学会で聴講
先月開催された第24回日本医療マネジメント学会で気になる演題がありました。
この演題では認知症高齢者が多い病棟において、看護師が『患者の尊厳と安全を確保』しながら転倒転落予防を行っているとのことでした。
ここで重要な存在が『中堅看護師』、その要素は『経験』だそうです。
経験を活かすことで安全が確保されているということは、その経験が途絶えてしまえば、安全確保のための重要な要素が欠落してしまうことになります。
経験を継承
産業界では貴重な職人の知見などを継承していくために、AIやIoTなどICT技術を活用しています。
中堅看護師の経験を活かすのであれば、毎回自らがゼロから検討するのではなく、ICTに部分的でも継承して、業務負荷を軽減しつつ、ICT化できない部分を後輩たちに指導していくことで安全性を高めることができると考えられます。
道具の開発
転倒転落防止のデバイスは色々とあります。
よく知られるのが離床センサーといって、ベッドから床に降りようとした場合、降りた場合にアラームを鳴らすデバイスがありますが、これは転倒自体を抑止するのではなく、転倒のおそれがある状態を報知するデバイスです。
何十年も転倒転落防止のツールについて議論されているにも関わらずゴールデンスタンダードが無いということは、まだ開発の余地があり、市場も残っているということになります。
経験とは何だろうか?
中堅看護師がどんな視点で安全を守っているのか、それについては詳細な発表がありませんでしたが、中堅看護師が居る時間帯は転倒転落が少ないというのは事実のようです。
ここをひも解く事ができれば、道具の開発につながると思います。
当社でも、関係先へのインタビューを計画しています。
転倒転落の学会発表
今回の学会では以下の通り『転倒』が演題名に含まれる発表が13件ありました。
1-D-04 リハビリ期における転倒転落予防への取り組み ~アセスメント能力向上を目指して~
医療法人徳洲会 千葉西総合病院 看護部 新妻祐香
1-I-01 当院におけるアクシデントレベルの院内転倒・転落外傷の現況
医療法人愛野記念病院 冨田伸次郎
1-I-05 急性期病院における外来転倒の傾向と分析 75歳以上の高齢患者に着目して
順天堂大学 大学院医学研究科 病院管理学 唐澤沙織
1-I-06 転倒・転落アセスメントシート形式変更による効果
パナソニック健康保険組合 松下記念病院 転倒転落ワーキンググループ 進藤篤史
1-P-064 内視鏡検査・治療時のミタゾラム注投与量と転倒・転落に関する調査
北播磨総合医療センター 小茂池潤太
2-G-23 統一した転倒転落予防対策を行うための取り組み -転倒転落予防ラウンドを通して-
医療法人徳洲会榛原総合病院 中島太志
2-G-24 転倒予防対策チームの活動報告と課題 ~要因分析から転倒予防対策を考える~
医療法人警和会大阪警察病院 藤田忍
2-I-15 リハビリ中の転倒事故後の業務改善報告
医療法人社団愛友会 勝田病院 リハビリテーション技術科 菅沼祥弘
2-I-20 入院患者の転倒転落低減への取り組み ~リスク評価を再考する~
NTT東日本関東病院 医療安全管理室 高瀬園子
2-I-21 転倒転落の発生に関する要因の調査 ~転倒防止策に係る取り組みのための一考察~
医療法人 恵会 光風台病院 野口聖
2-I-23 転倒転落リスク評価から必要な看護ケア実践に繋ぐための支援ツールの作成
市立豊中病院 染谷裕
2-I-33 患者の尊厳を守る転倒転落予防カンファレンス ~中堅看護師のリスクマネジメント~
西脇市立西脇病院 橋詰美穂
2-M-25 HITO病院における『身体抑制解除』『転倒転落防止』に向けた取り組み
社会医療法人石川記念会HITO病院 村上雅之
第24回日本医療マネジメント学会 日程表・プログラム
https://convention.jtbcom.co.jp/jhm2022/program/index.html
パートナーシップ
弊社では医工連携事業化推進のコンサルティングを中核事業としており、多数の実績があります。
転倒転落の改善策を医科や介護へ提案するためのサポートをお引き受けいたします。
医工連携の実務者、事業化実績がある人材は少ないためコンサルティングを入れるという文化は定着していませんが、リピーター様が多数居られますので、その効果はゼロではありません。
ぜひ、お試しください。