Call the Midwife trilogy
この物語はジェニファー・ワースの著作であるコール・ザ・ミッドワイフ三部作が原作です。
” In Memory of Jennifer Worth 1935-2011 “がシーズン1・エピソード1のエンディングで出てきます。
ジェニファーは1950年代に実際にイーストエンドで働いていた看護師です。
20世紀半ばであっても19世紀のままの文化が変わらない、取り残されたままのポプラーを描いた作品です。
【参考】BBC: Jennifer Worth: Call The Midwife author dies at 75
【参考】Amazon Video: コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語
ドラマは描写がリアル
時代を映すドラマとして見るとしても、よくできている作品なのだと思います。素人なのでわかりませんが。
助産婦の仕事について1950年頃の様子を知るには、非常に良い教材だと思います。
使われる道具や薬剤に多少の変化はあっても、妊娠や出産は何千年も前から変わっていませんので、それがどのように人類に受け継がれ、またどのように変化していったのかを垣間見ることができるドラマです。
いま見るからハマる
おそらく養成校の大学生が見てもハマりはしないと思います。
多少なり医療現場を見て、助産師さんと付き合い、妊娠や出産とはどのようなものかを知ったあとだからこその面白さがあると思います。
21世紀の医療が最先端としても、妊婦は病人ではないのである程度は昔ながら、自然分娩です。
何かあった時のリカバリは準備万端、出産前後のケアはしっかりしていて、美味しい食事やキレイなベッドが用意されています。
1950年代と変わったところはありますが、分娩という行為自体は大きく変わっていないので、それにまつわるエピソードは見ごたえがあります。
長寿番組
イギリスがBBC(英国放送協会)が制作したコール・ザ・ミッドワイフは2022年もまだ続いています。
シーズン1から10まではAmazon Primeで視聴可能なので、Prime会員であれば追加料金なし(無料)です。
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これだけの量があるので1週間で見れるようなものではありません。数か月かけてゆっくりと見ていくことができるので、当面は見るものに困らないと思います。
シーズン1・エピソード1
ナース・リー
1957年(昭和32年)のロンドン・イーストエンド(East End of London)の港から始まる第1話は、ジェニー・リー(Jessica Raine)が街に到着するところから始まります。
女性同士の殴り合いが最初の1分から出て来て、ドラマの舞台となるポプラーの民度が窺い知れます。
街の至る所に瓦礫があるのは、空爆によるものだそうです。
第1話では『ナースで新米の助産婦です』と名乗り出ているナース・リーですが、その経験値の高さは後のエピソードで出てきます。
ナースはミラーとフランクリン(第1話)
第1話ではナース・ミラーとナース・トリクシー・フランクリンが居る所にナース・リーが加わって3人体制となります。
第2話では看護師5年の新米助産師であるチャミー(カミラ・フォーテスキュー・チョムリー・ブラウン)が加わります。
シーズンを追うごとに人が入れ替わります。
シスターは4人(第1話)
助産術を提供する修道女はジュリエンヌ(Sister Julienne)、エヴァンジェリーナ(Sister Evangelina)、モニカ(Sister Monica Joan)、ベルナデット(Sister Bernadette)です。
シーズンを追うごとに人が入れ替わります。
雑用係
女性ばかりで暮らしているノンナートゥス・ハウスですが、唯一の男性は営繕担当というか雑用係というか、そのような感じです。
第2話で戦争の話をするときに『”腹が減っては戦はできぬ” あればウソで大事なのは便所』と言っていましたが、弊社の災害対策でも同様の話をしているので共感しました。
第1話のケンカのシーンでは警察官も出てきます。同じ警察官は第2話でも登場します。
シーズン2以降
人の出入りがありますので、ぜひ1話ずつ楽しんで見て行ってください。
Poplar (East end London)
ポプラーの位置はだいたいこのあたりだそうです。
イーストエンドのTower Hamlets地区という記述が資料にありました。
Saint Frideswides house
Nonnatus Houseがどこにあったか、実在するかわかりませんが関連する施設がロンドンには残っています。
往診バッグ
- ハサミ(へその緒をカット)
- 鉗子(へその緒をクランプ)
- ピナール/ピナード聴診器(胎児用聴診器)
- 聴診器(血圧測定・聴診)
- 血圧計(水銀血圧計)
