厚生労働省
厚生労働省の資料によれば医療的ケア児とは『医学の進歩を背景として、NICU(新生児特定集中治療室)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のこと』と定義されています。
実数は不明ですが、推計として全国に約2万人の医療的けあじ(在宅)が居るとされています。
【参考】厚生労働省:医療的ケア児等とその家族に対する支援施策
2021年(令和3年)施行の『医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律』では医療的ケア児を『日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童』と定義しています。
こども家庭庁
こども家庭庁では障害児の生活や生涯を支援する施策に取り組んでいます。
その中で在宅の医療的ケア児と家族の支援に向けた取り組みを掲げ、実行しています。
こども家庭庁では2023年度末の完成を目指し医療的ケア児の避難マニュアル策定に乗り出すという報道がありました。
4分の1が人工呼吸器使用(?)
厚生労働省の推計値2万人の医療的ケア児に占める在宅人工呼吸療法患者の割合は約4分の1、在宅酸素療法患者の割合も約4分の1、すなわち半数が人工呼吸器か酸素濃縮器などを使っている推算になります。
避難は現実的か?
非常事態に直面した際に避難することは得策であるかどうか、見極める必要があります。
弊社では『脅威分析』という、やや専門的な方法で選択肢を見極めるようにしています。
患児にとっての脅威を把握した上で、避難に係るリスクとベネフィットを評価します。
まずは避難の所要時間の算定が必要です。
※.脅威分析など個別コンサルティングをご所望の場合はご一報ください。
避難先の問題
避難する先に医療的ケア児を受け入れる環境があるのか知る必要があります。
感染対策ができているのか、車椅子やケアグッズを置く場所があるのか、夜間でも電気を点けてケアできるのか、といったことを平時にオリエンテーションをつけておき、発災後の状況を確認した上で避難先への移動を考えます。
※.避難先の選定など個別コンサルティングをご所望の場合はご一報ください。
避難しない選択(自宅避難)
弊社の療養住環境コンサルティングでは、避難しない選択ができるような備えを最初に提案しています。
それは、避難できなかったときに生命危機を待つだけになってしまうため、避難できないことが脅威にならないようにします。
医療的ケア児が居るお宅を市役所が把握していたとしても、最初に救助に来てくれる近隣住民や市消防、自衛隊などに伝わっていなければ救助の順番は運次第になります。
籠城72時間
弊社では『72時間生き抜く療養住環境』をテーマに患宅のコンサルティングをさせて頂きます。
この『72時間』に係る研究は10年以上前から始めており、2013年に確立させました。
それから5年後の2018年に発生した台風21号では、実際に52時間の停電を経験しましたが、難なく乗り越えることができました。
患者毎に必要となるケアが異なるので、必ずしも上述の例が適用できる訳ではありませんが、個別に脅威分析した上で、必要となる療養住環境を提案しています。
背景は電工と臨工
私たちの療養住環境や災害対策のコンサルティングの礎は、建設現場での電気工事経験と、医療機関での臨床工学技士経験です。
すなわち、建築や設備の知識や技術と、医療機器の知識や技術を持ち合わせています。
患者個々にタイムライン・BCP
弊社では、医療的ケア児2万人分の、2万通りの災害対策を実装したいと考えています。
作成すべきと考えているのが『タイムライン』と『BCP』です。
タイムラインとは、いつまでに、どのような対応をする、このフェーズでは、このような行動を選択する、といったタイムテーブルのようなものです。
タイムラインは名刺サイズで収まるような簡易的なもの、A4版で数枚になる詳細なものの2種類制作します。
BCPとはBusiness Continuity Plan、業務継続計画です。
ここで『B』(Business)の部分は『患児のケア』となります。
BCPは計画書なので、前述のタイムラインとは少し違います。タイムラインは比較的具体的な内容、BCPは方針を掲げるものになります。
建物が一軒家かマンションか、生活拠点が1階か2階かなど、患者それぞれに事情が異なりますので、それぞれにタイムラインとBCPが必要になります。
2023年は全国へ
旅費のご負担をお願いすることになりますが、弊社拠点の兵庫県伊丹市から、全国どこのお宅にも訪問致します。
まずは大阪府立母子医療センターにかかりつけの関西圏、国立成育医療センターにかかりつけの首都圏から始めます。
ご依頼は医療機関様からでも、患者様からでも、いずれからでも歓迎いたします。
本件に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。