当社では今年、電力事業について、特に送電を必要としない地産地消の発電について検討しております。
1つ期待しているのは小型水力発電です。
家の前を流れる用水路で発電できれば停電リスクをかなり低減できます。
当社の前にも用水路があり、流速が1m/secくらい、水路幅や水深からみると毎秒1立米くらいの水量があります。
発電とは別に、蓄電についても検討しています。
当社の移動は半径70kmくらいまでは125ccのスクーターを使う事があります。1往復で1回の給油が必要です。
将来、電動化された場合に1往復に少し足りないという事態になったら帰社できなくなります。
そこで期待されるのがガソリンスタンド的な、充電ステーションか電池貸出サービスです。
現実的には電池のサブスクを選ぶ事になるのではないかと考えられます。
そのようなサービスが必要になるのであれば、ユアサ商事様のようにガソリンスタンドに強い商社が既に事業をしているだろうと思っていましたが、内燃機系と石油系がこのような事業をスタートさせました。
Gachaco
株式会社Gachacoは電動二輪車(バイク)のバッテリーシェアリングサービスを提供する会社で、2022年4月1日に設立しました。
参画しているのはガソリンスタンドを展開するエネオスと、バイクメーカーとして知られるホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハの4社です。
ENEOSホールディングス株式会社:「株式会社Gachaco」の設立について(2022年3月30日)
ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社:「株式会社Gachaco」の設立について(2022年3月30日)
本田技研工業:「株式会社Gachaco」の設立について(2022年3月30日)
スズキ株式会社:「株式会社Gachaco」の設立について(2022年3月30日)
ヤマハ発動機株式会社:「株式会社Gachaco」の設立について(2022年3月30日)
日経XTECH:ホンダやENEOSら、2輪EV電池交換式サービスを展開 22年秋から(2022年3月31日)
日本経済新聞:電動二輪の電池、給油所で交換(2022年3月31日)
ヤングマシン:電動バイクの交換式バッテリー普及へ! エネオス+国産バイク4メーカーがインフラ構築に向け始動(2022年4月2日)
以前から動きはあった
Gachacoというワードは急に出てきたかもしれませんが、プラットフォームについては以前から報道がありました。
まず大きな話題としては、バイクメーカー各社が個別に競うのではなく、バッテリーについては標準化を図ろうとしたことが大きいです。
国内4社が足並みを揃えたことで、普及への道は広がったと考えられます。
かつての『VHSか?ベータか?』という究極の選択を迫られるような事は回避できました。
ガラパゴス化が問題になりやすい日本でありますが、今回も参画しているのは国内メーカーだけなので、そこは心配があります。
ただし、バイクについては日本メーカーが世界でも台頭しているので、他社も参画してくれることを願っています。
本田技研工業株式会社:電動二輪車用交換式バッテリーのコンソーシアムを創設(2019年4月4日)
本田技研工業株式会社:電動二輪車用交換式バッテリーの相互利用を可能にする標準化に合意(2021年3月26日)
Gachacoの目指す世界観
既に動画を御視聴なさった方は概ねGachacoの方針が見えたのではないかと思います。
バッテリは個人所有ではなく、社会で共有するような考え方です。
サステナブルであるかどうかはこれからですが、利便性があるのは確かだと思います。
問題は費用対効果、どれだけの価格で提供されるかだと思います。
125ccクラスで検討中
当社の主たる移動手段は125ccのスクーターです。
元々、病院への出入りが多いためにバイクになりました。外来のピーク時、駐車場待ちの時間が1時間以上ということもあるので車はリスクでもありました。
現在、本田技研工業からはPCXという車種の『PCX e:HEV』という型式があり、受注販売しています。これはハイブリッド車です。
ヤマハ発動機からは法人向けリースで125ccクラスの電動バイクが出ています。
『E01』(イーゼロワン)は原付二種なので125ccクラスの電動バイクです。
1回の充電で104km走行できるということなので、通勤圏内の移動にはギリギリ使えそうです。
2022年5月から応募が始まるお試しリースでは、リース料は月2万円だそうです。
これが実売価格になるとすれば60カ月で120万円のバイクということになります。
軽自動車のリースが月1万円くらいですので、なかなかの負担です。
YAMAHA:実証実験として電動バイク「E01」の3ヶ月間のリースを行います!
