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自然災害編 ~ 中小零細『サービス業』のBCP | NES株式会社

 自然災害は起こるものとして考える、これが良いと思います。

 自然災害は抗うものとして考えるかどうかは、意見が分かれます。

 休業が許容される事業であるかどうかという点でも見方が変わると思います。

 自社においてはどうなのか、読み進めながら考えて頂ければと思います。




保険に加入

 災害に限らず、保険加入は非常事態への一次的手段とも言えます。

 何を失ったとしても廃業しないためには、ダメージに見合った保険に加入することが重要になります。

 上階で火災や漏水が発生し、自店舗が水浸しで使えないという場合に、従業員への休業補償や仮店舗の契約などができなければ延々と休業し売上ゼロが続くかもしれません。

 すべて保険で対応という訳ではなく、例えば顧客の多くが居る地域に津波が到達すれば、その後の事業は成り立たないと考えるのであれば『津波が来たときは廃業する』ということで保険加入しない方法もあります。




地域の特性

 海なし県では、自社に津波が及ぶ心配はありません。ただし、取引先が被災する可能性はあります。取引先の影響の程度は確認しておく必要があります。

 土砂災害も同様に、流入する土砂が無い地域では心配ありませんが、山林の多い日本では心配されるエリアは少なくありません。

 洪水については、どこであっても考慮すべき自然災害です。

 地震についても同様です。

 極めて均霑的です。




商売の単位(時間と価格)

 サービス業といっても幅が広いです。

 自動車販売や不動産業であれば、今日契約できなくても1~2週間先延ばしできると思います。

 美容室などは数日延期も許容される場合が多いと思います。

 コンビニやレストランはその日、その時間帯の売上が重要になりますので、休業すれば丸ごと売上の蒸発になる可能性があります。
 一方で、1日の売上蒸発が事業を脅かす商売ではないのであれば、臨時休業を見越した内部留保で対応できるかもしれません。

 自社の売上構成がどのようになっているのか、熟考する必要があります。




地震

 地震を経験したことが無い日本人は少数派だと思いますが、震度5以上の強い揺れを経験した人は少数だと思います。震度6強以上となると国民の1割にも満たないかもしれません。

 被災地に居合わせてしまう確率は低いとしても、震度6強以上の地震はご自身が生まれてから何回発生しているでしょうか。少し記憶をたどるだけでも10回くらいは挙げられます。

  • 2024年1月1日(能登半島地震):震度7
  • 2023年5月5日(能登地方):震度6強
  • 2022年3月16日(福島・宮城):震度6強(同日2回)
  • 2022年3月16日(福島・宮城):震度6強
  • 2021年2月13日(福島・宮城):震度6強
  • 2019年6月18日(新潟):震度6強
  • 2018年9月6日(北海道):震度7
  • 2016年4月16日(熊本):震度6強(同日2回)
  • 2016年4月16日(熊本):震度7
  • 2016年4月15日(熊本):震度6強
  • 2016年4月14日(熊本):震度7

 自社や店舗が上記のエリアにないから大丈夫とは言えないと思います。地震はどこで発生するかわかりません。

 地震がもたらす影響について考えてみましょう。

 まずは自社や店舗の建物はどうでしょうか。ある程度の築年数であれば耐震性は確保されていると思います。免震や制震はごく限ら得た建物に備わっている構造ですので、テナントビルなどでは確認してみると良いでしょう。

 大きな揺れがあるとエレベーターは確実に停止します。これは安全対策として標準化されていますが、その復旧にかかる時間は数時間から数日です。

 電柱が倒れたり、電線が切れることがあれば停電します。広範囲で電柱倒壊が起これば復旧には数週間かかるでしょう。構内の設備損傷の場合、業者手配しても順番待ちになると思いますので、やはり数週間かかるかもしれません。

 揺れ方によりますが、水道管やガス管の損傷も想定されます。ガスや水道を使わない業態であれば影響は軽微だと思いますが、飲食や衛生関係ですと死活問題です。

 道路寸断も起こり得ます。
 従業員の出勤、仕入れのトラックなど影響は様々です。
 サービス業の場合、顧客と接することができなければ売り上げにつながらない場合が多いので、来客を阻む交通寸断は致命的です。

令和6年能登半島地震



水害

 『ゲリラ豪雨』『線状降水帯』という言葉は珍しくない近年、至るところで水害は発生しています。

 河川の氾濫などによる洪水だけでなく、局地的に強い雨が降ることで排水が追いつかず、一時的に池ができてしまうこともあります。

 BtoCの店舗型サービス業では、道路や歩道と床の高さをフラットにしている場合が多く、5cmの冠水でも営業できない状態になってしまいます。
 最近はコンビニでもスロープを付けて高低差を設けている場合がありますが、それだけ水害が身近になっていると言えます。

 下水管に雨水が流入すると、建物からの排水を受入れない封印のような役目を果たしてしまう恐れがあります。
 建物で流したものが流れなければ、流れずにそこに留まるか、逆流してきます。

 河川が氾濫するほどの洪水では道路が1m以上冠水、自動車はエンジンルームまで水浸しとなります。
 保険付リース契約であれば修理費用の心配はないかもしれませんが、代車手配などが遅れれば営業に支障が出ます。




自然災害BCP

 サービス業における自然災害をテーマにしたBCPでは、どのような災害を対象にするかということよりも、どのような業務に支障が出るのかを想定していった方が良いと思います。

 交通遮断や車両故障が売上に直結するのであれば、原因は竜巻でも豪雪でも同じです。

 顧客が来店できないことが大ダメージであれば、どのような災害でも関係ないと思います。
 ただし、災害の種類により影響期間には差が出ますので、自社のビジネスの性質を熟考する必要があります。

 従業員の出勤も少なからず影響すると思います。
 ランチとディナー、日勤と夜勤、入荷と出荷などチームが分かれている場合、営業時間や規模を調整して人数を絞って回していくことも考えられます。
 影響の程度と、ある程度の対応策、その実現可能性、これらを並行して考えながら計画書を策定していくと、より実効的な計画を立てることができます。




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