シリーズ『どこに打診?』では、助言や協力をどこに求めたら良いのか、丸投げするにも誰が受託する仕事なのかわかりづらいものをピックアップして解説しています。
今回は『医療機器安全管理』についてです。
分類と定義
医療機器安全管理が義務化されたのは第五次医療法改正が行われた2007年です。当時の医療法第6条の10にその旨が記載されました。
医療機器安全管理業務を見ると、法定業務と任意業務に大別できます。法定業務はかなり安全に指向的ですが、任意業務は診療業務の効率や経済性など幅広い視点が持たれます。
医療機関の管理下ばかりでなく、企業の管理下にも医療機器安全管理業務は及びます。
アウトソーサーとして院内に駐在する業者、医療機器を貸与する業者、製造や販売する業者などが直接的に医療機器と関わります。
医療機器管理システムや電子カルテなどは医療機器自体には関わりませんが、それらのシステムの提供者も広義には医療機器安全管理の関係者になると考えられます。
医療機器安全管理責任者を据えたい
医療法に基づく院内の医療機器安全管理責任者は、自院で雇用している常勤の医療有資格者から選ぶ必要があります。『常勤職員』と『資格を有している』は法律に明記されている客観的な要件です。
一方で主観性が入る要件として、医療機器の経験や知識、適切な保守管理に係る実務能力も問われています。
方法1.内製化
自院の常勤者の中で資格要件を満たす職員を医療機器安全管理者として据えて、必要な知識や経験を積み上げていく内製化が多く採られている方法であると思います。
看護師や診療放射線技師を雇用していない病院は少ないため、その2職種が担うことが多いようです。臨床工学技士を雇用している病院であれば施設届出により『医療機器安全管理料1』を算定できるようになるため、臨床工学技士を医療機器安全管理者に選任している場合もあります。
方法2.内部人材+外部知見
前述の内製化に近い方法ですが、医療機器の知識や保守管理能力などを外部人材から得る方法です。
病院側の医療機器安全管理者は全責任を負う立場で統括役を担い、実務については経験豊富な現場経験者の力を借りるというものです。
弊社では、この方法の実績があります。その方法は2種類あります。
1つは、月数回の院内駐在を通じて体制を構築し、課題を解決していく方法です。駐在員は医療機器管理の実務経験がある臨床工学技士です。
もう1つは、臨床工学技士を雇用して頂き、その人材の不足する能力を弊社が提供する方法です。雇用する技士を探すお手伝いも致します。
医療機器安全管理責任者の要件
医療法に基づく医療機器安全管理責任者は、自院の常勤者の中から選任する必要があります。
【Status】
- 常勤職員
- 医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、臨床検査技師又は臨床工学技士のいずれかの資格を有している
- 病院における医療機器安全管理責任者は、管理者との兼務を不可とするが、医薬品安全管理責任者等の他の役職との兼務を可とする
【Skill】
- 医療機器の適切な使用方法、保守点検の方法等、医療機器に関する十分な経験及び知識を有する
- 医療機器の適切な保守を含めた包括的な管理に係る実務を行うことができる者である
医療機器安全管理の実務をマネジメントしたい
医療機器は院内でも大きめの資産です。建物が50年スパンで更新かもしれませんが、医療機器は10~15年程度が寿命かもしれません。
機器は適性に保守管理すれば寿命が延びる場合がありますし、ずさんな管理をしていれば簡単に故障するかもしれません。
予防保全と事後保守の厳選
一般に機器の故障対応には、予防保全と事後保守があります。
自動車で言えば、パンク修理は事後保守、パンクする前のタイヤ交換が予防保全です。
事後保守は壊れる寸前まで機器類を使える一方で、突然の故障によりデッドタイムが発生し予定していた診療ができない可能性があります。故障箇所の特定に難航すれば正常部品まで交換することにもあります。
予防保全は、壊れてもいない機器の分解や部品交換が行われるため一見すると無駄なコストとも見られます。一方で故障発生率を低減できるため突発的な診療休止の可能性を低減できます。交換部品が明確なので費用計画が立てやすくなります。
では、院内にある医療機器をどの優先順で、どのような保守を実施すべきか、綿密に計画されているでしょうか。
診療の継続性、経費計画の精緻性を高めるためにも、医療機器安全管理のマネジャー/マネジメントは重要です。
課題は『雑多』
『医療機器』『ME機器』などと呼ばれるデバイスも、細かく見ていくと色々な仕訳ができます。
まず『医療機器』とは薬機法に定義されたものを云うため、車椅子や電子カルテなどは医療機器ではありません。
