住宅の電力契約の形態は地域ごと、電力会社ごとに違います。
電力会社とは、厳密に言うと発電と送配電に分社化されているので、住宅の電力は送配電会社との契約になると思いますが、この記事では『電力会社』としてまとめています。
電力自由化により、越境契約も可能になっているのですべてが正しい情報ではありませんが、参考として従来型の地域別電力会社の契約を進めた場合のブレーカー等についてお示ししています。
地域で契約形態が変わる?
契約口数が最も多い地域、人口最大のエリアである東京電力では、主幹となる契約用アンペアブレーカーが設置されます。このアンペアブレーカーは東京電力から支給される、東京電力の資産です。当然ながら勝手に分解したり改造したりできません。
一方で関西電力には契約用のアンペアブレーカーがありません。施主側が用意した電気設備のみで契約することになります。
東電の方法か、関電の方法かで、設置する分電盤の種類が異なりますので、これから家を建てようという方々の予備知識になって頂ければと思い、まとめています。
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北海道電力
60アンペアまでは、電力会社が指定したブレーカーを使う方法で契約します。北海道電力では『従量電灯B』に該当します。
従量電灯Aは集合住宅の共用灯などに適用されます。
従量電灯Cは60アンペアを超過する場合の契約です。
契約名 | 内容 |
従量電灯A | 最大電流が5A以下 |
従量電灯B | 契約電流が10A、15A、20A、30A、40A、50A、60A |
従量電灯C | 契約容量が6kVA以上50kVA未満 |
お宅の分電盤には、電力会社が設置するブレーカーのスペースがあります。一般的には下図のように左側にブレーカースペース(リミッタースペース)、その隣に漏電ブレーカー、右側に分岐ブレーカーが配置される分電盤を設置します。
入居する頃にはブレーカースペースに色付きのブレーカーが設置されていると思います。
60アンペアでは足りないとなった場合には、電力会社のブレーカーを取り外すことで、従量電灯Cの契約に切り替えることは可能です。具体的には電力会社にご相談ください。
10A | 15A | 20A | 30A | 40A | 50A | 60A |
黒 | 黄 | 青 | 赤 | 灰 | 茶 | 紫 |
東北電力
60アンペアまでは、電力会社が指定したブレーカーを使う方法で契約します。東北電力では『従量電灯B』に該当します。
従量電灯Aは集合住宅の共用灯などに適用されます。
従量電灯Cは60アンペアを超過する場合の契約です。
東京電力
60アンペアまでは、電力会社が指定したブレーカーを使う方法で契約します。東京電力では『従量電灯B』に該当します。
従量電灯Aは集合住宅の共用灯などに適用されます。
従量電灯Cは60アンペアを超過する場合の契約です。
アンペアブレーカーの色は下表のとおり分かれています。
10A | 15A | 20A | 30A | 40A | 50A | 60A |
赤 | 桃 | 黄 | 緑 | 灰 | 茶 | 紫 |
1990年代はまだ『単相2線式』でご契約のお宅が多く残っており、引込線がVVFの2.6mm×2芯であるため最大でも30Aの契約しかできないお宅が多くありました。
当時は『単三切替』というリフォーム工事が多くありました。『単相2線式100V』を『単相3線式100V/200V』に切り替える工事で、これによって40~60Aの契約に切り替えることができるようになります。
エアコンが一家に一台から、一部屋に一台となっていたことなどもあり、単三切替が広がりました。
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東京電力エナジーパートナー:料金単価表‐電灯(従来からの料金プラン)
中部電力
60アンペアまでは、電力会社が指定したブレーカーを使う方法で契約します。中部電力では『従量電灯B』に該当します。
従量電灯Aは集合住宅の共用灯などに適用されます。
従量電灯Cは60アンペアを超過する場合の契約です。
アンペアブレーカーの色は下表のとおり分かれています。
10A | 15A | 20A | 30A | 40A | 50A | 60A |
赤 | 茶 | 黄 | 緑 | 青 | 紫/緑 | 灰/黒 |
関西電力
関西電力では、他社で用いられる契約用のアンペアブレーカーの支給がありません。
電気代については、他社に比べてシンプルな計算方法になります。
この記事執筆時点の料金単価で言うと従量電灯Aha最低料金が433.41円/1契約です。
1カ月の使用電力量が260kWhの場合、以下の通り合計6,110円となります。
- 15kWhまで433.41円の基本料金(最低料金)
- 15kWh超~120kWhまで20.31円/1kWhなので、120-15=105kWh、20.31×105=2,132.55円
- 120kWh超は25.71円/1kWhなので、260-120=140kWh、25.71×140=3,599.40円
同じ260kWhを東京電力で試算すると、以下の通り合計7,872円となります。もし40Aで契約すれば7,282円です。
- 60Aで契約した場合の基本料金1,771.44円
- 電力量料金120kWhまで19.91円/1kWhなので、19.91×120=2,389.20円
- 120kWh超~300kWhまで26.51円/1kWhなので、260-120=140kWh、26.51×140=3,711.40円
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中国電力
中国電力は関西電力と同様に、契約用のアンペアブレーカーの支給がありません。
住宅に設置される分電盤は、左側にブレーカースペース(リミッタースペース)が無いタイプ、最左側に漏電遮断機が設置されるタイプです。
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四国電力
四国電力は関西電力や中国電力と同様に、契約用のアンペアブレーカーの支給がありません。
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九州電力
60アンペアまでは、電力会社が指定したブレーカーを使う方法で契約します。九州電力では『従量電灯B』に該当します。
従量電灯Aは集合住宅の共用灯などに適用されます。
従量電灯Cは60アンペアを超過する場合の契約です。
アンペアブレーカーの色は下表のとおり分かれています。東京電力などがアンペアブレーカー(リミッター)本体に着色しているのに対し、九州電力はツマミ(レバー)の部分に色が着いています。
10A | 15A | 20A | 30A | 40A | 50A | 60A |
灰 | 赤 | 黄 | 緑 | 茶 | 青 | 白 |
沖縄電力
沖縄電力は基本的な従量電灯の契約メニューが1種類しかありません。アンペアブレーカー(リミッター)はありません。
契約名 | 内容 |
従量電灯 | 最大需要容量が50kVA未満 |
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おわりに
おうちを建てるという段階では、色々なことを聴かされ、調べ、決定していくことになると思います。
ネット上で分電盤が色々ある事に気づくと思いますが、それは電力会社との契約の関係であることをご理解いただけたのではないかと思います。
今後は電子化、デジタル化が進んでいくためアンペアブレーカーやリミッターという考え方が無くなるかもしれません。この記事が陳腐化するまで10年もかからないと思いますが、それまでの間、どなたかのお役に立てば良いなと思います。