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自宅避難や車中避難は全額自費か?救援物資は避難所で独占?  | NES’s blog

 災害時、自宅が倒壊したり流されたりすると避難せざるを得ませんが、一部損壊や断水など住み続けることができる場合に自宅避難を選択する人も少なくありません。


 また、2016年の熊本地震では車中泊が多くあり、様々な問題が発生しました。


 メディアでは自宅避難を勧める記事も散見されますが、それが安全であるためには、相当な備えが必要です。





COVID-19で需要増

 自宅療養を選択せざるを得ない人も増えています。

 能登半島地震でも、脳梗塞後の人工呼吸器や喀痰吸引を手放せない患者が自宅避難を続けていました。


 COVID-19の流行拡大後は避難所に行きたいくないと考える人が増えました。

 筆者の親族が住むエリアで避難指示が出た際にも、自宅避難を選択する人がほとんどで、避難所には1人しか来なかったということがありました。皆さん『コロナが怖い』と異口同音におっしゃっていました。




自宅避難や車中泊は全額自費

 自宅避難をする際の避難先である『自宅』は私有物ですので、その建物の維持管理は個人の負担、被災者の負担になります。

 車内避難・車中泊をする際の避難先である『車』は私有物ですので、その車の維持管理は個人の負担、被災者の負担になります。

 施設の維持管理が自己管理であることについては理解できると思います。

 筆者も度々問題視し、市役所にも何度もお願いに行っていましたが受け入れて貰えなかった『救援物資の分配』が石川県で問題になっています。

 避難所に居れば3食確約、自宅避難者は1食も貰えません。

 避難所に居れば毛布を貸して貰えますが、車中泊では貸して貰えません。




災害対策本部長から苦言

 令和6年能登半島地震に係る石川県災害対策本部員会議の第26回(2024年1月19日)で本部長である馳知事から以下のような発言がありました。

 いまだに私のところにもですね、自宅避難、車内避難(車中泊)の方が一次避難所にモノを貰いに行っても『ない!』とか『あげられない!』とかいわゆる『塩対応』されてですね、『どうなってんだ』という連絡は毎日きます。
 恐らくそれが避難所等で徹底されないといけないと思いますので自宅避難の方、車中避難等、現場でですね、様々な事情で避難しておられる方にも物資が届くようにここをお願いしたいと思います。

【馳災害対策本部長発言】

 会議の全体画像は下記からご覧ください。




自主避難所・自主避難

 自宅避難や車内避難と同様に課題を抱えているのが自主避難所や、指定避難所であっても避難指示などが出ていない段階での自主避難です。

 これらのいずれの場合も、公助を得られない可能性があります。

 能登半島地震では自主避難所がたくさん発生しました。届出などが行われる訳ではないのでその数は正確にはわかりませんが、1桁では無かったようです。

 自主避難所は存在が把握されていないので、自宅避難と同様になります。

 自治体は災害対策基本法に則って災害対策を実行するため、指定避難所以外への対応を準備していないことがあります。
 自衛隊は比較的自由に、自律的に仕事をするので自主避難所を発見して物資を手当てすることもありますが、自治体との連携は密にはなりづらいです。




今後の避難は?

 医療の高度化と高齢化が進み、高齢者医療の需要が高まるにつれて在宅医療も高度化しています。

 自治体が用意する指定避難所に医療的ケアができる設備や人材が揃っているとは考えづらいですし、福祉避難所においても同様のことが想定されます。

 平時には自宅での療養ができているとすれば、そこに残れば医療的ケアを受けることができるかもしれません。そうなると避難所へ行く理由が見つかりません。

 自宅で避難し続けるとすれば、そこには備蓄やスキルが必要になります。




療養住環境

 療養住環境の在り方については、まずは平時の療養と生活が上手くバランスすることが重要です。

 次いで、非常時の療養と生活について考えます。

 医療機関からは療養の継続についてサポートがあるかもしれませんが、家族によるケアが欠かせない在宅医療では、関係する家族の生活が継続できなければ在宅医療を継続することもできません。

 弊社では療養住環境の最適化をサポートしていますが、年々災害に対する意識が高まっている事を実感しています。


 今年は医療的ケア児を中心とした療養住環境の最適化に注力する予定で居たところ、能登半島地震が発生してしまいました。

 実施するという予定は変更しませんが、北陸地方からの要請があれば優先したいと考えています。