- 体温計(水銀体温計)
- 石鹸
- 爪ブラシ
- 包帯
- 滅菌ガーゼ
- ヨードホルムガーゼ
- 浣腸じょうご
- 浣腸スポイド
- 直腸チューブ(ガラス製)
出産準備箱
出産予定日の2週間前になると助産婦さんが自宅に届けてくれます。
同時に、出産に適した環境であることも確認されます。
- ベッド用ゴムシーツ
点滴・注射
輸液バッグも注射筒もガラスです。
輸液チューブはゴムチューブです。
針は単回使用かリユースか、わかりません。
吸引器
電動式の吸引装置ではなく、医師や看護師が口でチューブを吸い込んで異物除去するシーンがよく出てきます。
似たようなもので搾乳機も手動のものが出てきます(シーズン4・エピソード2)。
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吸入器
いわゆるネブライザのようなものですが、お湯を入れたポットのようなものにガラス管を付け、先端がくわえられるようになっていて咳込む人に吸わせています(シーズン5・エピソード2・33分頃)。
おそらく呼吸器疾患の薬の吸入らしきシーンがシーズン5・エピソード7で出てきます。
こちらは喘息の吸入薬のように一瞬で吸い終わる感じです。
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レントゲン
レントゲン写真の撮影は、どこかの拠点病院まで行けば出来たようです。
放射線治療も始まっていたようです。装置は映りませんが、医師からの説明などで出てきます。
ラジウム療法という言葉も出てきたことがあります(シーズン1・エピソード5/シーズン5・エピソード7、ほか)。
シーズン2・エピソード8ではレントゲン検診車が手配されポプラーの住民たちが胸部撮影を受けます。28分あたりで実車が映されます。
終盤では病院の単純X線装置も出てきます。
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生活器具
家庭用電化製品・非電化製品
ラジオは家庭にも普及しつつあるようですが、それでも珍しい物だったようです。
家庭用ミシンは手動式の物がノンナートゥスには在りました。
シーズン3・エピソード1ではヘアドライヤーを使うシーンがあります。
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照明
照明は電化されていました。
処置灯(無影灯?)もあります。
ただし、貧困を現すことが多い本作では、ロウソクで暮らす人も出てきます。
TVがノンナートゥスに来たのは1960年頃
シーズン2・エピソード1の冒頭で、お店のショーケースに入ったテレビに群がる子供達と、シスター・モニカの笑顔から始まるシーンがあります。
この日はナース・リーにとって初のポプラーでのクリスマスだということなので1957年です。
シーズン5・エピソード2の終盤で、やっとノンナートゥスにテレビが届きます。
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自転車
看護師や助産師の移動手段は基本的に自転車です。
この時代、自転車にスタンドは無かったようで、壁に立てかけるシーンがよくあります。
スクーター
ノンナートゥス・ハウスにも1台のスクーターが来ますが、街で乗っている人の様子もときどき出てきます。
自動車
Dr.ターナーは当初から乗用車を持っています。
雑用係のフレッドも緑色のバンを持つようになります。
シーズン4・エピソード3ではニューガーデン邸の前にロールス・ロイスが停まっています。
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救急車
救急車は毎回のように出てきます。
自動車の後部が寝台になっているので、今の救急車とは大きく変わりません。
交通事情や自動車の性能は大きく違うと思います。濃霧や大雪では救急車を出動させられないという点については現代でも同様ですが、おそらく基準となるものが違ったと思います。
消防車
シーズン2・エピソード3の終盤ではアパート火災が発生し消防車が終結します。
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電話
ノンナートゥス・ハウスには電話があります。
一般家庭にはまだ普及していない様子で、お金持ちらしい家にはあったりしますが、たいていは公衆電話からノンナートゥス・ハウスに電話します。
ノンナートゥス・ハウスは『ポプラーの4**』と番号があり、おそらく直接架けられるようになっていると思います。
遠方の場合、交換手を介してつないでもらうのかもしれません。
たくさん生まれる
第1話でシスター・エヴァンジェリーナが自転車で移動しながら『毎月 80~100人がポプラーで生まれる』と話しています。
