医工連携では『ニーズ発表会』が頻繁に行われています。全国を俯瞰すれば月に数回は開催されているかもしれないので、非常に多くの案件が出てきていると思います。
そのニーズ発表会で聴いた情報を、会社に持ち帰って作ってみようという企業さんが多くありますが、まずは下図をよく見ていただきたいと思います。
ニーズ発表会を聴いただけで開始する医工連携は、ほぼ2ndステージからスタートしているようなものです。
そのまま進むと、4thステージの上市前後でトラブルが発生します。
ぜひ、1stステージをしっかり行ってほしいです。
仮想ストーリー
下図の紙芝居のようなものは、仮想のストーリーです。
1枚目の図では、医工連携ニーズ発表会に参加した社長が仕入れて来た断片的な情報で試作をしようとしています。
図面を起こせる点については素晴らしいですが、そもそも要件定義などができているのか心配されます。
筆者はコンサルなので、コンサル先ではこの前段階で相談してもらうようにお願いしています。すなわち、図面をつくる前のラフ案、基本構想を練る段階でコンサルが入ります。
スタッフは従順に、図面通りつくれると思います。それが日本のモノづくりのすごさです。
2枚目の絵では強度試験について検討、そもそも何に使うのかがわからないということが発覚しました。
実際に『さこつ』と聴いた人が、『さこつ』が何であるかもわらかないまま進めたという事案もありました。
今回の案件では『弱小』と『家庭』が問題になります。
わからぬまま、発表者である医師との面談を実現しました。
医工連携マッチングイベントではしばしば、このような面談会を設けてくれます。そのチャンスはぜひ活かしてください。
さて、先ほどの『弱小』は『粥状』(じゅくじょう)だったようです。
『家庭』は『カテ』(カテーテル)の事でした。
そもそも、この治療法がどのようなものか、全体的にシステムとしてわかっていないと、この機器開発は難しいかもしれません。
血管内治療とは、鼠径部などの動脈にシースという血管内と外界をトンネルする管を入れます。皮膚に穴を開けて血管に通す管であり、血管より太い訳にはいかないので、太さには限りがあります。
血管へのアクセスが確立しても、患部に届く訳では無いので、患部までは別の管を通します。これがカテーテルです。
さきほどのシースの内側にカテーテルを通す、管の中に管を通すので、内側に通るカテーテルの方は、シースの内径より細くなければなりません。
シースは血管より細く、カテーテルは更に細く、段々と制約が増えていきます。
この細い管に入れるデバイスなので、相当に小さいサイズになります。
小さいとはいえ、ピンセットで顕微鏡を使って扱うような微細な物ではないので、そのサイズ感がわかっていないといけません。
医師の話を聞いた社長がどんな反応であったのか、下の絵のようになるかもしれません。
『粥状』が専門用語だからわからないのか、他の物と混同しないように明確に説明してくれた的確な言葉なのか、それは捉える人次第です。
要件定義のサイズについては、もしかすると言っていたかもしれません。
ただし、単位はミリでは無いかもしれません。
シースは『ゴフレ』と言っていたとすると、その『ゴフレ』を聞き流してしまう人が多いかもしれません。
この『ゴフレ』は字にすると『5Fr』、読み方は『ご・ふれんち』です。ミリにすると2mmくらいです。
専門用語が多くて理解できないからやめてしまうのは企業側の裁量です。
自由ですが、医療側から見たらどうでしょうか。
課題が解決されないまま、もしかすると家族が病気になったときに『あのとき解決しておけば助かった』と後悔するかもしれないです。
医工連携は、医療現場の課題解決だと思って取り組まないと、不幸になるのは医療側です。
ニーズを聴く姿勢
ニーズは、概ね医療の課題です。
課題の解決策を提供すれば、勝手に買ってくれる、営業活動も要らないというのが究極です。
医療側は、優れた解決策を買います。
その課題が普遍的なものかどうか、解決策が素晴らしいかどうか、これは医療側に聴かないとわからないと思います。
やはり、AMEDのステージゲートで言う所の1stステージ、基礎の部分を押さえられないと、後悔しか待っていないかもしれません。
近畿で医工連携の相談先は….
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弊社は医工連携の黎明期、まだ政策としても強く押されている訳ではないという時代から携わっているコンサルタントが課題に寄り添います。