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医工連携 打診

シリーズ『誰に打診?』 | 医療系開発案件のプロジェクトマネジャー

 医療産業への新規参入を目指す企業において、開発案件の責任者を据えることはできても、マネジャーの適任者となると難しい問題があるかもしれません。

 そもそも、医療系開発案件のプロジェクトマネジャーの人選にはどのような要素があるでしょうか。

  1. プロジェクトマネジャー
  2. プロジェクトリーダー
  3. 自社シーズとリーダー人材
  4. 社内プロマネ人材
  5. 人材育成
  6. 会社員が10年勉強しても
  7. 医療系プロマネ人材
  8. プロジェクトマネジャー外部人材
  9. スポットコンサルより顧問契約
  10. 弊社の得意分野
  11. 同業者の中でも希少
  12. プロマネ探しのキーワード



プロジェクトマネジャー

 プロジェクトマネジャーとは、そのプロジェクト全体の進行を管理し、予算や納期、品質など全体を通して責任を持つ立場です。プロジェクトを承認する役員の立場と違い、承認されたプロジェクトを適正に進める責任があります。

 プロジェクトマネジャーには、プロジェクト全体を見通す力、適時適切な意思決定、成果を出すための組織編成や時間管理などの能力が求められます。成功を求めるのが使命ですが、ときには失敗を認める、撤退するといった判断も求められます。




プロジェクトリーダー

 プロジェクトマネジャーを司令塔の役割とすれば、現場でチームをまとめて先導する役割がプロジェクトリーダーです。

 会社によっては工場長がリーダーになるかもしれませんし、開発部の中堅がリーダーにアサインされるかもしれません。

 プロジェクト存在の責任者は担当役員、プロジェクト実行の責任者はプロジェクトマネジャー、その下で指示された仕事を果たす職責があるのがプロジェクトリーダーです。

 人材や設備など適したリソースを活用することが重要ですが、無理難題を押し付けて精神的に追い詰めないように調整することや、サボタージュを防止して工程に遅れを出さないことも重要になります。

 マネジャーの目が行き届かないような日々の仕事、個々の仕事に目を配ることがリーダーの仕事です。




自社シーズとリーダー人材

 企業におけるプロジェクトでは、自社のシーズに基づいてプロジェクトが進行されるため、自社シーズに精通した人材は多く居ると思われます。

 開発や製造の技術に関することだけでなく、取引先の納期や費用に関する個性、業界の繁忙期や閑散期など経験的に知る情報も多くあると思います。

 現場に強い人材が存在することで、プロジェクトリーダーの候補となる人材は十分に居る場合が多いです。




社内プロマネ人材

 プロジェクトマネジャーには以下のような仕事が求められます。

  1. 開発計画・戦略の策定
  2. 組織編成とその円滑化
  3. 工程管理
  4. 評価・分析・判断

 その仕事をする上では、以下のような能力が求められます。

  1. プロジェクトに関わる幅広い知識
  2. 社内・社外を問わず幅広い人脈
  3. 専門的な話題も含めた高いコミュニケーション能力
  4. 成功に導くための交渉力や管理能力

 従来からある事業におけるプロジェクトマネジャー人材は内製化できたと思いますが、新規参入する医療産業において上記の要件を満たす人材が社内に居るでしょうか。




人材育成

 『失敗しても良いので頑張りなさい』と社長から言われて、一念発起して頑張るという方法はあると思います。

 しかしながら、どんなに頑張っても知識や人脈を短期間で身に付けることは容易ではありません。

 時間がかかるなら、かけても良いということであれば良いのですが、そうなると技術部門から『いつから開発するのか?』と問われてしまうことも少なくありません。

 特に医療については、新人の看護師ですら3~4年は医学や医療を学んできているので、タマゴやヒナというレベルが既に高い位置にあります。
 医師に至っては、医師国家試験を受けるために6年生の大学に通い、その医学部医学科に入学する時点での偏差値が高いという現実があります。




会社員が10年勉強しても

 医療の絶対的な領域として『臨床』があります。

 『医療行為』をするためには、医療系の免許を持つ必要があります。

 会社員が10年間勉強して外科手術に詳しくなったとしても、医療行為として患者に触れることすら許されません。

 詳しいかどうかは問題ではなく、免許を保有しているかどうかが重要になります。

 自動車や家電製品では自らがユーザーとなって試すことができましたが、医療においてはユーザーにはなれないという絶対的な要件が生じます。

 詳しいとはいえ『経験のない知識』です。




医療系プロマネ人材

 前述の要件では以下のスキルを求めていました。

  1. プロジェクトに関わる幅広い知識
  2. 社内・社外を問わず幅広い人脈
  3. 専門的な話題も含めた高いコミュニケーション能力
  4. 成功に導くための交渉力や管理能力