ナース・リーが最初に訪問するウォーレンさんは『22回の妊娠で双子が2回』『子供は24人』『もう24人も産んでいる』と言っていましたが、ロンドンに住んでいてもスペイン語しか話せないので娘が通訳していました。
避妊
シーズン1のエピソード1の序盤でシスター・エヴァンジェリーナが『乳母車が空いたと思ったらすぐ次の子よ。ずっとそんな調子。魔法の薬でも発明して止めない限りはね』
シーズン2・エピソード3では船長の娘の部屋に『ものすごい数の避妊具』をナース・フランクリンが見つけます。
シーズン2・エピソード7では望まぬ妊娠に対して民間療法を試した夫婦が話題が取り上げられています。
シーズン5・エピソード9では経口避妊薬についてDr.ターナーとシスター・ジュリエンヌが意見交換をします。
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死産・流産
ときどきあります。
シーズン1のエピソード1の40分頃には未熟児の出産をナース・リーが取り上げることになりますが、出てきた胎児は蒼白で泣きもしない、というシーンがあります。
シーズン4・エピソード3では出産直後にパッツィが『数日前に心臓が止まってる』と死産を告げるシーンがあります。
亡くなった嬰児は流し台に置かれ、ナース・マウントとナース・ギルバートは妊婦の下へ戻ります。
シーズン5・エピソード6では出産から1時間ほどで亡くなっていく児の話題があります。
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救貧院
貧困生活
シーズン1・エピソード3では独居老人宅(ジョー)をナース・リーが訪問します。ボーア戦争で撃たれた脚の傷のケアで、 処置中にジョーから差し出された飲み物はカップが汚く口を付けられませんでした。皿を持ち上げると虫がたくさん居たこともナース・リーには衝撃的だった様子が描かれています。
狭く汚れた部屋に住むジョーですが『若い頃はこんな贅沢を想像できなかった。暖かいベッドに食べ物もある』と話していますので、1950年頃の高齢者の価値観としては住む家があるということが贅沢だったようです。
救貧院で育った兄妹の話では、休むことが許されないと思いながら暮らす女性が描かれています。
いつも一生懸命に教会の床を掃除し、それを怠ることはできないと思っている様子でした。
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救貧院の生活
シーズン2・エピソード1の9分あたりで出て来る老婆(メアリー・アン・ジェンキンス)はコートにカビが生え、靴を脱いだことがないという彼女の靴を脱がすと爪が伸びきっていて痛々しかったです(シーズン2・エピソード2の8分あたり)。
ジェンキンス夫人が大声で叫ぶシーン(シーズン2・エピソード1・32分)がありますが、ナース・リーは聴いたことがないというこの叫び声は『救貧院の遠吠え』だとシスター・エヴァンジェリーナが教えています。『底辺にいる人間が出す音さ』『抗議の叫びだけど闘志は残ってない。希望もね』とシスターは続けます。
シスター・モニカは『救貧院の遠吠え』を『言葉にできない苦悶』と話し、『減ったのは、診療所が閉鎖し、入院患者がゆっくり墓に入ったからよ』と話していました。
ジェンキンス夫人はポプラー救貧院の出身、1906年4月3日に貧困認定を受けた記録をナース・リーが見つけます。4人の子どもは『Died』(死亡)と記録されていました。救貧院に居たのは1906年から1935年の29年、裁縫小屋に居たそうです。
- Alice(1904): Pneumonia
- George(1901): Failure to thrive
- May(1903): Tuberculosis
- Percy(1905): Influenza
- Rose(1898年): Failure to thrive
この記録ではMary Ann Jenkinsは1878年12月生まれ、何かの欄に『Destitute』(貧しい)と書かれています。
ジェンキンス夫人は診療を勧められると『金がもたない』と言いますが、ナース・リーは『診療は無料よ。それから、眼鏡とステッキを貰える』と話していますので1950年代には社会保障制度が発達してきていることが窺えます。
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路上生活
路上生活者、家の無い人の話はときどきでてきます。
シーズン2・エピソード9では、路上生活から救われたから男の言いなりでも構わないという女性が出てきます。
旦那は『俺が居なければ救貧院行きだ』『拾ってやったんだぞ』などと暴言を吐きますが、感謝していると返しますので、それだけの主従関係が成り立つ背景があるのだと思います。
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育児放棄