薬機法定義の『医療機器』の中には人工呼吸器などの長期的に使用するもの、注射針のような使い捨てのもの、禁煙アプリのような無形のものなど種類も様々です。
工業製品をひとくくりにして管理対象とする場合、車椅子や処置台など患者に直接触れるものだけでも多種多様です。
エレベーターや精算機など診療の直結しないが患者が触れるといったものもあります。
院内電話(PHS)や業務用通信網(LAN)、照明器具、空調設備、便器、給食用ワゴンなど裏方のような工業製品群も業務への影響が大きいです。
これらを誰が、どこまでマネジメントするか定義するだけでも大変な作業になります。
方法1.内部人材の育成
法定業務の外側、マネジメントの実務であれば資格要件などはありませんが、薬機法に定義される医療機器を保守管理する場合には臨床工学技士法なども関係してくる可能性があります。
資格や職種は各院の事情があるにせよ、院内人材を医療機器安全管理マネジャーの適任者になるように育成することができます。
ただし、前述のとおり対象が雑多であるため、容易なことではありません。
基礎知識としては臨床工学技士が習得している可能性があります。非医療機器や雑品といった製品群には疎いかもしれませんので、関連の教育を受ける機会を与えれば臨床工学技士が適任者になるかもしれません。
方法2.外部リソース
経験者を外部から招き入れる方法がリーズナブルかもしれません。
弊社でも関連業務を請け負っていますが、保守計画の策定にはユニークさがあります。
よくある計画書では1年を1期間として計画されていますが、弊社では製品別の特性を考慮して点検頻度などを規定していきます。
例えば輸液ポンプは、電池交換を4年に1回とした場合に、保守点検周期を2年として、2回に1回は電池交換を含めたメーカー点検、他方の1回は院内でしっかりと点検するという計画を立てます。高度管理医療機器なので2年間放置という訳にもいかないので8カ月に1回の周期で状態を記録します。こうすることで8カ月毎に機器カルテが更新され、3回目には精密検査が入るといった計画になります。
人工呼吸器の場合は、診療報酬の医療機器安全管理料1が月1回の算定なので、点検も月1回の周期とします。
このように、対象製品群によって周期を検討し、無理のない程度の計画を立てています。
医療機器と設備を一元管理したい
医療機器は医用電子機器と呼んでも良いような電化された機器が非常に多くあります。
すなわち、医療機器には電源が必要になります。
さらに手術や分娩には水が使われます。人工呼吸器には医療ガスが使われます。
医療機器と設備は、どちらが欠けても診療に支障を来たしますので、両方を一元的に管理したいと考える人も少なくないのですが、現実としては実施されていません。
医療設備
現状は、医療機器管理は医療機器に詳しい人、設備管理は設備に詳しい人がマネジャーになっていると思います。
設備管理のマネジャーは、建築設備について詳しい人ではありますが医療機関や医療設備に詳しいとは限りません。
商業施設や工場であれば休業時間や休業日があります。停電や断水は発生した場合は事後対応で済むケースが多いです。
医療機関では容易に休業はできず、停電などが発生すると生命維持に影響を及ぼす脅威となることもあり得ます。
筆者も元々は建設業界の電気工事士でしたが、医療機関の工事を依頼されても守るべきルールなどがわからず苦労しました。特に、どのようなリスクがあるのかわからないため、リスクマネジメントができていたとは言い難いです。
医療設備に精通した人材探しは、容易なことではありません。
診療+医療機器+医療設備
医療機器も設備も結局は診療に用いるものですので、診療について理解できている人、トラブルがあった際に診療との調整ができる人材が求められます。
そう考えると、臨床に立つ人、医療有資格者がマネジャーになる必要があるかなと思います。
日本医療福祉設備協会では『認定ホスピタルエンジニア』制度を実施し人材育成に努めています。受験者の割合としては設備系が多いようですが、医療従事者の受験も何割かあります。
両側人材
弊社代表は電気工事士から臨床工学技士へ転身したため、電工と臨工の知識と経験があります。
建築や設備業界で臨床経験者を見つける事は難しいのですが、臨床に立つ医療従事者の中に建設業界経験者はときどきいます。とはいえ全国8千以上の病院のすべてに、建設業界経験のある医療有資格者が配置されるほどの人数規模ではありません。
弊社では常駐して管理するといった仕事はお引き受けしていませんが、月数回だけ駐在する、あるいはマネジメント方法の助言や支援に訪問するといったサービスを提供しています。
医療情報システムの管理者
医療情報システムは検査等のオーダリングや放射線画像管理などの各種部門システムの集合体である場合と、単体で動く場合があります。
院内で完結、1台で完結というシステムもあれば、PHRのようにクラウド上で複数の医療機関が共用するシステムもあります。
