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BCP BLOG

障害者の保護 | NES’s blog

 保護を求める障害者が居たとき、市民はどのような行動ができるのでしょうか。

 今回、対応の誤りがあったのではないかと不安になる事例に遭遇しました。




発端は交通事故

 人身事故となる交通事故が発生しました。

 119番通報、110番通報は済んでいるということで、負傷者の救護に専念しました。

 頭部からの出血、救急搬送して精密検査を受けなければいけない負傷者でありましたが、搬送を拒む発言が見られました。




自宅には….

 色々と話をしていくうちに明かされたのは、自宅に知的障害を持つ家族が1人で留守番しているということでした。

 筆者から『警察と民生委員で対応して貰いましょう』と提案し、負傷者もそのような対応が得られるの出れば救急搬送されても構わないという反応でした。




警察の対応

 警察が先に到着したので、自宅に知的障害者が居る旨を伝えましたが、どうするとかしないとかの回答は得られませんでした。

 負傷者が自宅のカギを差し出しましたが、受取拒否でしたので、不安が残る状態で搬送されていきました。




ゴールは保護

 今回のケースでは、成人している知的障害者が家で1人で留守番をしていて、ちょっと買い物に出ただけの親が帰って来ないという状況になるというものでした。

 事故当時は買い物途中なので、おそらくあと30分や1時間は留守番できるのだと思いますが、別の家族が帰宅するまでの2時間半は1人で居られないだろうということでした。

 パニックになって自傷行為をしたり、家から飛び出して徘徊したりという可能性があるので、保護が必要だろうと筆者は思いました。




障害者虐待防止センター

 警察が対応するともしないとも言わないで終わったので、保護の確実性を高めるために障害者虐待防止センターに電話しました。

 ここで勉強になったのは、この対応は警察に委ねる仕事であるということでした。

 110番通報すれば対応されるとのことで、障害者虐待防止センターの方のご指導の下で通報しました。




リカバリショットは監護権

 主たる養育者である親が臨時で不在、それを警察が把握しているという状況下では、警察が監護や保護をすべき責任者になるだろうとのことでした。

 保護責任者とでも言うのか、警察が危機的な状況にある障害者を保護しなかった場合には、警察による虐待行為として行政が動けるようになるかもしれない、ということでした。

 この意味でも、110番通報は記録も残るので有意義だそうです。

第三十章 遺棄の罪
(遺棄)
第二百十七条 老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。

(保護責任者遺棄等)
第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

(遺棄等致死傷)
第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法



たぶん、誰かが

 事故現場で接触した警察官、救急隊、障害者虐待防止センターなど色々なところに保護を要請するということはできました。

 障害者虐待防止センターは明らかに初動には加われないと言われたので除外すると、あとは警察か救急隊の対応を期待するほかありません。

 たぶん、誰かが保護してくれたでしょう。




結果を知り得ない

 あらゆる場面で『個人情報保護』を盾に、情報が寸断されました。

 こちらから保護して欲しい対象者の情報をお伝えした上で『対象者の存在も含め、一切お答えできない』という事でした。

 もし、この対象者が自宅で死亡していたというニュースが流れた時、筆者はどのような気持ちになるのでしょうか。

 おそらく人を殺してしまったという罪悪感に襲われ、精神が崩壊するでしょう。

 行政機関として個人情報保護を順守して一切教えないという仕事は正しいので、彼らに悪意もなければ、規則違反もありません。




国民が首を突っ込まない

 ネガティブな教訓としては、困っている人が居ても首を突っ込まなければ、自身は傷つかないということです。

 困っているという話は聴かない、聴いたとしてもすぐに忘れることで、自身が傷つかずに済みます。

 ただし、筆者にはそれができないので、あちこち電話しました。直接訪問した場所もあります。どこにも答えがない行政への通報を続けています。

 今回の筆者の行動は誰からも褒められません。

 今回の筆者の行動の結果、良からぬことが起きると傷つくのは筆者です。

 何の得もなく、損は生じる。残念です。




平時から協力者をつくる

 BCPコンサルタントとして今回のケースを振り返ると、まずは協力者を増やす必要があると思いました。

 3連休の中日、市役所などはお休みです。メールアドレスやファクス番号はわかりましたが、タイムリミットが2時間半でしたので役に立ちません。

 1つわかったのは『189』にダイヤルすることです。
 児童虐待が専門、0~18歳を対象としていますが、障害者対応の知見も多く持っているので、直接は対応してもらえないものの、対応方法はご指導くださいます。

