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新病院の医業シミュレーション | NES’s blog

 市立伊丹病院と公立学校共済組合近畿中央病院が統合され、伊丹市立伊丹総合医療センター(仮称)に生まれ変わります。


【参考】市立伊丹病院:市立伊丹病院と近畿中央病院との統合再編について
【参考】近畿中央病院:近畿中央病院と市立伊丹病院との統合再編について
【参考】NES:医療調査 市立伊丹病院




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  1. 現地建て替え
  2. 割高な現地建て替え
  3. 新病院は三次救急
  4. ヘリなら10kmも
  5. 屋上ヘリポートの建設費
  6. 救急リソースが限られる
  7. 関西労災病院もドクターカー
  8. 救急科医
  9. 診療科
  10. 心カテ患者争奪戦(?)
  11. 救急車からCT
  12. ロジの不利
  13. ハザードマップ
  14. 三次救急&災害拠点病院は必要か
  15. 宝塚市立病院は三次救急を担うか
  16. 254億円寄付
  17. 宝塚市立病院の市立伊丹病院への影響
  18. 宝塚市民の想いは
  19. 廃業ストーリー
  20. 白紙から出直し
  21. 職員に開業を打診
  22. 機能別の病院2軒
  23. 中之島の原案(?)
  24. 機能別の複合型病院
  25. 回復期で急性期を後押し
  26. 空想上の『回復期リハビリテーション』病院
  27. 病床数(空想上)
  28. ダウンサイズ
  29. 地域医療連携推進法人
  30. 地域医療の役割分担と棲み分け
  31. 希少な医療サービス
  32. 市126億円+市立病院236億円
  33. 公立で不採算なら二重苦・三重苦
  34. 黒字継続なら注目の経営手法
  35. 医療費逼迫の下での診療報酬改定
  36. もし、返せなければ
  37. 病院の経営を頑張ってもらうしか
  38. 妄想の終わり




現地建て替え

 市立伊丹病院の現地に、新病院が建ちます。いわゆる現地建替のようなものですが、2病院合併なので病床規模は大きくなります。

 新病院は602床、その内訳は集中治療54床、一般病床528床、緩和ケア病床20床で計画されています。

 市立伊丹病院は414床、近畿中央病院は445床です。簡単に言うと414床のスペースに602床の病院を建てる計画です。


 新病院を紹介する動画が2025年2月末に公開されました。

【参考】市立伊丹病院:市立伊丹病院と近畿中央病院との統合再編について
【参考】近畿中央病院:近畿中央病院と市立伊丹病院との統合再編について
【参考】地域に信頼される安全で安心な医療の提供と健康づくり~統合新病院の整備工事に着手しました~
【参考】市立伊丹病院経営強化プラン 概要版
【参考】市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る基本方針 概要版

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これはブログ上の私見です。




割高な現地建て替え

 2006年から5年かけて建て替えた三井記念病院は、綿密な計画の中で『100周年記念事業建替計画』は竣工を迎えました。

 関係者の話では、非常にお金のかかる仕事であったとのことでした。基礎工事から何から、一度で済むようなものを何回にも分けて行うので、そのたびに重機なども段取りします。工事車両の出入りも限られ、経費が増える一方であったとのことでした。

 民間病院のすることなので、自らの財産を削って行う分には問題ないですが、自治体立病院で現地建て替えは、相応の理由がなければ不経済です。

 長野県の小諸厚生総合病院は、市役所移転のあと、旧市庁舎の跡地に病院が建設されました。順番に土地を活用していく方法で合理的な工事を進めるとともに、コンパクトシティ構想も実現するというものでした。

 伊丹市は市役所も病院も現地建て替え、その地は最寄駅(阪急伊丹駅)から1.5km~2kmあります。市営バスが全線乗り入れる訳でもなく、駐車場が余りある場所でもなく、人口が集中する場所でもなく、現地建替のメリットがわかりづらい場所です。

 わかりづらいだけで、しっかりとメリットがあるから現地建て替えなのだと思いますので、今後、調べてみたいと思います。

【参考】三井記念病院100年のあゆみ
【参考】小諸厚生総合病院の再構築

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これはブログ上の私見です。




新病院は三次救急

 伊丹の新病院には屋上ヘリポートがあり、三次救急を担うという構想があるそうです。

 『アレはオレが建てた』という人にとってはカッコイイと思いますが、この地域に三次救急が必要とされているかは、明確なデータが無さそうです。

 三次救急があれば患者が運ばれてくると思いますが、無かったからと言って三次の患者を運ぶ先が無い訳ではないのが阪神医療圏です。
 民業であればリスクを負ってでもビジネスをすべきですが、自治体立病院なので、要るかどうかわからない機能に賭けるようなことはないことを願います。

【参考】三次救急(重篤)
【参考】市立伊丹病院:市立伊丹病院と近畿中央病院との統合再編について
【参考】近畿中央病院:近畿中央病院と市立伊丹病院との統合再編について
【参考】地域に信頼される安全で安心な医療の提供と健康づくり~統合新病院の整備工事に着手しました~
【参考】市立伊丹病院経営強化プラン 概要版
【参考】市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る基本方針 概要版

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ヘリなら10kmも

 もし、市立伊丹病院が三次救急を告示すれば、阪神医療圏で最北の三次救急病院となり、北側の要となるからヘリポートが必要という論理が在るかもしれません。

 ただし、ヘリコプターの時速は200km/hr以上、市立伊丹病院を超えて県立尼崎や県立西宮まで3分です。
 実際には離陸して一直線に病院に向かうので、その差は3分もかからないかもしれません。

 既に県立西宮病院の新病院構想に屋上ヘリポートが掲げられており、あちらは2~3年早く開業するので、阪神医療圏は県立2病院にお任せしても良いのでは、とも思います。

【参考】三次救急(重篤)

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屋上ヘリポートの建設費

 新病院構想の中で『カッコイイ』という見栄えのする機能に屋上ヘリポートがあります。
 私がゼネコンの営業担当なら、ワクワクする動画を持ち込んで『屋上にヘリポートを作りましょう』と言うかもしれません。

 もし、市立伊丹病院が三次救急を告示すれば、阪神医療圏で最北の三次救急病院となり、北側の要となるからヘリポートが必要という論理が在るかもしれません。

 既に県立西宮病院の新病院構想に屋上ヘリポートが掲げられており、あちらは2~3年早く開業するので、阪神医療圏は県立2病院にお任せしても良いのでは、とも思います。

 工事する側の立場としては、1軒1軒が作品であり、機能や費用が高いほどに実績にもなり得ます。

 屋上はエアコン室外機や発電機などの機器類だけであれば、その重さから耐荷重計算して躯体を強化すればよいのですが、ヘリポートとなると、単純に重さでは計算できません。

 着陸する際には機体重量以外に加速度が加味されます。衝撃荷重を計算するには、色々と複雑な要素が絡みます。
 離陸する際にはプロペラで浮力を作ります。

 ヘリが屋上に接触することによる摩擦も生まれます。それを見込んだ防水処理も必要になります。

 患者を搬送する前提なので、ストレッチャー対応のエレベーターが屋上まで行くように設計されます。滅多に使わないが、1フロアー分の費用がかかります。

 8階の上の屋上なので、1~8階までの柱が、ヘリポート用に太くされるとすれば、相当な建設費になります。
 エレベーターや防水処理などの維持費が延々とかかることにもなります。

