令和4年度診療報酬改定では新型コロナウイルス感染症の流行拡大において医療機関が果たした役割を鑑み、医療体制の確保に関する新設や増額などが見られました。
今回の改定では医科にとって見慣れぬ『BCP』という言葉が出てきました。
アルブミン測定法の1つであるBCP(bromcresol purple)ではありmせん。
Business continuity planを略したBCP、業務継続計画の意味で使われる”BCP”が登場しました。
概要説明では2か所にBCP
機能評価係数II
2022年3月4日の厚労省の説明動画で言うと20分~20分40秒あたりで説明されている24ページ『DPC/PDPSの見直し』のところで『機能評価係数II』の『体制評価指数』に『BCP』が入ったという説明がありました。
訪問看護ステーションの地域連携等の強化
厚労省の説明動画で言うと34分あたりで使われている資料43ページ『新興感染症等の対策に係る評価の主な見直し(2)』の『3.在宅医療・訪問看護における体制強化』のところで『BCP』という文字が出てきます。
厚生労働省:令和4年度診療報酬改定の概要【全体概要版】, 厚生労働省 保険局 医療課長 井内努(2022年3月4日)
DPC/PDPSと機能評価係数II
DPC/PDPS
DPC/PDPSはDiagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment Systemの略称です。
診断群別の日額報酬算定制度というような意味ですが、簡単に言えば出来高払いではなく包括払いの制度です。
基本的には入院に関する制度ですので、機能評価係数やBCPに関する話題も入院を扱う領域、主に病院の話題になります。
厚生労働省:DPC制度(DPC/PDPS)の概要と基本的な考え方, 中医協 総-3-1(2011年1月21日)
厚生労働省:DPC/PDPSの包括範囲について, 診調組 D-3(2011年2月9日)
DPCの医療機関別係数
DPCにおいて手術などの項目別の点数は参加機関で共通しますが、そこに掛ける『係数』については医療機関毎に異なります。
基礎係数+機能評価係数I+機能評価係数II=医療機関別係数
この中で『機能評価係数II』は診療実績に基づく調整分の報酬に該当します。
その評価として医療の質に関わる部分と、地域における役割などが要素として挙げられています。
この係数については厚生労働大臣から官報などを通じて広く国民に知らされています。
厚生労働省:DPC制度に係る医療機関別係数の今後の検討の考え方(案), 診調組 D-2(2017年2月9日)
厚生労働省:厚生労働大臣が指定する病院の病棟並びに厚生労働大臣が定める病院、基礎係数、暫定調整係数、機能評価係数I及び機能評価係数IIの一部を改正する告示(2022年3月18日)
BCPとDPC
BCPがDPC制度とどう関わるかと言えば、先述の機能評価係数IIの算定指数に『BCPの策定』が盛り込まれたことにあります。
災害拠点病院は除外されたので、BCPが在って当たり前という考えなのだと思います。
従前の体制評価指数において『災害』の項目には以下の3点がありました。
- 災害拠点病院の指定(0.5P)
- DMATの指定(0.25P)
- EMISへの参加(0.25P)
災害拠点病院もDMATも簡単にできることではありませんが、EMISへの参加はできない内容ではありません。
今回の診療報酬改定では『BCPの策定』という具体的であり、どこの病院でもできる内容が掲げられたことが大きな変化です。
BCPとはBusiness Continuity Plan、ビジネスの継続計画であり、医療で言えば長く医業を続けることでもあり、災害やパンデミックでも診療を続けるという短期的な視点でも計画されるものです。
このBCPを策定していることが要件に含まれましたので、DPCの『医療機関別係数』を下げないためにはBCPの策定が急がれます。
厚生労働省発表資料
診療報酬改定の情報で、最も正確であるものは厚生労働省の発表資料です。診療報酬を検討する機関(中央社会保険医療協議会)が厚生労働省内の会議体ですので、正確であって当然です。
疑義解釈なども厚生労働省から出されます。
厚生労働省:令和4年度診療報酬改定内容説明(YouTube)
厚生労働省:令和4年度診療報酬改定説明資料等について(2022年3月4日)
医師会発表資料
医師会の情報も正確な情報であると考えられます。
医師会として診療報酬をどう読むかと言った意見が出される場もありますが、シンプルに新旧対比だけしている資料も配られます。
その他資料
客観的に書かれている情報は信用して利用していますが、主観が入るような資料については、事実の部分と、意見の部分を分けて参考にしています。
筆者では理解できない資料も、コメントを付けてくださるお陰で読みやすくなっているものがネット上にもたくさんありますし、セミナーなどを聴講すればさらに『大きな声では言えませんが』といったお話も聞く事ができます。