遭いました。
こんなこともあろうかと用意していたもの、BCPコンサルはどのような初動をとったのかなどをご紹介させて頂きます。
地震概要
2022年3月16日23時34分に地震が発生しました。地震速報が出ましたが詳細がわからない状態のまま次の地震が発生しました。
2つ目は23時36分、非常に広範囲が揺れる地震が発生し、最大震度は6強、マグニチュード7.3、震源の深さは60kmということでした。
気象庁:地震情報 地震検知日時 2022/03/16 23:36
Yahoo!天気・災害:地震情報 2022年3月16日 23時36分ごろ
Yahoo!天気・災害:地震情報 2022年3月16日 23時34分ごろ
被災概要
発災
3月16日18時半頃にチェックインし、6階の客室に入りました。
部屋で食事や入浴を済ませたのち、パソコンを開いて仕事をしていました。
22時頃から報道ステーション、23時頃からZEROを見てコロナ対応やウクライナ情勢を確認していたところでした。
ZEROはニュースではなく話題提供のコーナーでしたが、有働キャスターの表情が変わって、非常に素早く必要な情報を提供してくれました。
1つ目の地震のときに宮城・福島で震度5弱という報道をしている最中に新しい緊急地震速報が出ました。
1つ目の地震が23時34分の発生でしたが、おそらく有働キャスターが見ている情報板のようなものに『23時36分』という文字が出たのだと思いますが、『23時36分』と読み上げて違和感を覚えたようで一旦止まり、その直後に『緊急地震速報です』と発言され、そこから騒然としました。2回目の地震です。
ZEROは汐留、私は有明と4~5km程しか離れていないので、揺れの程度は同じだったと思います。
23時34分の地震を感じている最中に緊急地震速報が出たので『もう揺れてる!』と思いましたが、これが2回目の地震に対する速報でしたので、このような思い込みは良くないという体験をしました。
発災直後
宿泊していたホテルは地上17階、地下1階建てです。免震や制震といった情報はありません。
建物は大きく揺れたと思いますが、壁の中でギコギコと鉄が擦れる音がしていたので、おそらくダンパーが効いていたのではないかと思います。そうすると制震構造でしょうか。専門外なのでわかりません。
エレベーターは短時間停止したそうです。
筆者が見に行った時点では動いていましたが、フロントで聴くと一時的に停止していたという事でした。
復旧したので、非常階段は使えないとのことでした。
救急車や消防車が来るような事は無かったので、このホテルは無事だったと思います。
ただし、外はやや騒がしかったです。
初動
テレビ・ラジオ
テレビは既についていたので、そのままZEROを見ていました。
並行してラジオをつけました。東京仕様にチューニングしていなかったので大阪の80.2MHzに合わせてありましたが、サーチしたところ82.5MHzで感度良く受信しました。NHK-FMだったようです。
着替える
Tシャツの上にユニクロのダウン、下はアディダスのジャージのズボン、裸足でパソコンをしていました。
緊急性があればこの服装で外出はできますが、ここは東京ですのでYシャツにスラックスという姿に着替えました。
お湯張りを開始
街が断水する恐れがあり、とくに有明というのはレインボーブリッジなど橋やトンネルを渡って来るような離島ですので、断水のリスクは高いと思いました。
また高層ビルなので、建物独自の設備損傷も考えられます。とりあえず高置水槽から水が落ちて来る間に、水を確保しようと思いました。
空ペットに水道水
飲み終えたお茶のペットボトルがあったので、とりあえず水道水を入れて冷蔵庫に入れました。
避難路の確保
浴槽にお湯張りをしながら、廊下に出て避難路を確認しました。階の端の方の部屋だったので、非常階段とエレベーターホールがすぐ近くにありました。
フロントで被害状況確認
浴槽に一定量の湯が貯まったところで、まずはフロントに行って情報収集しました。
特に変わった様子がないので、そのまま外へ出ました。
街の様子を確認(ラジオ持参)
ラジオで情報収集しながら、まずはりんかい線の国際展示場駅の様子を見ました。
とりあえず、電車は停まっているというアナウンスが流れていましたが、既に復旧のメドが立っていそうな感じでした。
この日は朝から埼京線の線路立入事件があったようで遅延していましたので、多少の遅延は普通にあるのかなと思いました。
携行品
モバイルバッテリ
26,800mAhのモバイルバッテリを持参していました。
前の晩にフル充電していたので、下の画像のとおり残量100%でした。
理論値ですが、使用中のiPhone SE2が1,800mAh程のバッテリらしいので、15回くらいフル充電できる容量が残っていたことになります。
ラジオ
今回持参したラジオは、災害時にどの程度使用できる物なのかを確かめたくて東京まで持って行っていました。