 屋上に置くことができたはずの発電機や室外機は他の場所に置くことになるので、その分の床面積も余分にかかることになります。

 他院では、立体駐車場の屋上をヘリポートとしている例もあったと思います。
 以前の勤め先では近くの運動場にヘリが来ていました。
 工事費、削れるなら屋上ヘリポートの中止も英断だと思います。

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救急リソースが限られる

 三次救急を担うには、ヒトとモノが必要になります。

 CTやドクターカーなどモノは買えば済みますが、ヒトは簡単には調達できません。

 いま、三次救急を担う3病院で救急医の数がギリギリであったとすると、4病院目をつくることで医師の争奪戦が始まるかもしれません。争奪戦になれば医師への待遇が良くなるので、それはそれでよいかもしれません。

 逆に、患者の奪い合いになると、医療の質低下が懸念されます。

 難しい症例が巡ってくる回数が減れば、医師や看護師の経験回数が減ることになります。診療は24時間体制なので交代勤務、上手く当たらないとブランクが長くなってしまうかもしれません。

【参考】阪神医療圏外の三次

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関西労災病院もドクターカー

 三次救急には対応していなくても、関西労災病院にはドクターカーがあります。

 病院の患者駐車場に行けば、その近くに置いてある車両をいつでも見れます。

 同院は診療体制も充実しており、救急搬送受入は年5,500台以上、入院は3,500人以上です。これだけの数の入院を受け入れられるということは、救急科と他科との連携が取れているということです。

 二次救急でも、十分に高度な医療を提供していると考えられるため、三次救急に回される患者は、相当に重篤であると考えられます。

【参考】関西ろうさい病院:ドクターカー
【参考】関西ろうさい病院:救急部

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救急科医

 近畿中央病院は常勤医が2人、市立伊丹病院は常勤医が1人の救急科があります。
 2病院合計で3人です。

 先述の関西労災病院の救急部はレジデントを合わせて10人です。重症治療部など他科兼任の先生方も居られるので救命救急科となると2人です。

 県立尼崎医療センターになると救急集中治療科が5人、小児救急集中治療科が8人の医師を在籍させているようです。

【参考】救急車で搬送
【参考】近畿中央病院:救急科(近中ER)
【参考】市立伊丹病院:救急科
【参考】関西ろうさい病院:救命救急科
【参考】兵庫県立尼崎医療センター:救急集中治療科
【参考】兵庫県立尼崎医療センター:小児救急集中治療科

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診療科

 現在の市立伊丹病院と近畿中央病院の診療科は以下のとおりです。

市立伊丹病院近畿中央病院
呼吸器内科呼吸器内科
糖尿病・内分泌・代謝内科
内分泌内科
免疫内科
腎臓内科
循環器内科循環器内科
消化器内科消化器内科
脳神経内科脳神経内科
老年内科
血液内科
小児科小児科
小児外科
外科
外科/消化器外科
呼吸器外科呼吸器外科
整形外科整形外科
形成外科形成外科
脳神経外科脳神経外科
心臓血管外科
乳腺外科
皮膚科皮膚科
泌尿器科泌尿器科
産婦人科産婦人科
眼科眼科
耳鼻いんこう科⽿⿐咽喉科
アレルギー疾患リウマチ科
リハビリテーション科リハビリテーション科
放射線診断科放射線診断科
放射線治療科放射線治療科
病理診断科病理診断科
麻酔科麻酔科
救急科救急科(近中ER)
歯科口腔外科⼝腔外科
精神科
精神科・心療内科

 標榜されているからといって、常勤医が居るという確約がある訳でもなく、救急や手術などを積極的に受け入れている訳でもありません。

 市立伊丹病院のウェブサイトで詳しく見てみると、循環器内科には医師が8名リストされています。その上で、循環器内科医を募集しています。日本循環器学会の研修施設などにも認定されています。

 同院の心臓血管外科には医師名が1人もリストされていません。治療実績など他科にある情報も載っていません。

 心臓血管外科専門医は、認定を受けるとウェブサイトで公開されます。そのリストの中に市立伊丹病院所属の専門医は居ないようなので、現状は常勤の専門医は居ないかもしれません。

【参考】市立伊丹病院:病院概要
【参考】近畿中央病院:病院概要
【参考】3学会構成心臓血管外科専門医認定機構:心臓血管外科専門医名簿一覧

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心カテ患者争奪戦(?)

 人口175万人の阪神医療圏で心臓カテーテル法による諸検査は年間4,178件実施されています。

 人口420人に1件という計算もできますが、365日で割ると1日あたり11.45件しかありません。200日にしても20.89件です。この件数を兵庫医大や尼崎医療センターなどと分かち合っていることになります。

 今後しばらくは高齢者人口が増えるので、患者数も増えることが予想されますが、一方で医療費が逼迫することにもなるので、心カテに対する診療報酬は厳しさを増すものと思われます。

 心カテは医師だけでは成立しません。看護師、診療放射線技師、臨床工学技士らがカテ室で関わり、カテ後の患者は病棟や集中治療室へ送られます。
 心カテの稼働率が下がれば不採算になりますが、単価が下がりすぎても不採算になります。
 アンギオ装置と人材を維持できなければ、撤退も止む無しとなりますので、地域でのリソースの調整が必要になると思います。


【参考】心カテ

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救急車からCT

 日本人の死亡原因は1位ががん(悪性新生物)、2位が心疾患です。脳血管疾患が3位という時代も長かったですが、肺炎や老衰に上位を譲ったことで、現在は4位になっています。

 健康寿命の延伸、高齢者数の増加などに伴い老衰が増えたのは事実ですが、脳血管疾患が救い得る疾患になったということも大きく寄与しています。

 急性期の脳血管疾患では、まず、救急隊の見立てが重要になります。
 筆者が務めていた病院でも行っていましたが、脳卒中を疑って搬送されてきた患者について、救急隊も時間が許す限りCT撮影を待って診断結果を確認し、勉強していました。
 単に当たりはずれということではなく、どう見立てたことで成功/失敗したのかを学んでいきます。

 ここで重要なのが、救急隊からの受入要請から、救急車到着までの間にCT室を空けておくことです。
 早ければ5分、遅くても15分以内に搬送されて来ます。


 救急車到着後、モニタなどを装着しつつ、そのままCT室へ流れていくことができれば院内でのロスタイムはゼロ、一刻を争う脳血管疾患の患者の救命につながります。

 脳梗塞疑いでtPA適用の可能性があれば、鼠径部へシースを挿入する段取りも並行します。診断後、すぐにtPAの静注を開始することで、救命率が高まります。

 関西労災病院の豊田部長の下では、この体制が確立していると思われます。救命率が高いと知れば、救急隊も積極的に関西労災病院に受入要請をすると思いますので、相乗効果が出ているような気がします。

 伊丹の新病院でもこの体制がつくれるかどうかがカギとなります。
 弊社からですと関西労災病院まで4.0km、信号を1つ曲がれば病院前まで片側2車線の道路で一直線です。市立伊丹病院は2.5km程ですが3~4回曲がる必要があります。たぶん、救急車に乗れば大差ない時間で搬送されると思いますので、新病院に脳血管疾患救急体制が無ければ、関西労災病院に搬送されると思います。

 救急隊に選ばれる病院になって欲しいです。

【参考】脳血管内治療

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ロジの不利

 前述の通り、既存4病院(西宮は2026年開院)は高速道路と国道へのアクセスに優れています。

 市立伊丹病院は、国道171号線に面していますが、高速道路からは離れています。
 中国自動車道の池田インターや宝塚インターまで約5km、名神高速の尼崎インターは5.5km程あります。