これらのシステム自体が医療機器である場合もあります。薬事承認/認証を受けた医療機器であれば、法に基づく医療機器安全管理の対象になります。
システムは資産として重く、複合的に動作する場合はいずれかのシステムのアップデートが、他のシステムにも影響する場合があるため統合的な管理が求められます。
このとき、情報処理技術側の人材が管理すべきか、臨床側の人材が管理すべきか、意見が割れるところです。
方法1.医師が担う
大病院になると医療情報管理室などが設けられており、室長には医師が就いています。
医師が医療情報に関心を持っていれば管理者になってもらうことに問題はありません。
診療に関わる時間が奪われてしまいますので、関心がない医師にお願いするのは難しい場合もあります。
方法2.医師以外の医療従事者
看護師や診療放射線技師が医療情報の管理者になることもあります。
院内全体で、医療情報の端末に最も触れている職種は看護師、多様な情報に触れるのも看護師ですので、ITに強い看護師が居れば医療情報管理者として適任です。
診療放射線技師はPACSを扱っていること、工学系人材であることから管理者に任命されるケースがあります。ITに強い人材が豊富であることも理由になります。
ITの研究開発に関わる医療従事者
非常に稀な人材になるかもしれませんが、ITやAIなどの研究開発に関わっている医療従事者も存在します。
自身でコンピュータプログラミングができるという技師や技士も少なからず居ます。
システムベンダーと共に製品開発に関わっている医療従事者も多くはありませんが、居ます。
臨床に居ながら、AIやDXを大学院で研究したという医療従事者も増加傾向にあります。
方法3.システムベンダー・システムエンジニアに委嘱
『情報システム』の医療版だと考えれば、基幹部分はITエンジニアが制作するのでシステムベンダーやシステムエンジニアなどIT人材に委嘱する方法が考えられます。
一方で課題となるのが『医療情報』であることです。
個々のデータが入力される背景にある状況、どの場面で活用されるのか、全体像が見えていないと対処しづらいトラブルもあります。
関係法規
医療機器安全管理責任者については次のとおりとする。
1.資格
医療機器安全管理責任者は、医療機器の適切な使用方法、保守点検の方法等、医療機器に関する十分な経験及び知識を有する常勤職員であり、医師、歯科医師、薬剤師、助産師(助産所の場合に限る)、看護師、歯科衛生士(主として歯科医業を行う診療所に限る。)、診療放射線技師、臨床検査技師又は臨床工学技士のいずれかの資格を有していること。なお、医療機器の適切な保守を含めた包括的な管理に係る実務を行うことができる者であること。2.他の役職との兼務
病院における医療機器安全管理責任者は、管理者との兼務を不可とするが、医薬品安全管理責任者等の他の役職との兼務を可とすること。3.安全管理のための体制を確保しなければならない医療機器
医療機器安全管理責任者は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第2条第4項に規定する医療機器のうち、当該病院等が管理するもの全てに係る安全管理のための体制を確保しなければならないこと。なお、当該医療機器には、病院等において医学管理を行っている患者の自宅その他病院等以外の場所で使用される医療機器及び、病院等に対し貸し出された医療機器も含まれること。4.業務
医療機器安全管理責任者は、病院等の管理者の指示の下に、次に掲げる業務を行うものとすること。なお、病院及び患者を入院させるための施設を有する診療所においては、安全管理委員会との連携の下、実施体制を確保すること。
(1) 従業者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
(2) 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施(従業者による当該保守点検の適切な実施の徹底のための措置を含む。)
(3)医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医療機器
の安全使用を目的とした改善のための方策の実施
第六条の十二 病院等の管理者は、前二条に規定するもののほか、厚生労働省令で定めるところにより、医療の安全を確保するための指針の策定、従業者に対する研修の実施その他の当該病院等における医療の安全を確保するための措置を講じなければならない。
医療法
(医療事故調査等支援団体による協議会の組織)
第一条の十一 病院等の管理者は、法第六条の十二の規定に基づき、次に掲げる安全管理のための体制を確保しなければならない(ただし、第二号については、病院、患者を入院させるための施設を有する診療所及び入所施設を有する助産所に限る。)。