費用感
バッテリーシェアリングにかかる経費は以下が想定されます。
- バッテリ本体
- 充電に要する電力
- 貸出ステーションの場所代
- 貸出ステーションの管理費
- シェアリングシステム(プラットフォーム)
買取の場合でもバッテリ本体価格と充電費用はかかりますが、電池自体はバイクに搭載したままになるので場所代はかからないと思います。
貸出ステーションの家賃的なものや、それを管理する人件費、貸出管理をするITシステム、全体をとりまとめる運営事業者、盗難対策や保険など買取の場合は必要ではない経費が加算されるので、これがどの程度になるのかが心配されます。
郵便配達や新聞配達、宅配ピザなど業務用で毎日稼働し続ける場合は月数万円の費用も払えると思います。
ガソリン車で1日300円分の燃料消費が30日あれば9,000円ですので、まず9,000円までは払える範囲です。
自社で充電する場合、充電中はバイクが使えなくなるか、充電用の予備バッテリを買わなければなりません。
業務用でバイクを使う時間が重なるのであれば、バイクの台数分だけ予備バッテリが必要かもしれません。
これが1個10万円で、3年に1回は買替となると、サブスクの方がリーズナブルな感じになります。
個人なら月額○千円!?
個人利用の場合、いくらが妥当でしょうか。
フル充電の状態でガソリン500円分走行できるとすれば、1回500円で借りるというのは妥当なところです。
ただし、毎回500円分充電できているという保証はありません。なぜなら、電池は劣化するからです。
では、月3,000円で5回まで交換できるというサービスではどうでしょうか。
1回あたり600円で、ガソリン代換算約500円分走行できるというサービスであれば、手が出るかなと思います。
バッテリを買い取って、5年後には劣化で交換という場合にはバッテリ本体価格という悩ましい問題があります。
幸い、今回はバイク4社が標準バッテリをリリースすることになりそうなので無駄に高いバッテリにはならなそうです。
安く見積もって5万円、容量を考えると10万円くらいかなと思われるバッテリが5年毎だと60カ月で月833円です。
バイクの使用頻度にもよりますが、個人所有で考えると、バッテリ代は月1,000円くらいを見込んでおくと良いのかもしれないので、それを買い取るのかサブスクで借りるのか、このあたりが判断の分かれ目になりそうです。
電気工事屋は電気設備工事が必要
電力をどのように運び、どのように消費するかは電気屋にも関係ありますが、ビジネスとしては設備工事が発生しないと本業には影響しません。
電動バイクに関係して最も重い作業としては充電器の工事だと思います。
100Vのコンセントで一般家電と同じ様に充電できるのであれば延長コードでも済むので電気工事屋の出番ではありません。
200Vの専用回路が必要になると、電気設備工事が発生します。
充電ステーションについては、どのレベルで運営していくかによって工事のレベルも変わると思います。
ガソリンスタンドが生き残りとして展開する場合は大掛かりな工事もすると思いますので三相三線式200Vで充電もあり得ると思います。
他方で、コンビニや自動販売機レベルでの運営となると単相200Vで出来る範囲内と考えるべきだと思います。ちょっと大きめのエアコンくらいです。
普及の様子を見て、当社にも充電設備を敷設しようと思います。
マイクロ自家発電
現状では電柱から電力を引込、メーターを付けて、ブレーカーを付けて、充電器を設置して、バイクのバッテリに充電するというモデルしか考えにくいと思います。
ここでかかる経費は電力引込や宅内配線の電気設備費です。
もし、充電器自体に発電機が付属していて、自ら発電した電力を電池に貯める仕組みであればどうでしょうか。
電気設備工事は要りません。
サイズ感はわかりませんが、エアコンの室外機くらいの大きさであれば持ち運びも、設置も大人1人でできます。
配線に必要な電線も、その保守も、工事の人件費も要りませんので、今後はこのようなタイプが電気工事屋の脅威になると思います。
Five forces analysis
会社が生き残るために、事業が存続するためには脅威分析が必要になります。
電気設備工事を脅かす要因はいくつも考えられます。
配線工事が不要になれば、電気工事士免状は必要とされないので競合が増えます。これは『新規参入者の脅威』です。
電力以外の方法で対応できる事が増えれば、それも電気設備を不要とする要因となります。
太陽光発電はありますが、光を貯めこむ技術はありません。もし昼間の明るさを貯めこむことができると、照明器具に電力を使うという概念が変わるかもしれません。これは『代替品の脅威』です。
既存競合との競争や納入業者からの価格交渉、顧客からの要求は既知の要因ではありますが、未知となる新規参入や代替品についてはアンテナを立てて見守っておく必要があります。
当社は電気設備工事は主力事業ではなくコンサルティングが主力事業ですので、ここに挙げた脅威では業績に影響は出ませんが、逆に当社が脅威の存在になるような新事業を展開していかなければ、細々としたコンサルティング事業では生き残れないかもしれません。
当社では幾度もFive Forces Analysisを使って検討を重ねています。