 市立伊丹病院からアクセスする高速道路、全国から集結するDMATのゲートウェイは宝塚インターは宝塚市立病院が、尼崎インターは県立尼崎医療センターが担えるので、必要ありません。
 阪神高速は兵庫医科大学と県立西宮総合医療センターが担うので、こちらも必要ありません。

 孤立無援の災害拠点病院という訳にはいきませんので、どこかのDMATが市立伊丹病院を目指すことになりますが、それが合理的なことなのか検討が必要ではないかと思います。

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ハザードマップ

 このエリアのハザードマップを見ると以下のようになります。

 津波の影響は、兵庫医科大学に出る可能性がありますが、他の災害拠点病院は被災を免れる想定です。阪神高速は高架なので、おそらく通行はできると思いますが出入口は閉鎖されると考えられます。


 高潮は非常に広範囲に影響が出そうです。宝塚市立病院以外の災害拠点病院は何らかの影響が出そうです。
 高潮が一時的なものであれば影響は軽微かもしれませんが、冠水した道路が復旧しないようであれば災害拠点病院としての機能を発揮できない可能性があります。


 土砂災害については、さほどリスクは無さそうです。中国自動車道が寸断された場合でも、阪神高速や国道2号線などが使えれば、ある程度のロジは確保できそうです。


 洪水については、災害拠点病院4病院とも何らかの影響がありそうです。武庫川と猪名川の氾濫が結果を左右しそうです。
 ハザードマップで見ると、市立伊丹病院の周辺は無傷かもしれません。ただし、東西南北の道路が寸断される可能性があるので、救急車の往来がないのであれば拠点としての価値は下がります。
 越境して大阪大学医学部附属病院をDMAT拠点としてもらった方が円滑に事が運ぶかもしれません。


 市立伊丹病院が何らかの災害時の機能として好立地であるかというと、ハザードマップからは『唯一無二』とまではいかない予想となりました。

 高潮は一気に水が押し寄せて浸水するのですが、ある程度は身構えることができる災害でもあるので、負傷者数はさほど多くならないかもしれません。

 このハザードマップだけでは、市立伊丹病院が災害拠点病院となる理由は見当たりません。
 2020年の構想資料では『大規模災害時における地理的優位性』という記述がありますが、上述のとおり他の災害拠点病院が対応してくれるので、わざわざ災害拠点病院をつくる理由にはならないと思います。
 災害拠点病院として、ダメな場所に建てる訳ではないですよという説明に過ぎないと思います。

【参考】市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る基本方針 概要版

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三次救急&災害拠点病院は必要か

 『ウチ、三次救急と災害拠点してます』というと、何か特別感があって、リクルートには良さそうです。

 言葉の響きだけではカネは生み出しません。

 市立伊丹病院には設計監理費13億円、建物移転補償費等15億円、建築工事費462億円、医療機器等72億円、総額562億円の事業費で工事が進められています。

 総事業費562億円の内、伊丹市が126億円を負担、市立伊丹病院が236億円を負担する計画です。

 これだけの事業費をかけた上に、災害拠点病院の維持にかかる費用も負担して、しかも黒字経営をするのは大変そうです。
 新病院には、必ず黒字になりますという計画書があるようです。詳しくは知りませんが、それに基づいて借り入れして、黒字部分で返済していくそうです。

 話は戻って三次救急と災害拠点病院を市立伊丹病院が担うべきかどうかです。
 どちらも、人材確保が難しく、確保できた人材をどう維持していくのかは、問い合わせしていないのでわかりません。ネット上にはそれっぽい記事はありません。

 災害拠点病院としての機能を有し、耐震強化、ライフラインの維持・確保、ヘリポートの確保、医療資器材等の確保・備蓄、BCP(業務継続計画)の策定など、施設機能の強化を図るとともに、他の災害拠点病院間の連携体制を構築し、災害時における被災患者の受入れ・治療、救護班の派遣等を行う。

 災害初動期において迅速かつ効率的な救護活動ができるよう、医療従事者に対する知識の普及啓発を行うとともに、災害急性期に活動できる機動性を有する、専門的な訓練を受けたDMAT(災害派遣医療チーム)を整備する。

新しい基幹病院について

 病院のウェブサイトには上記のように書かれています。なぜ災害拠点病院にするのかではなく、災害拠点病院の機能の説明になっています。

【参考】三次救急(重篤)
【参考】災害拠点病院
【参考】地域に信頼される安全で安心な医療の提供と健康づくり~統合新病院の整備工事に着手しました~
【参考】市立伊丹病院経営強化プラン 概要版
【参考】市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る基本方針 概要版
【参考】新病院整備に向けた取組
【参考】宝塚市:新病院建設地の決定について
【参考】宝塚市立病院が目指す病院像(宝塚市・宝塚市立病院)

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宝塚市立病院は三次救急を担うか

 今のところ、宝塚市立病院の新病院が三次救急を担うかどうかはわかりません。

 宝塚市は兵庫医科大学と三次救急患者に関する事項などを含めた協定を締結しています。

 地理的なことで言うと、阪神医療圏の北西部の住民にとっては、宝塚市立病院が三次救急を担うと、宝塚インターを降りてから兵庫医大や県立西宮まで行く10~12kmの時間を短縮できるので、劇的な改善だと思います。
 新三田の駅を起点にしてみると、兵庫医大まで38km、神戸三大ICから宝塚ICまでは高速道路なので20分くらいかなと思いますが、宝塚ICからは一般道なので、距離は短いが20分くらいかかってしまいそうです。神戸大学や神戸日赤へ行くのと、あまり時間差が無いかなと思います。

【参考】宝塚市立病院の動向
【参考】兵庫医科大学:宝塚市と医療等における連携協定を締結
【参考】宝塚市:宝塚市立病院 経営強化プラン 概要版 令和6年3月
【参考】宝塚市:宝塚市立病院が目指す病院像
【参考】宝塚市:宝塚市立病院が目指す病院像 概要版
【参考】宝塚市:持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン

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254億円寄付

 宝塚市立病院の経常損益は、令和5年度が3億8,562万円の黒字、令和4年度は5億8,697万円の黒字です。令和5年度末の未処分利益余剰金は170億円あります。

 病院の建替計画が具体的に進んでいる最中ですが、病床規模はダウンサイズされて350床、概算事業費は397億円と試算されています。

 そこに、250億円の寄付が決まりました。建替費用(解体費を除く)が251億8,300万円ということなので、もしかするとこの数字を見て寄付なさったのかなと思います。

宝塚市に254億円寄付

 宝塚市では公営企業債を発行して資金調達する予定だったようで、もし企業債を発行していれば利息は年数億円になっていたと思います。

 寄付は250億円ですが、金利まで考慮すれば300億円くらいの経済的価値があるのではないかと思います。


 今回の寄付の内の3億9470万円は手術支援ロボットの調達分ですので、同院に手術支援ロボットが導入されることは決まったようなものです。

 病院が高度化する中で、借入による借金返済・利息支払いも免れるとなると、毎年の黒字分から次の投資へ使える額が大きくなる可能性が高まります。

【参考】日本経済新聞:兵庫・宝塚の夫妻が254億円寄付 市立病院建設費などに
【参考】NHK:市民から約254億円寄付 市立病院建て替え資金など 兵庫 宝塚
【参考】宝塚市

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宝塚市立病院の市立伊丹病院への影響

 宝塚市と伊丹市の立地関係は下図の通りです。伊丹市から見れば、外周の5分の1程度が宝塚市と接しています。
 宝塚市は人口22万人、面積102平方キロ、人口密度は2,166人/平方キロです。
 伊丹市は人口20万人、面積25平方キロ、人口密度は7,791人/平方キロです。