シーズン4・エピソード2では、身体、服、家などすべてが汚れ衛生状態が悪く、飢えに苦しむ子どもたちが描かれています。
長男は身体中にアザがあり、盗みを働いて生活していました。
『消毒所を開く』という状況の兄妹が出てきます。
身体を洗う際にトリクシーが『ヴィダル・サスーンじゃないけどね。用は足りる』と有名美容室を引き合いにだして子供達に説明していました。
シーズン5・エピソード7では新生児を置いて去る母親の話題があります。
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喫煙文化
どこでも吸える
家でも、助産院でも、病室でも、どこでもタバコが吸えます。
禁煙を掲げる場所は無いのではないかと思います。
誰もが吸える
シーズン1のエピソード1の折り返しあたり、ナース・リーがピナールで胎児の音を聴いているとき、妊婦はベッドで横になりながらタバコを吸っています。
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危機感を抱く
シーズン5・エピソード6ではDr.ターナーの息子が喫煙に嫌悪感を示します。
シーズン5・エピソード7では呼吸器疾患が扱われ、喫煙者の剖検シーンがあります。
ここで喫煙に対する考え方が変わってきます。1961年のことです。
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手話
シーズン4・エピソード9では手話が出てきますが、いくつかの会話は読めました。
日本手話とは違いますが、雰囲気的に何を言いたいのかわかる感じでした。
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浣腸
シーズン1のエピソード1が半分くらい進んだところで、リアルな浣腸の様子が出てきます。
シスター・エヴァンジェリーナが『高く、熱く、もっとよ』と言って浣腸じょうごに泡立てた石鹸水を流し込みます。
このときベッドパンも出てきます。たぶん陶器だと思います。
この出産シーンでは、詰まった煙突のススが落ちて来て部屋中が真っ黒になりますが、シスター・エヴァンジェリーナがタオルを被せたので赤ちゃんは無事でした。
往診
ナースやシスターが訪問するのは当然のごとく行われています。それがノンナートゥス・ハウスの存在意義でもあると思います。
Dr.ターナーも簡単に呼び出されますし、簡単に来てくれます。
とはいえ、エリアに1人しか居ない医師だと思いますので、手が離せなくて来れないこともあります。
往診とは逆に、病院へ行くとなると『救急車でロンドン病院』ということになります。
看護
看護師(ナース)や助産師(ミッドワイフ)が担う仕事は、医療的なことだけではありません。
療養に必要とあらば、炊事や洗濯を手伝います。
いわゆる『療養上の世話』をする看護師が描かれています。
クリミアの天使と呼ばれたイギリスの看護師であるフローレンス・ナイチンゲールは1820年生まれ、1910年没なのでコール・ザ・ミッドワイフのナースたちが生まれる前に亡くなっていると思います。
そう考えると看護学校ではナイチンゲールの看護活動についても教わっていそうです。
著書『Notes on Hospitals』は1863年発行なので、1863年に18歳の看護学生だった人は1960年には115歳なので、おそらくノンナートゥス・ハウスの誰もが教科書として使ったのかもしれません。
臨床検査
POCT
シーズン1のエピソード1のちょうど半分、ナース・リーがウォーレンさんの尿を試験管に入れて、アルコールランプで熱しています。
『子癇前症の恐れがあるから尿のタンパク質を見るの』と言って熱した試験管を光にかざしています。
いわゆるPoint of Care Testing (POCT)です。
血液検査などは瓶に詰めてどこかに運んで検査してもらっているシーンがあるので、おそらく血算や生化学などどこかのラボが請け負っていたのだと思います。
他方、尿蛋白などは産院に帰って検査するとしても助産婦が自ら熱して目視ということなので、現場で検査していたのだと思います。
笑気ガス
シーズン2・エピソード3でDr.ターナーが妊婦に披露したのが最初です。
シスターたちの食事のシーンで『もう1958年よ』と言っているので、1958年には大学病院ではなく地方でも笑気ガスが入手できていたのだと思います。
手術
手術は滅多に出てきませんが。
シーズン2・エピソード5でジミーの手術をする際にナース・リーが直介に入って、気管内挿管をされた患者やガウンを身に付けた術者らが映ります。
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シーズン5・エピソード6では帝王切開の手術シーンが出てきます。
気管内挿管された妊婦、メスを入れられるシーン、いくつかの鋼製器具などが映ります。