一 医療に係る安全管理のための指針を整備すること。
二 医療に係る安全管理のための委員会(以下「医療安全管理委員会」という。)を設置し、次に掲げる業務その他の医療に係る安全管理のための業務を行わせること。
イ 当該病院等において重大な問題その他医療安全管理委員会において取り扱うことが適当な問題が発生した場合における速やかな原因の究明のための調査及び分析
ロ イの分析の結果を活用した医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策の立案及び実施並びに従業者への周知
ハ ロの改善のための方策の実施の状況の調査及び必要に応じた当該方策の見直し
三 医療に係る安全管理のため、従業者の医療の安全に関する意識、他の従業者と相互に連携して業務を行うことについての認識、業務を安全に行うための技能の向上等を目的として、医療に係る安全管理のための基本的な事項及び具体的な方策についての職員研修を実施すること。
四 医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策を講ずること。2 病院等の管理者は、前項各号に掲げる体制の確保に当たつては、次に掲げる措置を講じなければならない(ただし、第三号の二にあつてはエックス線装置又は第二十四条第一号から第八号の二までのいずれかに掲げるものを備えている病院又は診療所に、第四号にあつては特定機能病院及び臨床研究中核病院(以下「特定機能病院等」という。)以外の病院に限る。)。
一 院内感染対策のための体制の確保に係る措置として次に掲げるもの(ただし、ロについては、病院、患者を入院させるための施設を有する診療所及び入所施設を有する助産所に限る。)
イ 院内感染対策のための指針の策定
ロ 院内感染対策のための委員会の開催
ハ 従業者に対する院内感染対策のための研修の実施
ニ 当該病院等における感染症の発生状況の報告その他の院内感染対策の推進を目的とした改善のための方策の実施二 医薬品に係る安全管理のための体制の確保に係る措置として、医薬品の使用に係る安全な管理(以下「安全使用」という。)のための責任者(以下「医薬品安全管理責任者」という。)を配置し、次に掲げる事項を行わせること。
イ 従業者に対する医薬品の安全使用のための研修の実施
ロ 医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施(従業者による当該業務の実施の徹底のための措置を含む。)
ハ 医薬品の安全使用のために必要となる次に掲げる医薬品の使用(以下「未承認等の医薬品の使用」という。)の情報その他の情報の収集その他の医薬品の安全使用を目的とした改善のための方策の実施
(1) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第十四条第一項に規定する医薬品であつて、同項又は医薬品医療機器等法第十九条の二第一項の承認を受けていないものの使用
(2) 医薬品医療機器等法第十四条第一項又は第十九条の二第一項の承認(医薬品医療機器等法第十四条第十五項(医薬品医療機器等法第十九条の二第五項において準用する場合を含む。)の変更の承認を含む。以下この(2)において同じ。)を受けている医薬品の使用(当該承認に係る用法、用量、効能又は効果(以下この(2)において「用法等」という。)と異なる用法等で用いる場合に限り、(3)に該当する場合を除く。)
(3) 禁忌に該当する医薬品の使用三 医療機器に係る安全管理のための体制の確保に係る措置として、医療機器の安全使用のための責任者(以下「医療機器安全管理責任者」という。)を配置し、次に掲げる事項を行わせること。
イ 従業者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
ロ 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施(従業者による当該保守点検の適切な実施の徹底のための措置を含む。)
ハ 医療機器の安全使用のために必要となる次に掲げる医療機器の使用の情報その他の情報の収集その他の医療機器の安全使用を目的とした改善のための方策の実施
(1) 医薬品医療機器等法第二条第四項に規定する医療機器であつて、医薬品医療機器等法第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の十七第一項の承認若しくは医薬品医療機器等法第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないもの又は医薬品医療機器等法第二十三条の二の十二第一項の規定による届出が行われていないものの使用