 鉄道は両市ともJRと阪急が乗り入れています。

 JRは尼崎から北上するJR宝塚線にJR宝塚駅やJR伊丹駅があり、2市間を往来できる路線になっています。

 阪急は宝塚市と伊丹市を直通する路線はなく、宝塚大劇場がある阪急宝塚駅は大阪梅田駅と直通する阪急宝塚線の始発駅になっています。川西まではJRと並走しますが、その後は池田市や豊中市を通るルートです。
 宝塚駅は今津線の始発駅にもなっています。南下して西宮北口駅の間を往復しています。
 阪急伊丹線は阪急伊丹駅と阪急塚口駅の間を往復する短い路線です。塚口から神戸線に乗り換えて梅田や三宮に出掛けることはできますが、阪急伊丹駅から阪急宝塚駅へ行こうと思うと2回の乗り換えが必要です。

 JRと阪急は相互乗入していないので、改札外乗換です。宝塚駅は隣接していますが、伊丹駅は離れているので改札外乗換というイメージではなく、まったく別の駅です。


 車で考えると、宝塚と伊丹は非常に近い関係にあると思います。
 市境に近いイオンモール伊丹昆陽は伊丹方面からも宝塚方面からも車が集まってきています。
 南北の道路が発達していることから宝塚インターがある尼宝線だけでなく安倉や荒牧、山本といった地名を通る南北道路も交通量が多いです。


 もし、宝塚市立病院の医療機能が充実した場合に、伊丹市民が行きやすい場所になるかどうかという点は、おそらく宝塚市立病院の事業計画にも深く関わると思います。

 車を使う人にとっては、県立尼崎や関西労災へ行く場合と所要時間に大差がないと思います。特に関西労災病院については、同じ尼宝線沿いなので、尼宝線に出てから北へ行くか、南へ行くかという伊丹市民は多くいると思います。
 国道176号線を頻繁に使う人にとっては、南側の尼崎へ行くよりも宝塚へ行く方が馴染みがあると思います。

赤色が宝塚市立病院、橙色が市立伊丹病院、紫色が関西労災病院

 現状では宝塚市立病院に通う伊丹市民は限定的、市立伊丹病院に通う宝塚市民も限定的だと思います。

 入院時、個室料金については市民は割り引かれる制度があります。宝塚市立病院は個室で2,000円、特別室で5,000円の割引があります。市立伊丹病院は個室で3,300円、特別室Aで5,500円の割引があります。
 個室利用を考えた場合、市民は地元市立病院に入院した方が経済的です。


 病院の機能が明確に異なるようになれば選択的にどちらかに志向する可能性があると思います。

 宝塚市立病院がいくつかの診療科で高度化した場合、それが医学的に高度化ではなくてもクチコミで高度化したと広まれば、伊丹市民であっても宝塚市立病院を志向する患者が増える可能性があります。

 大学病院は別格として、ある程度の有名病院であっても診療圏は10km程度、医療機関が少ないエリアでは20km程度という目安があります。根拠データは持ち合わせていません。

 下図の赤丸は半径5km、青丸が半径10kmです。ざっと言うと5km圏に30万人、10km圏に80万人近くが居住していると思います。

 5km圏内で200床以上の一般病床を持つ病院は市立伊丹病院だけです。
 10km圏になると関西労災病院や県立西宮病院などが入ってきます。兵庫医科大学と県立尼崎医療センターもギリギリ10km圏内にあります。

 すなわち、10km圏を視野に入れると競合が多いが、5km圏であれば競合する医療機関は少ないということになります。


 経営戦略的に言えば、宝塚市立病院は市立伊丹病院の患者を流入させれば、人口減少時代に突入しても患者数確保ができると考えられます。

 医療もビジネスですので、利益率が高い診療や、リスクの低い診療を実施した方が経営は安定します。

 例えば、消化器外科の腹腔鏡手術やロボット支援下手術を年間1,000例実施できれば、関連する消化器内科の内視鏡検査やCT検査などもあわせて稼働が高まり、経営が上手くいくとします。
 現状が年600例、今のままではまったく手が届かない1,000例も、他院のエリアから流入させれば十分に届く数字だとすれば、そこを狙いに行くのは経営としては当然のことかもしれません。お作法としてどうか、人道的か、については別な話です。
 現在、宝塚市立病院には消化器外科の標榜はありません。

【参考】宝塚市立病院条例
【参考】市立伊丹病院:入院案内, 6.入院料金のお支払い

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宝塚市民の想いは

 宝塚駅から兵庫科大学へ行くには、JR宝塚~JR大阪~阪神大阪梅田~武庫川というルートか、阪急宝塚~西宮北口~今津~武庫川というルート、いずれも乗換が必要で所要時間は1時間前後です。
 自家用車であれば大半を尼宝線か武庫川沿いを南進して15kmほど、順調なら40分くらいで到着できます。タクシーだと6千円くらいです。関西労災病院でも30分くらい、タクシーで5千円くらいです。

 大病院を紹介されて尼崎や西宮へ行くとなると1日仕事です。患者本人も、付き添いの家族もラクではありません。

 希少疾患や難手術であれば諦めもつきますが、人手や設備の不足を理由に不便を強いられるのであれば、腑に落ちない部分があるかもしれません。

 250億円もの寄付が、市民への医療サービスの充実という想いを込めてのものであったとすれば、建物が建て替わるだけでは終わらないと思います。

 ダウンサイズして350~380床ほどで構想されていたものが、現状維持の436床になるかもしれないですし、病床は減らしても医療機能を向上させるかもしれません。

 市内で最も新しい宝塚磯病院は療養病床160床、宝塚リハビリテーション病院は回復期リハビリテーション病床162床の病院です。
 2院ともに、既に病院経営している医療法人が新たに開院したものですので、需要があると判断したから開院していると思います。
 2院ともに、基本的には急性期は扱わず、どこかの急性期病院での診療を終えた回復期や慢性期の患者を受け入れるような病院であると考えられます。
 前方となる急性期病院が活発になると、この2院も活発になる可能性があります。すなわち、宝塚市立病院の機能拡大は、市内の他院にも影響を及ぼすと言えます。

病院名病床数開院
宝塚市立病院436床1984年5月
医療法人尚和会宝塚第一病院199床1967年7月
(大室病院)
医療法人尚和会宝塚リハビリテーション病院162床2008年4月
宝塚磯病院160床2014年8月
医療法人愛心会東宝塚さとう病院136床2001年6月
医療法人回生会宝塚病院131床1956年3月
こだま病院110床1970年
(1948年児玉医院)

 人工関節置換術は大がかりな手術で入院期間は2~3週間です。家族が世話や見舞をする際、市内であれば気軽に往復できると思います。
 術後のリハビリは長期、患者にとっては大規模な業務になります。手術を受けた病院との連携がとりやすい病院へ転院できると、患者にとっても、家族にとっても良さそうです。

 宝塚市立病院で手術を受け、宝塚リハビリテーション病院(162床)で回復期を過ごし、宝塚磯病院(160床)へ転院する、このような流れが作れると、市民にとってはネガティブな面は少ないかなと思います。

 回復期リハビリテーション病棟は整形外科、脳神経外科、循環器内科、心臓血管外科あたりが深く関わるので、これらの診療科が充実されると、宝塚市内の回復期リハビリテーション病棟は深刻なほど不足する可能性がありますが、需要があれば供給が生まれるとすると、病床転換や新規開業などの動きがあるかもしれません。