 法律に詳しい人とのホットラインは必要だと思いました。
 警察でも何でも、法律で動いているので、動くに値する理由、何らかの適用法があれば動ける場面があるということがわかりました。
 逆に言うと、法律で定めのないことは動けないので、国民感情として『おかしい』と思うことでも、彼らにとっては正しいこと、規則違反せず法令順守した結果であるので、単に対立関係だけ構築して終わることになります。




AED

 AED(自動体外式除細動器)は唯一と言ってよいような、一般市民(非医療従事者)の判断で操作できる高度管理医療機器に分類される治療デバイスです。

 救急隊到着までの間、バイスタンダーである一般市民ができる救命活動が心肺蘇生であり、AEDの使用です。

 今回のケースでは、警察に通報するというところで終わってしまいましたが、何らかの適正な行動を一般市民ができるとすれば、結果が変わるケースも生まれるかなと思いました。

 AEDの使用有無で救命率が劇的に変わります。カーラ曲線というものがあり、1分毎に救命率が10%下がるというもので、その間にAEDを使用して蘇生すると、何倍もの確率で救命できるという統計結果が出ています。

 AED的な何か、考えていく必要があると思いました。




明るい共生社会

 LGBTQが盛んに叫ばれていますが、これはLesbian、Gay、Bisexual、Trans-gender、Queer/Questioningといった性的なものであり、一部で身体的特徴とも関係するものの、いわゆる障害者や健康弱者といった身体的ケアやサポートを必要とするものとは違います。

 目が見えない、耳が聴こえないという障害については、多くの健常者が自身の器官と比較して困りごとを察することができますが、それでも的外れなことは多々あります。

 関節や筋肉の病気、神経に関わる障害、脳に関わる障害などは困りごとの想像すらつかないことも多くあります。

 誰が何を担うのか、誰が何を求めるのか、自由に選択できつつ、ニーズがあるときには何らかの方法で解決できる社会が良いなと思います。

 ロンドンでは、駅などでエレベーターが無い場所でも、車椅子に乗った人が平然と駅に向かうそうです。
 それは、車椅子の人が階段前に居れば市民が自然と集まり、かついで運んでくれるそうです。

 日本ではハードにこだわってエレベーター設置を推進していますが、故障することもありますし、順番待ちも短時間ではないこともありますので、押しつけがましくない助け合いが定着することを願っています。

 筆者は損をするタイプなので、こうした動きに自ら参画しては迷惑がられたり、押しつけがましくなって失敗しています。上手く社会実装できるような人に先導してもらいたいです。

 筆者は、フォロワー気質です。




次の一手

 まずは知る事です。

 各家庭、どのような困りごとを抱えているか知る事にします。

 今年は医療的ケア児の中でも、人工呼吸器装着患児のお宅を訪問して災害対策をするボランティアをスタートすべく、大阪と東京の小児専門病院(センター)とコミュニケーションを取っているところです。

 患家に行かなければ知り得ないこともあるので、まずは受け入れてくださるご家族を探して貰っているところです。

 相手のことを知り、相手の課題を捉え、その解決策を提案するという一連の流れは、これまでに何十も経験してきています。そこは医工連携を専門としてきた経験が活かせます。

 10年以上前ですが、卒倒者の救命率を高めるために、病院ができることを探索し、救急隊との連携が必要であることが明らかになりました。
 筆者は救急隊とともに救急車に乗って仕事をするという、まさに現場に入って課題を知ることをしました。
 タブレット端末で看立てをしようというとき、救急隊は雨天でも屋外で仕事をするので容易な事ではないことがわかりました。
 狭い路地であろうと多くの機材を背負い、搬送者の下へ行くという中では、100gであっても減らす努力が必要であることがわかりました。

 『事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きてるんだ』という名セリフがありますが、まさにそういうことです。




謝罪

 末筆ながら、謝罪です。

 色々なところに通報や問い合わせをしました。

 最初に接触した警察官が救急隊に伝え、救急隊がしかるべき対応をして完結した、というストーリーが真実だとすれば、110番通報や障害者虐待防止センターへの相談は不要なこと、筆者が邪魔したのかもしれません。

 今後は、プロに任せるように努めます。

 迷惑そうな顔をされた方も居られましたが、その印象的な表情を忘れないように致します。

 失礼しました。