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サナトリウム・療養所
障害を持つ子供たちが療養する聖ギデオン病院はシーズン2・エピソード6で初めて出てきます。
ここはシーズン3・エピソード7でも再び出てきます。
ダウン症らしき子に父親が『この子は普通じゃない』と言ったあとで娘が『ギデオンでは普通の子よ』と言い返すシーンを見ると、聖ギデオン病院の存在意義がわかる気がします。
結核の治療では『SAINT ANNE’S SANATORIUM』に入院する様子が映されています。
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障害者
ここはシーズン3・エピソード7で聖ギデオン病院の創立記念日のパーティが取り上げられ、非常にリアルな感じの障害者らしき出演者が集まります。
このエピソード7で出て来るサリーはダウン症と思われますが、35分あたりで母親が『”蒙古症”なんて… モンゴル人は海外の種族よ』『映画でみたわ。ゲイリー・クーパーの”マルコ・ポーロの冒険”で』『あの子は海外の種族じゃない』と話します。
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Amazon Prime Video: マルコ・ポーロの冒険(字幕版)
PTSD
シーズン3・エピソード1と2では戦争経験者の心的外傷について描かれています。
戦争の体験はシーズン3・エピソード8でも語られます。ジャワ飛行場を日本軍から守っていたが勝機は無かったという男性は、捕虜生活でビルマ鉄道の建設でマラッカ海峡へ送られ、ネズミやハエを食べ、米粒を取り合った経験を話しています。
ナースの1人も日本軍の収容所で『事あるごとに殴られ、拷問された』『すべて奪われた』『人間の残酷さを思い知った』と語っています。
日本軍が本当にこのようなことをしたのかわかりませんが、このドラマの中では語られています。
戦争関係では主要な出演者に関するエピソードもありますが、ネタバレになるので触れないでおきます。
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精神障害
精神障害についてのエピソードもいくつか紹介されます。
シーズン3・エピソード9では電気刺激を与える治療法が行われています。
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取り違え事故
シーズン4・エピソード8では取り違え事故が起こります。
医療側から『赤ちゃんにタグを付けなかった』『取り違えた』と説明がなされています。
その裏付けとして、血液型の不一致など科学的根拠(証拠)も示されています。
起こってしまったことは仕方ないのですが、どのようにすれば再発防止ができるかをチームとして考えていきます。
1950年代にもこのような考え方で解決策を導き出していたとすれば、ナースやシスターの素晴らしさが伝わるエピソードです。
医療安全の世界では、誰かを責めても解決にはならないという教育が行われますが、その裏にはミスをした人を責めてしまうマネジャーが居ることを示唆しています。
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骨軟化症
シーズン1・エピソード2の中盤で出て来るブレンダ(妊婦)は足に装具を付けています。
幼いころの骨軟化症の影響で骨形成異常となり、大人になっても装具が必要、歩行器も使って何とか歩いています。
Dr.ターナーは『くる病骨盤だ』と話しています。原因は幼少期の日照と栄養不足、貧困が背景にあると説明しています。
シーズン4・エピソード6にも骨の問題がある児の話が出てきます。この回は、この児の話題が中心的なので、ネタバレにならないようにエピソードは伏せておきます。
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ポリオ・脊髄性小児麻痺
ポリオを発症する少年の話もあります(シーズン3・エピソード2)。
腰椎穿刺をするシーンもあります。
『鉄の肺』が使われるシーンもあります。
シーズン3・エピソード8ではワクチン接種の準備が整ったとDr.ターナーが話しています。
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ジフテリア
シーズン4・エピソード6ではジフテリアの拡大が話題として挙げられます。
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チフス
シーズン5・エピソード5ではチフスの感染が話題として挙げられます。
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ペニシリン
よく出て来るお薬です。