【参考】宝塚第一病院:沿革
【参考】尚和会:宝塚リハビリテーション病院が開設15周年を迎えました。
【参考】加古川磯病院:宝塚磯病院 平成26年8月1日オープンしました。
【参考】東宝塚さとう病院:沿革と施設基準
【参考】回生会宝塚病院:院長ごあいさつ
【参考】こだま病院:院長ごあいさつ

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これはブログ上の私見です。




廃業ストーリー

 市立伊丹病院については、老朽化したので建て替えるというストーリーの上で話が進んでいたのではないかと心配します。

 いま廃業したとして、どのような影響がでるのかシミュレーションしたと思いますが、その結果がどうであったのか知りたいです。

 阪神医療圏は人口も多く、神戸や大阪と隣接しているので医療機関は非常に多くあります。
 市立伊丹病院が無くなると受診できないという診療科や疾患は無いと思います。

 『不便になる』という意見はあると思います。

 医師法には応召義務があるので、平日昼間であれば、どこかの医療機関に行けば診察してもらえるはずです。半径4kmに病院が1軒もないような無医地区ではありません。

 伊丹市と人口が近い東広島市が属する広島中央医療圏は795平方キロ・23万人なので人口密度が大きく違います。
 下図は東広島市ですが、635平方キロの面積の約半分、ちょうど中国自動車道を境に北側には病院が1軒もありません。
 このような地域から病院を1つ減らすというのであれば、地域住民も黙っていないと思います。


 東広島市では状況を甘受して、自動運転の実証などを誘致し、医療へのアクセス確保に躍起になっています。

 伊丹市の場合、市内にもポテンシャルがあります。上位2病院が廃業すると痛手ではありますが、有床診療所を含めて一般病床が608床あります。

医療機関名総病床数一般
病床
療養
病床
精神
病床
公立学校共済組合近畿中央病院44544500
市立伊丹病院41441400
医療法人水光会伊丹天神川病院267035232
医療法人せいふう会阪神リハビリテーション病院19219200
医療法人せいふう会伊丹せいふう病院17880980
医療法人社団豊明会常岡病院10301030
みやそう病院9749480
医療法人社団祐生会祐生病院8354290
伊丹恒生脳神経外科病院808000
医療法人社団星晶会あおい病院393900
吉江胃腸科外科191900
医療法人社団星晶会星優クリニック191900
医療法人社団緑心会大橋クリニック191900
荘司外科191900
太田外科診療所191900
第2西原クリニック191900
みずほレディースクリニック9900


 市立伊丹病院と近畿中央病院が同時に廃業した場合、雇用の問題が発生します。
 一時的なこととは言え、補償金などの支出が大きくなること、就職活動するにも市内には余白がないので市外に出なければならないことなど、課題は山積です。

 廃業のストーリーであれば、老朽化した病院を建て替える必要はないので、使えるギリギリまで病院は営業を続けることができます。
 廃業時期を調整しながら、職員の再雇用先を探す、ということはできるかもしれません。

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これはブログ上の私見です。




白紙から出直し

 現在は二次救急を担い、手術も何千件と実施している市立伊丹病院と近畿中央病院ですが、その過去は置き去り、とりあえず白紙で考えてみます。

 いま、2病院が無くなった状況を想像して、どのような病院が必要になるのか、まったく要らないのかを考えることで、病院経営の先が見通せると思います。

 大きな機能として外来、入院、救急、手術、健診/検診などがあります。

 入院病床があるか否かで外来のフォーカスが変わります。救急も同様です。
 手術ができるか否かで入院のフォーカスも変わります。救急も同様です。

 そうなると、手術の在り方から検討する必要がありそうです。

 両院合計で年間7~8千件の手術が行われているとして、この担い手が仮に蒸発するとします。平日を240日とした場合、1日30件程度の手術需要がフリーの状態になります。

 整形外科に注目してみると市立伊丹病院が1,583件、近畿中央病院が126件あります。市立伊丹病院は人工関節センターを開設し年間800件ほどの人工関節手術を行っています。
 これだけの件数の整形外科手術をするには、診療科として地域連携などにも力を入れてきたはずなので、この機能を丸ごと活かした病院という構想がつくれそうです。
 年間240日の手術室稼働で1日7件の手術、この数字からして小規模な病院1軒の経営が成り立ちそうです。

 整形外科に限りませんが、リハビリテーション科の医師は市立伊丹に兼任医5人、近畿中央はゼロです。市立伊丹は理学療法士11人、作業療法士4人、ここの強化は課題になりそうです。

 呼吸器やアレルギーに係る疾患については、市立伊丹のアレルギー疾患リウマチ科が医師6人、呼吸器内科が10人と充実しています。
 小規模病院という構想であれば、呼吸器・アレルギーを核とした内科を確立するということもありかなと思います。

 循環器系は手を出さないという選択にするか、あえて心臓血管外科を充実させて、循環器内科も充実させるという戦略に出るか、医師次第かなと思います。

 脳神経外科は両院あわせて5人、ここは関西労災病院に譲るのが得策な気がします。

 消化器は日本人に多い病気ですし、医師も多いので体制が整うなら在ると良い診療科です。市立伊丹の消化器外科は8人、消化器内科は17人です。近畿中央は消化器内科5人、消化器外科の標榜はなく外科に7人所属しています。

 自由診療需要も多い診療科をみてみます。
 皮膚科は市立伊丹が3人、近畿中央はゼロです。形成外科は市立伊丹が2人、近畿中央が1人です。乳腺外科は市立伊丹が5人で近畿中央には標榜がありません。
 このあたり、重症は県立病院や大学病院と連携、それ以外は地域の開業医と連携でも良いのかもしれません。

 眼科は市立伊丹が3人、近畿中央が3人の体制です。近隣に眼科専門のクリニックも多くありますし、他院でも積極的に手術を行っているので、競争は激しそうです。

 小児・周産期をみると市立伊丹病院が小児科9人、小児外科1人、産婦人科10人です。近畿中央病院は小児科2人、産婦人科2人です。
 院長の高齢などを理由に産婦人科医院が続々と閉院しているので、市から助成金を貰ってでも産科の維持は必要かもしれません。
 小児科については、県立尼崎が充実しているので、無理することはないのですが、産科との連携もありますし、市から助成金を貰えるなら維持していく方向で良いかなと思います。

 人工透析は市立伊丹病院で10床稼働しているようですが、これは入院向けであれば十分な数かもしれませんが、外来で収益をあげるには10倍くらいに増やす必要があります。

 あくまで、筆者の妄想です。根拠はありません。

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職員に開業を打診

 前項では、一旦廃業して、新たに開業するような、ゼロベースでの妄想をしました。

 実際には完全廃業ではなく規模縮小で継続ということになろうかと思いますが、縮小で改廃される診療科については、雇用も含めてどうフォローすべきか考えてみます。

 医師1~2人で回していた診療科でも採算がとれていたのであれば、新病院には同科を標榜しない代わりに、門前で開業してもらうというのはどうでしょうか。

 敷地内に外来センターのようなクリニックモールを用意し、診療科指定で貸し出すことで、しっかり埋まれば診療機能は維持できます。
 病棟への往診も保険が許す範囲で実施できれば、病院規模が小さくなっても、医療の質は低下させず維持できるかもしれません。

