高速道路で交通事故を起こした、巻き込まれたという場合、多少なりともパニックになる人は少なくないと思います。誰にとっても不慣れなことなので仕方ないです。
弊社の研修会で使用して来た動画でも、対応としていくつか分かれています。
三角停止板
今まで、停止表示器(三角停止板)や発煙筒を使用した例を見たことがないので、後方へ知らせることを実施しない点では各例とも共通しています。
これは、ドアが壊れて取り出せないなど、理由があるかもしれないのですが、法令違反の可能性があります。
自動車の運転者は、故障その他の理由により本線車道若しくはこれに接する加速車線、減速車線若しくは登坂車線(以下「本線車道等」という。)又はこれらに接する路肩若しくは路側帯において当該自動車を運転することができなくなつたときは、政令で定めるところにより、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない。
2 自動車の運転者は、故障その他の理由により本線車道等において運転することができなくなつたときは、速やかに当該自動車を本線車道等以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならない。
道路交通法(故障等の場合の措置)第七十五条の十一
法第七十五条の十一第一項の規定による表示は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める停止表示器材を、後方から進行してくる自動車の運転者が見やすい位置に置いて行うものとする。
一 夜間 内閣府令で定める基準に適合する夜間用停止表示器材
二 夜間以外の時間 内閣府令で定める基準に適合する昼間用停止表示器材(当該自動車が停止している場所がトンネルの中その他視界が二百メートル以下である場所であるときは、前号に定める夜間用停止表示器材)
道路交通法施行令(自動車を運転することができなくなつた場合における表示の方法)第二十七条の六
上記の法令によれば、故障等で運転することができなくなった場合は、停止している旨を表示しなければなりません。表示しない時点で道路交通法違反になります。
その表示器材には基準があり、適合した物を使わなければならないので、何か置けば良いというものでもありません。
停止表示器材
高速道路等で故障などを理由に車両を停車させる場合、動かない(動けない)旨を後続車に知らせるための表示器材が必要になります。その表示器材は規格適合品である必要があるので、何でも良い訳ではありません。 一般的な物は三角表示板などと呼ばれるもので、1千円も出せば買えます。 光電式の発煙筒も増えています。 |
3サイト比較
事故が起きて、警察に通報し、後方への表示も終えたあと、パトロールカーが到着するまでの間、どこに待避しておくべきでしょうか。
- 車内
- 事故車両より後方の車外
- 事故車両の真横の車外
- 事故車両より前方の車外
候補としては前、中、後から選ぶことになります。
この待避場所については、道路のプロであっても意見が分かれるようです。
以下の3つのサイトについて詳しく見てみます。
車の前方(進行方向の先)
まず、私たちが管理している定点カメラが在る阪神高速のサイトを調べてみました。
下図からも読み取れるように、事故車両の前方、進行方向で言えば先、奥側に待避するよう促しています。
車の後方(進行方向の手前)
NEXCOのサイトでは、車内ではなく車外、ガードレールなどの外側で待機するよう案内しています。
絵で見る限りは車両の真横、あるいは後方に居るようになっています。
JAFの場合は『車より後方に避難しましょう』と明確に記載しています。
絵を見ても、三角停止板の横に居るので、車両の後方であることがわかります。
【参考】ドラぷら E-NEXCO:高速道路で事故や故障にあったら?
【参考】JAF:[Q]高速道路で事故や故障が発生したらどうすればいいのですか?
ハンドルを切って停車
高速道路上に車両を停車させる場合、その基本操作としてハンドルを壁側に切って置いておく方法があります。
これは、衝突された場合やブレーキが壊れていた場合でも、ドライバーの有無に関わらず車は壁の方へ向かって進むことで、車両前方に居る人を傷つけない、他の車両へ衝突する可能性を低くする効果があります。
これまでの研修動画でも、救急車やパトカーなどが壁側にハンドルを切っている様子が見えます。
小さなことですが、大事なことです。
都市高速なら前方か?
ガードレールなどが無く、人が待避する場所がない都市高速では、車両の前方が良さそうです。
車両後方では、何のガードも無く車と人が接触してしまうくらいの距離に居る事になるので、危険がありそうです。
車両前方であれば、停止表示器材と事故車両のいずれかに気づいて減速、仮にブレーキが遅れたとしても事故車両に衝突することで衝撃を和らげる効果が期待されます。
更に、ハンドルを壁側に切って置くことで、衝突リスクは低減されます。
車内は危険か?
10トンの積荷がある車両を動かすことは大変なエネルギーが要ります。多くの車両が、10トンの塊にぶつかれば、ぶつけた車側が破損すると思います。
それが1トンとなると、話は変わります。
4トン積載のトラックが満載に近い状態であると、車両本体重量を合わせて5トン以上あると思います。それが時速60km/hrで走行してきて1トンの物にぶつかったとき、1トンの物は吹っ飛ばされるか、大破する可能性があります。
軽自動車の車重はおおよそ600~700kgです。そこに人間が2人乗っていても800~850kg程度、荷物があっても1トンを超えない可能性があります。
ここに5トンや10トンという重さの物が、速度をつけて衝突すれば、軽自動車の車内に居る人がケガ無く居られる可能性は低そうです。
車両によって車内が安全な場合もあるかもしれませんが、多くの場合は危険が顕在化していると考えた方が良さそうです。
緊急車両到着まで最低10分
過去の事故事例を見る限りでは、警察が到着するまで10分以上かかると見ておいた方が良さそうです。
阪神高速の場合は定期的に阪神高速の黄色いパトロールカーが巡回しているので、緊急通報とは別にパトロールカーと遭遇する可能性がありますが、それでも頻繁ではないですし、不確実性があります。
どんなに早い出動でも10分はかかると見込んで、自身の関係する事故により渋滞が発生すれば更に時間を要すると覚悟して、待避場所の確保などを検討すべきだと思います。
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