教科書的に言うと1928年にイギリスの医師であるアレクサンダー・フレミングが発見、1945年にノーベル生理学医学賞を受賞しているので、イギリスの医療従事者で知らない人は居ない薬だと思います。
ペニシリンは今でも使われている薬です。
アスピリン
よく出て来るお薬です。
1897年にドイツの化学者ホフマンがアセチルサリチル酸の合成に成功し、1899年にドイツのバイエル社が『アスピリン』として販売開始した記録があります。
バイエル薬品のアスピリンは今でも『バイアスピリン』として販売されています。
アスピリンは非ステロイド性抗炎症薬、解熱鎮痛剤として知られています。
エプソム塩
これもシーズン1から当たり前のように出てきているものです。
塩ではなくマグネシウムです。
エルゴメトリン
子宮収縮止血剤です。
現在の日本でも薬事承認品があり、胎盤娩出後、子宮復古不全、流産、人工妊娠中絶などを対象に、子宮収縮の促進並びに子宮出血の予防及び治療の目的で使用されています。
シーズン2・エピソード5では双子の出産後に使用されていました。
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ジチアザニン
『米国の薬で”ジチアザニン”よ』とナース・マウントが出したのは糞線虫症で苦しむ患者のための薬でした。
イーストエンドからセント・パンクラスの熱帯病医院へ行き、そこからリバプールの研究所に試験的新薬があると聞いて飛んで行ったということでした。
【参考】The Hospital for Tropical Diseases, London
サリドマイド
シーズン4・エピソード9
今回は妊娠悪疽で1日に30回も嘔吐する妊婦(モーリーン)の話題から、制吐剤の服用へと話が流れます。
制吐剤を提案したのはターナー夫人、薬売りの広告を差し出すDr.ターナーは浮かない顔をしていますが、ターナー夫人は喜んで持って行きます。
ひどい脱水症状となったモーリーンは入院しますが、治療が奏功して退院できました。
退院間際にモーリーンが『魔法の薬』と言ったあとに、Dr.ターナーが『ディスタヴァルだ。成分はサリドマイド』と紹介しました。
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シーズン5・エピソード3
この回最初の出産シーンは12分頃にあります。
この新生児に課題がありました。
最初の診立てでは『生きられない』と思われ、まずはひと晩様子を見て小児病院へ搬送する段取りとなっていました。
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シーズン5・エピソード6
この回では病院での出産シーンがあります。
ポプラーから運ばれた妊婦なので、ポプラーの住民ですが、それ以外の児にも同様のことが起きていることがわかります。
最初の診立てでは『生きられない』と思われ、まずはひと晩様子を見て小児病院へ搬送する段取りとなっていました。
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シーズン5・エピソード10
サリドマイドが有害である事が明るみに出たのが、ポプラーでは1961年のことだったようです(ドラマ内の設定)。
実話としては、オーストラリアの産婦人科医であったWilliam G. McBride(ウィリアム・G・マクブライド)が1961年4月、サリドマイドを服用した母親から生まれた赤ちゃんの手足が短くなったり、無かったする先天性欠損症があることに気づき、Crown St. Women’s Hospital (Sydney, Australia)で使用を中止したことが医学雑誌”Lancet”に投稿したことが始まりです。
コール・ザ・ミッドワイフが実話ベースなので、サリドマイドの件も実話とリンクして当然だと思います。
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THALIDOMIDE AND CONGENITAL ABNORMALITIES
総括
このドラマは、医療従事者の生涯教育として役立つと思います。
医療産業に参入しようという民間企業の方々にとっても、医療の原点的なところ、電化される前の医療とはどのようなものであり、どのくらい不確かさがあったのかを知ることができるのではないかと思います。
いまや産婦人科に3D超音波診断装置があって当たり前、お腹の中にいる赤ちゃんが立体的に見える映像をDVDに焼いて貰って帰るようなことも普遍的かもしれませんが、昔はお腹に耳を当てて確認、やがてピナード聴診器を使うことが普遍化しました。
ピナード聴診器でどこまで聴こえるか、正常な胎児ばかりではないなかで聴き分けていた助産師のスキルの高さを実感してもらえると、より教育効果が高まるかなと思います。
非常に話題豊富なドラマですので、人間模様も楽しみながら全話コンプリートしてもらいたいです。