 病院都合で話しても仕方ないので、開業医側の立場に立った時、現在の市立伊丹病院の立地で開業することでの採算性はあるのか、あの立地はどうなのかということになります。

 周辺人口だけで見ると、好条件とは言えません。
 南側は片側2車線の国道なので渡るのが面倒、しかも神社、農協、小学校など住居以外が多くあり、住居の多くは戸建てです。すなわち、単位面積あたりの人口が少ないです。
 西側も片側2車線の県道、その道路沿いは数百メートルにわたって住友電工の工場です。その面積365,000平米、マンション群なら3,000戸規模の開発ができると思いますが、所在地の昆陽北1丁目の人口は528人、65歳以上は45人です。
 更に西へ行くと旧公団のアルビス寺本があり、人口1,251人、65歳以上は455人居ます。尼宝線方面のイズミヤ周辺には各科診療所が集積しているので、銀行など生活に必要なものはだいたい揃っているので市立伊丹病院方面へ向かせることが容易ではありません。

 車で行くとしても、もしイズミヤのところにクリニックモールができれば、十分な駐車場があり、時間をつぶすカフェやファストフードもあるので、何もない病院横が求心力に欠けるような気がします。

【参考】住友電工:伊丹製作所
【参考】伊丹市:町・字別年齢別人口及び世帯数(住民基本台帳・外国人登録人口/5歳区分) 四半期ごと

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機能別の病院2軒

 兵庫県の基幹災害拠点病院でもある兵庫県災害医療センターと神戸赤十字病院は同一敷地内、1棟の建物に2病院が入っている形になっています。開設者は兵庫県と日本赤十字社、まったく別の組織です。


 以下の3施設は同じエリアに立地しています。上2つは所在地が同じ、同一の建物で診療しています。


 複合施設で言うと、未来医療国際拠点『Nakanoshima Qross』は大型商業施設に病院が入居しているような形態です。
 桜橋渡辺未来医療病院が入居するのは7~11階ですが、その階下には会員制健診施設やクリニック、薬局などが入居しています。

【参考】大阪府:未来医療国際拠点「Nakanoshima Qross」の形成
【参考】Nakanoshima Qross

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中之島の原案(?)

 10年ほど前に、大阪で再開発事業があるということで、構想を練ったことがあります。

 当時、医学部長とお付き合いがあったので、その流れの中で妄想しました。

 今ではインバウンドが3,600万人を超えましたが、当時はまだ2,400万人を目指すといった段階でした。IRやカジノがどうなるかも議論の真っ最中でした。

 シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズの社長とお話しする機会があり『なぜ、日本なのか?』という点を深掘りしました。
 日本の和食や祭りは外国人からも人気だが、高度な割に安い医療も魅力であるという話から、メディカル・ツーリズムの構想を描きました。


 最初のラフ案、低予算での実現という面で下図のような絵で始まりました。


 調査を進めるなかで、豊能医療圏にある大阪大学医学部附属病院が、大阪市医療圏にある中之島エリアに病床を確保することは難しいということがわかってきました。

 何床なら確保できるのか、というあたりからバーチャルICUという構想が浮上しました。医師らのリソースの多くは大阪大学に居たままで、一部の医師や看護師が中之島で診療にあたるというようなものです。
 当時はzoomなどない時代、テレビ電話やビデオ会議システムなど専用装置を用いていた時代ですが『集合』と呼びかければ20診療科くらいが同時に症例を検討するような、そんなものが将来はできるだろうという絵を描いていました。


 そこで行き着いたのが、ベッド数100床未満の阪大治験病院と、ベッド数300床未満の民間病院の同居です。

 北には関電病院、南には住友病院、少し東へ行けば北野病院などが立地するエリアなので、医療が足りていない訳ではありません。

 この構想の時点で、お近くの桜橋渡辺病院さんを誘致できないかと模索していました。
 大阪大学がハイレベルな心臓血管外科手術をする、術後ケアは阪大病院では診ずに階下の民間病院が診るという形を想像していました。
 これにより阪大病院は病床を持たず手術に集中し、階下の民間病院は術後ケアという濃厚な医療を必要とする患者を受け入れて診療をすることで、難しい症例を経験できるとともに、高額な診療報酬を得られる機会も持てるという構図です。

 専門分化、棲み分けをすることで阪大病院は、19床以下の阪大医院でも大丈夫かなと思いました。

 ここが治験の拠点であれば病院である必要がありそうですが、先進的な医療を提供する施設であるとすれば、有床診療所でも良いのかなと思いました。

 海外から来る患者を中心に考えた場合は診療報酬の制約を受けませんので、柔軟な運用ができます。そのモデルが確立すれば、中医協などに審議をお願いしていくこともできると考えていました。

10年ほど前の私的な中之島医療構想


 Nakanoshima Qrossの実現に関わっておられる方々の中に、この構想をプレゼンした相手が居りますので、原案として少しは影響しているのかなと、勝手に思っています。

 今回の記事は、妄想が多いです。

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機能別の複合型病院

 中之島の原案から着想を得て妄想し直すと、市立伊丹病院の後継は、複合型の病院で良いのではないかと思いました。

 呼吸器やアレルギーを核とする内科系、整形外科を核とする外科系、循環器内科と心臓血管外科が連携する循環器センター、消化器内科と消化器外科が連携する消化器センターで構成する急性期病院を1軒目とします。
 外来は総合診療科が担当し、専門外来は院内・院外の専門医につなぐようにします。
 入院は救急・集中治療・ハイケアユニットなどの高度系が30床、急性期の一般病床が100~120床程度とします。

 2軒目は周産期母子を専門とする有床診療所です。
 公設民営のイメージを描いています。不採算な部分は多くあるが、地域人口の減少を少しでも緩和するための施策として、伊丹市がスポンサーになる想定です。
 現在の阪神北広域こども急病センターの運営も受託できると、シームレスな対応ができて良いのかなと思います。

 3軒目の病院は回復期リハビリテーション病院とします。
 回復期リハビリテーション病棟へ入院する患者には、疾患や期間が厳に定められています。
 ここでは主に、1軒目の整形外科から患者を取ります。1軒目の病院にはリハビリ室は持たず、3軒目は阪神医療圏でも際立つような規模のリハビリ施設と人材を確保します。

疾患最大入院期間
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症又は手術後、義肢装着訓練を要する状態150日
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頚髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷180日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態90日
外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後の状態90日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態60日
股関節又は膝関節の置換術後の状態90日

 回復期リハビリテーション病床については、不足が懸念されていることを伊丹市も知っています。資料に明記されています。

 それならば、回復期リハビリテーション病院を開業しても、民業圧迫にはならないし、患者も行き場を失わずに済むのではないかと考えられます。


【参考】厚生労働省:令和6年度診療報酬改定の概要[入院Ⅲ(回復期)]
【参考】伊丹市・市立伊丹病院:市立伊丹病院経営強化プラン 令和5(2023年)6月

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回復期で急性期を後押し

 伊丹市の推計によれば高度急性期は472床足りないが、急性期は1,571床余剰とされています。
 関西労災病院の資料では、阪神北と阪神南の両方の数字が示されています。このデータを見ると、市立伊丹の資料には印象操作のようなものがあるのではないかと疑ってしまいます。

 阪神『北』では高度急性期が472床不足とありましたが、阪神『南』は58床の不足となっています。要するに、阪神南はプラマイゼロに近い状態になっているということです。


 更に注目すべきは、関西労災病院では平成28年度までは高度急性期30床、急性期612床であったものが、平成29年度からは高度急性期642床、急性期0床で届け出ているので、阪神医療圏のマイナス530床という数字は、プラス82床に転換していると思われます。