 医療は診療科名を挙げても20~30くらいは軽く出てきますので、それぞれに専門家(医)がいます。医療に関わる幅広い知識を身に付けることは容易ではありません。

 医療界での人脈づくりも容易なことではありません。医師の知り合いをつくることはできると思います。しかしながら、医師の中にも専門があり、多様な専門の医師と知り合うとなるとかなり大変なことです。
 医療は医師だけでなく看護師や診療放射線技師、理学療法士、医療事務など様々な職種で成り立っており、それぞれの職種に役割があります。

 専門分化された業界において、会話を成り立たせていくことも大変そうですが、プロジェクト推進にあたっては、相手の事情を察した上での交渉も必要になります。それなりのリテラシーが求められ、適切な言葉で提案する必要があります。

 医療系のプロジェクトマネジャーには、一定の医療知識が必要であり、そのベースとして医療有資格者として臨床経験があるか否かが大きな差を生み出すことになると思います。




プロジェクトマネジャー外部人材

 医療機器やヘルスケアサービスのプロジェクトマネジャーについては、外部リソースを活用することをお勧めします。

 最初は丸投げのつもりでも良いかもしれませんが、次代を担うプロジェクトマネジャー候補者を社内でアサインし、OJTで勉強していくという方法が良いと思います。

 社内組織的には、名義上の『プロジェクトマネジャー』は社内の次代候補者をアサイン、名義上は『参謀役』とでも名付けた外部人材に実務を執り行ってもらうような形が良いのではないかと思います。




スポットコンサルより顧問契約

 必要なときだけ外部人材を招聘するという企業が多く見られますが、そうなると会話の脈絡がわからず、本当に断片的な情報だけでコンサルしてもらうことになります。

 プロジェクトの進捗によっては無駄に感じる回があるかもしれませんが、外部人材とは顧問契約のような連続性のある契約を締結し、例えば月1~2回の会議に参加してもらって前後の話を結び付けた上での助言や指導を貰った方が、プロジェクト全体としては円滑に進みやすくなると思います。




弊社の得意分野

 弊社の事業の柱にある『医工連携事業化推進コンサルティング』は、まさにプロジェクトマネジャー的な仕事を担っています。

 製品開発に係る技術的な話題はプロジェクトマネジャーが振るだけで、各社とも無理難題も解決しています。それよりも、何が課題であるのかを明らかにすることの方が大変ですが、解決すべき課題を探索するというケースが少ないです。

 上市に向けて工業規格や薬事承認を得るための試験については定型的なものがありますが、営業的に『売りやすい商品』にするための試験は試行錯誤が必要になります。

 ケガをしたときに使うツールであっても、アスリート向けであれば完全回復した後にプロレベルのトレーニングにも耐えていく必要がありますが、高齢者の場合は歩けるレベルを目指すなど機能維持や日常生活動作に志向したゴールになります。
 対象によって値ごろ感も違いますので、販売戦略を誤ればまったく儲からない商品になるかもしれません。

 弊社では独自の分析ツールも活用し、プロジェクトをマネジメントしています。




同業者の中でも希少

 医療系のプロジェクトマネジメントができると謳う同業者は多く居ますが、弊社は以下の強み(シーズ)があります。

  1. 医療有資格者であり、臨床経験がある
  2. 事業化専従者としての国立研究機関や東証一部上場企業での実務経験
  3. 事業化の実績
  4. 医療界の人脈

 現役の臨床家に比べれば知識や技術はチープなものですが、現場を経験したことによる『経験に基づく知識』は貴重です。

 学会発表も盛んに行ってきた経緯から、医療界には多くの味方が居り、様々な専門分野へとつながっています。
 過去には、世界で100人も居ないと言われる狭い分野の実務経験者と知り合いであったことから、顧客から大変な高評を得たこともあります。




プロマネ探しのキーワード

 医療系開発のプロジェクトマネジャー探しのキーワードは以下のようなものになると思います。

  1. 臨床経験はありますか?
  2. 医療界にはどんな人脈がありますか?
  3. 医系事業の実務経験にはどのようなものがありますか?

 上記の1番目に『1万件の手術』と答えたコンサルさんが居りましたが、実際は納品回数ということでした。このような回答をされるコンサルさんは1人ではありません。ご注意ください。

 人脈についても『○○先生を知っている』はよく聞く話ですが、どのくらいの近い関係であるのか、少し尋ねてみても良いと思います。
 筆者の場合は『○○先生は××病院での上司』『○○先生の研究班の分担研究員』など具体的にお示ししています。

 『コンサルは怪しい』のではなく怪しいコンサルが居ると思って接して頂ければと思います。