まさかの災害時の放送を受信することになるとは、想定外でしたがアンテナを伸ばさずに、乾電池でも十分に聴けました。
菓子
普段からカバンにはビスコが入っています。今回は出張だったので他にもスーツケースにお菓子がありました。
水筒
出掛ける時には基本的に、水筒を持っています。だいたいはコーヒーが入っています。
非常時にはコーヒーを捨てて水に入れ替えることもできますし、保温性があるのでスープなどを貰って入れておくこともできます。
装備品
安全靴
安全靴を履いています。
普段から、仕事用の革靴は安全靴なので、特別なことではないのですが、瓦礫を歩いても釘を踏み抜かないような物です。
私の靴はだいぶ傷や汚れがありますが、お手入れをしっかりすれば黒々とした良い革靴だと思います。
Amazonで同系の商品が調達可能です。聞くところによると救急隊御用達だそうです。
建物の安全性
今回被災した場所は東京都江東区有明、東京ビッグサイトがあるようなエリアです。
宿泊中のホテルは築5年以内、大手ハウスメーカーのホテルなので安心感がありましたが、実際に安全だったようです。
建物は17階建てですし、オリンピック会場にも近いホテルで恐らく最新技術が入っているだろうと思います。
揺れに関しては下方にある動画でも紹介していますが、壁の内側できしむ音が聞こえていましたが、不安になるような音ではなく、何か緩衝しているのかな、という感じでした。
当然だとは思いますが、壁が割れたり、何かが剥がれたりということはありませんでした。
エレベーターの停止時間はごく僅かで復帰、これは非常に大きなことだと思います。
客室数368室、ツイン以上が185室あるので満室であれば500~600人の宿泊客が居る事になりますが、この人たちの避難だけでも大変なことになります。
足腰の悪い人を非常階段で高層階から降ろすとなると、非常階段が渋滞する可能性があります。
客室用エレベーター4基ありましたので、相当な輸送力になります。600人を4基でとなると15~20往復くらいは必要になりそうですし、途中階でボタンが押されて何度も止まると相当な時間がかかると思います。
今後の世論との整合も必要なのだと思いますが、館内放送があっても良かったのかなと思いました。
『大きな揺れがありましたが火災などは発生していません』と言われれば多少の判断もできるかなと思います。
このホテルは自動火災警報器だけでなく、『火災の早期発見対策として防災センター在駐の警備員による監視カメラの監視をしている』点を東京消防庁から優良防火認定を受ける一因として挙げられていることもあり、警備員の巡回結果などもアナウンスしてもらえると安心だと思います。
時刻は23時半過ぎなので就寝中の人も居ると思いますが、2回も大きな揺れがあり、もしかすると避難が必要になるかもしれない状況ですので、申し訳ないが就寝中を起こしてしまうということも、防災の観点からは『仕方ない』と考えることもできるのではないかと思いました。
このあたりはコンサル先様や、消防などとも議論を重ねたいと思いました。
【参考】ダイワロイヤル:ダイワロイネットホテル東京有明10月1日(月)グランドオープン
総括
今回は大きな被害を受けるほどの場所に居ませんでしたが、5kmほど先の新橋や銀座では停電が数時間続き、エレベーターが止まるなどの被害がありました。
遠く北へ行くと震度6強で停電や断水が発生していました。
もし、断水が発生しても良いように風呂に湯を張り、ペットボトルに水を汲んで最低限の備えをすることができました。
停電対策としては26,800mAhのモバイルバッテリがあり、このバッテリにはLEDライトも内蔵されているので懐中電灯としても使う事ができます。
瓦礫だらけの街を歩く事になったときであっても、安全靴を履いているため多少の危険物ではケガをせずに済むと思います。
ジャージのズボンがあったので、スーツよりは動きやすく、また寝心地もスーツよりは良いと思います。
幸い、建物がしっかりしていたので避難する必要は無かったのですが、もし客室のガラスが割れてしまうようなことがあったらどこかに避難することになっていたと思います。
ホテルから避難所となる有明小学校・有明中学校まで1km、徒歩10分ほどですが、安全に歩けなければケガをし、近くに救急病院は無さそうなので、豊洲までだいぶ歩かなければならなくなります。当然、ケガをしている足でそこまで歩く事は容易ではないので、やはりケガをしないことがベストです。
ラジオを持っていたのは非常に大きかったです。
1時間ほど歩き回りましたが、その間もずっと情報が入ってきました。
さほど大きな被害が無かったので街に人は居ませんでしたが、大変な状況であれば最大音量でラジオをつけることで、周囲の人にも情報を提供することができると思います。
今回の備えは、今後のBCPコンサルに役立つような内容になったと思います。