 阪神医療圏でみれば尼崎と西宮に高度急性期病床はたくさん在るので、そちらを利用すれば良いだけかもしれません。

 さらに、急性期病床を高度急性期病床に転換できるように、急性期患者を1日でも早く退院させられるインフラが必要なのかもしれません。

 そこで、回復期リハビリテーション病院の出番です。

【参考】関西労災病院 公的医療機関等2025プラン

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空想上の『回復期リハビリテーション』病院

 県立尼崎医療センターや関西労災病院などから脳卒中や脆弱性骨折患者らを早期に転院してもらいます。
 究極的には前方病院には1泊2日、手術翌日には(空想上の)回復期リハビリテーション病院に転院してもらう構想です。

 前方病院の専門医の先生方には、手術に集中する時間を最大化して頂き、術後ケアはアウトソーシングするようなつもりで、(空想上の)回復期リハビリテーション病院に任せてもらえれば良いと思います。

 筆者の僅かな経験でも、脳神経外科病棟には、脳神経外科のエキスパート医師が診る必要性が無い患者が多く居ました。手術して、術後の観察をするところまではエキスパート医師が必要ですが、3日目には落ち着いている、そのような状態では患者の回復を待つばかりなので、些細なことで先生方を病棟に呼び出すくらいなら、手術に集中できるように休憩でもしておいてもらった方が良いかなと思っていました。

 ドクターカーで迎えに行って、医師が引き継ぎを受けて転院する、このパターンが確立できれば高度急性期病院も、回復期リハビリテーション病院も、利益を出しやすくなり、職員の待遇改善や設備充実などに資金を充てやすくなります。

ドクターカー

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病床数(空想上)

 新病院は602床、その内訳は集中治療54床、一般病床528床、緩和ケア病床20床で計画されています。

 前述の機能別複合型病院とする場合、1軒目の急性期病院は集中治療20~30床、一般病床100~120床程度で良いかなと思います。

 2軒目の周産期母子クリニックは最大19床です。
 妊婦は病人ではないので、快適な生活を過ごしてもらうために最上階に全個室で過ごしてもらえると良いのかなと思います。
 感染対策などもあるので、母子クリニック専用エレベーターを設けて、24時間対応できると良いのかなと思います。

 3軒目の回復期リハビリテーション病院は、200床未満を想定しているので回復期病棟を最大199床で運用するかなと思っています。
 必要に応じてICUやHCUを設けていっても良いかなと思っています。地域のニーズにどれだけマッチするのか、1軒目の病院との連携にも依存する部分があります。

 下図のような割り付けになるとすれば、1フロアーに200床を確保するくらいのスペースになります。が、実際は100床くらいにしておかないと建設費が高そうなので、縦に伸びることになると思います。
 周産期母子クリニックは19床なのでスペースが余りますが、開放的な最上階でリハビリができるというのも悪くないので、半分はリハビリ室になるかなと思います。


 1フロアー100床規模で、鉄骨4階建てという病院の事例はいくつかあります。例えばさぬき市民病院です。こちらは敷地31,585平米なので現市立伊丹病院の30,000平米と同じくらいです。建築面積は5,327平米で1フロアー100床なので、ざっくり2倍の10,000平米にすれば1フロアー200床もいけそうです。


 この複合型病院に療養病床を設けるべきかどうか、悩ましいところです。

 介護医療院は数を伸ばしているので、今後の医療と介護の橋渡し的な役割を担うと考えられます。

 大阪の千里中央病院は回復期リハビリテーション病棟、緩和ケア病棟、一般障害者病棟を併せ持つ病床数400床の駅直結型病院です。この病院は地下1階から地上6階までを使っていますが、その上には別法人が運営する介護付き有料老人ホームが入居しています。病院と介護の複合施設です。
 経営面で言うとビルのオーナー(大家さん)、テナントとしての病院、介護施設、調剤薬局、レストランなどそれぞれに別法人が同じ敷地で仕事をしている状態です。
 この病院の開業時には介護医療院という制度が無かったと思いますが、今では介護医療院が増えているので、回復期リハビリテーション病院と介護医療院のケアミックス病院、検討してみても良いのかなと思いました。

 医療型障害児入所施設のようなものを持った方が良いのかどうか、わかりません。現在のように市立病院として公立病院ならば不採算事業もできますが、完全民営化となれば、ビジネスなので不採算事業には手が出せません。
 医療型障害児入所施設については、西宮すなご医療福祉センターや三田の兵庫中央病院があるので、必要に迫られている状況ではありませんが、検討する余地はあるかなと思いました。

【参考】さぬき市民病院
【参考】公立小野町地方綜合病院
【参考】千里中央病院

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ダウンサイズ

 新病院は602床で計画されていますが、400床未満に抑えることで、借入金は少額化できると思います。規模が小さくなれば収入も減りますが、支出も減るのでリスクは低減できるかもしれません。

 総合病院的な位置づけではなく、中堅のケアミックス病院を狙う方が、この地域の医療ニーズには合致しているかもしれません。

 専門診療は門前クリニックモールと、救急車で10分程度の他院に依存することで、地域での棲み分けができるかもしれません。


 路線バスのバス停が3~4箇所設置できる程度の大きなロータリーがあれば、市内の各方面へのバスターミナルとすることができるかもしれません。市役所が微妙に遠いのが難点ですが、医療拠点として市内全域から集客するためにはバスが1つのカギになると思います。

 介護施設等の送迎バス(ワゴン車)も同時に何台も乗り入れて乗降できるように、国道171号線側に出入口を設けると良いと思います。ここは救急車やドクターカーも利用すると良いと思います。
 敷地に入るときは迅速であるべきなので、特に救急車は国道171号線側から直接入れるメリットがあると思います。

 賃貸ビルはクリニックモールを想定していますが、ここに一般的なショップが入っても良いと思います。
 入院患者の生活を考えると美容室や眼鏡屋などが在っても良いなと思いますし、退院後の生活を考えると不動産屋もアリかなと思います。
 生活支援という面ではコインランドリーやクリーニング店のようなものがあると良いかもしれません。
 近年増えているメディカル系のジム(フィットネス)は、場所のイメージから好適にとらえられやすいかなと思います。

 クリニックモールの裏手には、もう1棟建つくらいのスペースを空けておいて、需要があれば高齢者施設を建設しても良いと思います。

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地域医療連携推進法人

 地域での合理的な病床編成をし、各院が健全な経営をできるように相互協力できるならば、それは地域にとって有意義なことだと思います。

 競い合わず、譲り合い、助け合う方法として『地域医療連携推進法人』という手段があります。

 地域医療連携推進法人とは、概念や構想のようなものではなく、実態の在る社団法人です。地域での医療機能の分担、業務連携をします。医療機関だけでなく、介護事業者も参画できます。

 地域医療連携推進法人とは、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針(医療連携推進方針)を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定(医療連携推進認定)する制度です。

地域医療連携推進法人制度について


 地域医療構想の達成及び地域包括ケアシステムの構築に資する役割を果たすために、以下のような業務を行います。

  • 病院等の開設等の業務
  • 参加法人同士又は同一参加法人内での病床融通
  • 医療連携推進方針に従い各業務事項ごとに財源を確保
  • 労働法規に則った医師、看護師等の人事交流
  • 医療従事者の資質の向上を図るための研修
  • 医薬品、医療機器等の供給
    • 医薬品、医療機器に係る調整を行う場合には、地域医療連携推進法人が一括購入を調整し、個別の購入契約については参加法人等がそれぞれ締結すること
  • 参加病院の業務に必要な資金の貸付け、債務の保証及び基金を引き受ける者の募集

