周期とは、一定期間ごとに同じ現象が繰り返されることの、その時間です。
行って、返ってくる、その1回の時間です。
1秒あたり何回周期が巡ってくるかを示すのが周波数です。東日本の電力周波数50Hzは1秒間に50回の周期、すなわち1周期あたり0.02秒です。
電力だけでなく、ピストンのように往復運動するもの、タイヤやファンのように回転するものなど、色々なものに周期があります。
地震において、揺れが2秒を超えるゆっくりした周期のものを長周期地震動と言います。
地震の規模
地震が発生するとテレビの速報では深さ、マグニチュード、各地の震度が示されます。
マグニチュードは地震を起こした震源のエネルギーの大きさです。マグニチュードの数字が1増えると、エネルギーは32倍増えます。
マグニチュード(エネルギー)が大きくても、震源の深さが深ければ地上への影響が少ない、すなわち震度が小さくなります。反対にマグニチュード(エネルギー)が小さくても震源の深さが浅ければ震度が大きくなります。
マグニチュード(エネルギー)が大きく、震源が浅く、震源距離が近ければ震度が非常に大きくなります。
令和6年能登半島地震では、1月1日16時06分頃にマグニチュード5.7の地震、16時10分頃にマグニチュード7.6の地震が起きています。2つの地震のエネルギーの差は60.8倍ということになります。
元旦のニュース速報では、石川県能登では、M5.7の地震で震度5強、M7.6の地震では震度7を観測しています。
1つ目の地震では『津波の心配はありません』ということでした。
長周期地震動
令和6年能登半島地震は、震源は石川県です。
直線距離で300km離れた東京・渋谷のNHKのスタジオでも、ゆっくりと揺れている様子を山内泉アナが伝えています。
長周期地震動には階級があり、NHKがある東京23区は階級2であったと発表されています。
気象庁によると、令和6年能登半島地震は1月1日16時10分22.5秒に発生したそうです。
震源から約350km離れた弊社管理下にある定点カメラは震度3、長周期地震動階級1でした。
カメラに映るポール(下記動画の右側)に注目すると、小刻みな揺れは発災から30秒以内に確認されましたが、1分後にはポールの揺れが大きくなっていることがわかります。発災から2分後の16時12分22秒では、ポールがかなり揺れています。
【参考】気象庁:長周期地震動の観測結果(令和6年(2024年)01月01日 16時10分22.5秒)
└ 上記の観測点別詳細:東京千代田区大手町
└ 上記の観測点別詳細:大阪府箕面市箕面
長周期地震動の階級
長周期地震動の『階級』については、気象庁のウェブサイトで詳細に説明されています。
階級別の影響については、それぞれの動画をご覧になった方がわかりやすいかなと思います。
【参考】気象庁:長周期地震動について
【参照」気象庁:長周期地震動説明ビデオ
長周期地震動説明動画(気象庁)
気象庁の長周期地震動のウェブサイトでは、動画を提供しています。
フルバージョンはYouTubeで閲覧できます。
分割されたバージョンはMP4ファイルで提供されています。ダウンロードも可能ですが、著作権は気象庁に帰属するので転載などはできません。当サイトではリンクで提供しています。
下図をクリックするとYouTube版の説明動画を閲覧できます。
下図をクリックするとMP4版の説明動画を閲覧できます。
緊急地震速報
2024年2月1日より、『長周期地震動』が緊急地震速報に加わりました。
【参照】NHK:長周期地震動の緊急速報スタート どう変わる?解説します(2023年02月10日)
津波は波長が重要
風で発生する普通の波の長さは数十メートルから数百メートルという単位です。
津波になると波の長さはキロメートル単位、数kmから数十km、ときには100kmを超えるような規模になります。
津波は水深によって速度が異なります。水深5,000m(5km)なら時速800kmにもなると言われ、水深100mでも時速110kmの速さで移動します。
もし津波の波長が10km、時速100km/hrであった場合、波の先頭から末端までの10km分が到達するまでに10分間かかることになります。
波が進むだけなら10分間で終わりかもしれませんが、陸に当たればその先はなく、10分後まで次々と海水が押し寄せることになります。
波は往復します。押し寄せた波は、引いていきます。引くときにも大きなエネルギーを持ち、家屋や自動車なども沖まで連れて行ってしまいます。
長周期地震動を実体験
2022年3月16日に発生した地震で、長周期地震動を実体験しました。
東京23区は長周期地震動階級2でした。
【参考】気象庁:長周期地震動の観測結果令和4年(2022年)3月16日 23時36分32.6秒
└ 上記の観測点別詳細:東京国際空港
長周期地震動への備え
長周期地震動では、ゆっくりと大きく揺れることによる被害が想定されます。
床や壁に固定された物は、建物の揺れと一緒に、同期して動きます。
キャスター付きの椅子、机の上の食器、人間も固定されていない物に分類されます。
摩擦が少ないキャスター付きの椅子などは、揺れによって加速して移動します。
机のような物は固定されていないとはいえ、簡単には動きません。一定の揺れを超えると脚の摩擦ではとどまり切れずに動き出します。
重い机などがズシリと移動してくる恐怖と、椅子などがスピードを増して移動してくる恐怖、両方に恐れる必要があります。