(2) 医薬品医療機器等法第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の十七第一項の承認(医薬品医療機器等法第二十三条の二の五第十五項(医薬品医療機器等法第二十三条の二の十七第五項において準用する場合を含む。)の変更の承認を含む。以下この(2)において同じ。)若しくは医薬品医療機器等法第二十三条の二の二十三第一項の認証(同条第七項の変更の認証を含む。以下この(2)において同じ。)を受けている医療機器又は医薬品医療機器等法第二十三条の二の十二第一項の規定による届出(同条第二項の規定による変更の届出を含む。以下この(2)において同じ。)が行われている医療機器の使用(当該承認、認証又は届出に係る使用方法、効果又は性能(以下この(2)において「使用方法等」という。)と異なる使用方法等で用いる場合に限り、(3)に該当する場合を除く。)
(3) 禁忌又は禁止に該当する医療機器の使用三の二 診療用放射線に係る安全管理のための体制の確保に係る措置として、診療用放射線の利用に係る安全な管理(以下「安全利用」という。)のための責任者を配置し、次に掲げる事項を行わせること。
医療法施行規則
イ 診療用放射線の安全利用のための指針の策定
ロ 放射線診療に従事する者に対する診療用放射線の安全利用のための研修の実施
ハ 次に掲げるものを用いた放射線診療を受ける者の当該放射線による被ばく線量の管理及び記録その他の診療用放射線の安全利用を目的とした改善のための方策の実施
(1) 厚生労働大臣の定める放射線診療に用いる医療機器
(2) 第二十四条第八号に規定する陽電子断層撮影診療用放射性同位元素
(3) 第二十四条第八号の二に規定する診療用放射性同位元素
四 高難度新規医療技術(当該病院で実施したことのない医療技術(軽微な術式の変更等を除く。)であつてその実施により患者の死亡その他の重大な影響が想定されるものをいう。以下同じ。)又は未承認新規医薬品等(当該病院で使用したことのない医薬品医療機器等法第十四条第一項に規定する医薬品又は医薬品医療機器等法第二条第五項に規定する高度管理医療機器であつて、医薬品医療機器等法第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の十七第一項の承認又は医薬品医療機器等法第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないもの(臨床研究法(平成二十九年法律第十六号)第二条第二項に規定する特定臨床研究に該当する研究に用いられるものを除く。)をいう。以下同じ。)を用いた医療を提供するに当たつては、第九条の二十の二第一項第七号又は第八号の規定に準じ、必要な措置を講ずるよう努めること。
(診療等に著しい影響を与える業務)
医療法施行令
第四条の七 法第十五条の三第二項に規定する政令で定める業務は、次のとおりとする。
一 医療機器又は医学的処置若しくは手術の用に供する衣類その他の繊維製品の滅菌又は消毒の業務
二 病院における患者、妊婦、産婦又はじよく婦の食事の提供の業務
三 患者、妊婦、産婦又はじよく婦の病院、診療所又は助産所相互間の搬送の業務及びその他の搬送の業務で重篤な患者について医師又は歯科医師を同乗させて行うもの
四 厚生労働省令で定める医療機器の保守点検の業務
五 医療の用に供するガスの供給設備の保守点検の業務(高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)の規定により高圧ガスを製造又は消費する者が自ら行わなければならないものを除く。)
六 患者、妊婦、産婦若しくはじよく婦の寝具又はこれらの者に貸与する衣類の洗濯の業務
七 医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務の用に供する施設又は患者の入院の用に供する施設の清掃の業務
(医療事故調査の手法)
医療法施行規則
第一条の十の四 病院等の管理者は、法第六条の十一第一項の規定により医療事故調査を行うに当たつては、次に掲げる事項について、当該医療事故調査を適切に行うために必要な範囲内で選択し、それらの事項に関し、当該医療事故の原因を明らかにするために、情報の収集及び整理を行うものとする。
一 診療録その他の診療に関する記録の確認
二 当該医療事故に係る医療を提供した医療従事者からの事情の聴取
三 前号に規定する者以外の関係者からの事情の聴取
四 当該医療事故に係る死亡した者又は死産した胎児の解剖
五 当該医療事故に係る死亡した者又は死産した胎児の死亡時画像診断
六 当該医療事故に係る医療の提供に使用された医薬品、医療機器、設備その他の物の確認
七 当該医療事故に係る死亡した者又は死産した胎児に関する血液又は尿その他の物についての検査