 阪神医療圏の医療機関数は1,814軒、うち病院は88軒です。

 総病床数は18,447床、うち一般病床が12,366床、療養病床が3,881床、精神病床が2,154床です。全病床を地域連携推進法人の管理下に置くことは難しいですが、国公立病院だけで連携を始めるだけでも価値があるかもしれません。

 下表は阪神医療圏の国公立病院のリストと主要な病床です。合計で4,888床でした。

 常勤医1人あたりの病床数を計算すると兵庫中央病院と自衛隊阪神病院に特殊性が見られます。
 高度急性期の担い手である県立尼崎、関西労災、県立西宮は医師が担う病床数が少ないという特徴がみられます。

医療機関名称総病床病床/常勤医常勤医非常勤医
兵庫県立尼崎総合医療センター7301.77412157
独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院6423.10207363
独立行政法人国立病院機構兵庫中央病院46017.312618
公立学校共済組合近畿中央病院4454.45100124
宝塚市立病院4365.018757
市立伊丹病院4144.459365
川西市立総合医療センター4054.409283
兵庫県立西宮病院4002.1918383
三田市民病院3004.626528
西宮市立中央病院2575.714594
自衛隊阪神病院2008.002222
市立芦屋病院1995.383770

 地域だけの医療を担っている訳ではない自衛隊阪神病院、神経筋疾患など国立病院として特殊な医療を担う兵庫中央病院の2院は地域医療連携推進法人に馴染みづらいとした場合、2院を除いた病床数は4,206床です。阪神医療圏の22.8%の病床占有率になります。

 民間病院や診療所などの参画はあとから受け付けるとして、とりあえずは公立病院群で地域医療連携推進法人を立ち上げた場合、現状では4,206床の規模が確保されます。

【参考】厚生労働省:地域医療連携推進法人制度について

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地域医療の役割分担と棲み分け

 地域医療連携推進法人は、経営資源となる人材、病床、資金を互いに融通することで、地域に必要な医療を提供し続けます。

 医薬品や診療材料を共同購入して合理化、仕入値をディスカウントするということも経営には重要ですが、医業の売上となる診療での稼ぎが重要になります。

 小児や周産期は不採算なのでやめる、常勤医1人ではできることが限られている、ということであれば、その負担を法人内で分かち合うことで小児医療の持続可能性を高めることができます。
 極端に言えば、小児科の常勤医は県立尼崎に集約し、人件費などの費用は地域医療連携推進法人が負担することで、救急を含めた小児医療全般を阪神医療圏から無くさない基盤ができます。
 これが地域の民間病院の医業を圧迫するようであれば、小児医療を担う民間病院にも地域医療連携推進法人に参画してもらい、地域での棲み分けや費用負担を公平に話し合える環境を整えれば良いのではないかと考えます。

 整形外科や消化器外科は患者数が多いのでいずれの医療機関でも継続したい医療であると思います。
 それらも細かく分けていけば専門性の違いから、手術を偏重させることができます。
 バイオクリーン手術室や特殊器具を用いる手術を行う群、普遍的な設備でできる普遍的な手術を行う群の2群に分けることで、重たい設備投資の回収時期を早めたり、手術件数を増やして売上を高めたりできます。無駄な待期期間を減らす、設備や器具の回転率を高める、経営にとって重要な要素です。

 このような仕組みが無くても、臓器移植については棲み分けができています。市中の病院で臓器移植チームを持つことは無いと思いますが、移植候補者や移植後患者をケアするチームを持つ病院はあると思います。

 仮に、心臓移植チームを持とうと思った場合、ドナーの心臓を貰いに行くチームと、レシピエントへの心臓移植をするチームの2チームが常に待機していなければなりません。
 一報が入ればドナーチームはクーラーボックスを持ってドナーの居る病院へと急ぎますし、戻ってくるときの交通の手配などロジも綿密に行わなければなりません。チャーター機の手配が現金だとすれば数百万円の準備が必要であり、離陸・着陸の時刻はドナーの手術時間を見ながら調整することになります。
 このようなことが頻繁にある訳ではなく、1年に数件あるかどうかという機会のために待機させておくには、相応の費用が必要になります。
 当然ながら、心臓移植に関わる医師、看護師、臨床工学技士らに高度な技術が求められ、その高度人材を維持することも求められます。

 誰かが担わなければならない、どこかで診療できなければならないという希少性や不採算性が高い医療を考える事で、棲み分けの必要性が見えやすくなります。
 採算がとれる診療についても、細分化して棲み分けすることで合理性や専門性が高まり、利益率を高めたり、医師らの研鑽の機会を確実なものにできたりします。

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希少な医療サービス

 2000年頃に国内でも使用は始まった手術支援ロボット da Vinci は2012年の保険収載後は大病院ではなくても導入が進み希少性は低下した感があります。

 万人に適用される訳ではないが、適用すべき患者が存在する治療法や検査法が世の中には存在します。

 漢方の名医が山陰地方に居ると知れば、飛行機で訪れるという患者も少なくなく、予約が取れないという診療所があります。

 属人的なサービスは法人として採用することが難しいですが、希少デバイスであれば調達可能性があります。

 例えば、がんの放射線治療に用いられるような特殊な装置は希少性が高いです。陽子線は国内に19施設、重粒子線は6施設です。

都道府県施設名称陽子線重粒子線BNCT
北海道北海道大学病院陽子線治療センター陽子線
北海道札幌禎心会病院陽子線治療センター陽子線
北海道札幌孝仁会記念病院 札幌高機能放射線治療センター陽子線
山形県山形大学医学部東日本重粒子センター重粒子線
福島県南東北がん陽子線治療センター陽子線
福島県南東北BNCT研究センターBNCT
群馬県群馬大学医学部附属病院 重粒子線医学研究センター重粒子線
茨城県筑波大学附属病院 陽子線治療センター陽子線BNCT
千葉県国立がん研究センター東病院陽子線
千葉県量子科学技術研究開発機構QST病院重粒子線
東京都国立がん研究センター中央病院BNCT
東京都江戸川病院BNCTBNCT
神奈川県神奈川県立がんセンター 重粒子線治療施設重粒子線
神奈川県湘南鎌倉総合病院先端医療センター陽子線治療室陽子線
長野県相澤病院 陽子線治療センター陽子線
岐阜県中部国際医療センター 陽子線がん治療センター陽子線
静岡県静岡県立静岡がんセンター陽子線
愛知県社会医療法人明陽会 成田記念陽子線センター陽子線
愛知県名古屋市立大学医学部附属西部医療センター 名古屋陽子線治療センタ ー陽子線
京都府京都府立医科大学附属病院 永守記念最先端がん治療研究センター陽子線
大阪府大阪重粒子線センター重粒子線
大阪府大阪陽子線クリニック陽子線
大阪府関西BNCT共同医療センターBNCT
奈良県社会医療法人 高清会 陽子線治療センター陽子線
福井県福井県立病院 陽子線がん治療センター陽子線
兵庫県兵庫県立粒子線医療センター陽子線重粒子線
兵庫県兵庫県立粒子線医療センター付属神戸陽子線センター陽子線
岡山県岡山大学・津山中央病院共同運用 がん陽子線治療センター陽子線
佐賀県九州国際重粒子線がん治療センター重粒子線
鹿児島県メディポリス国際陽子線治療センター陽子線

 大阪重粒子線センターは、大阪城の目の前にあります。大阪城を目指したわけではなく、お隣の大阪府立病院機構大阪国際がんセンターとの相乗効果を狙っての立地だと思います。


 まだメジャーにはなっていない放射線治療に『BNCT』(ホウ素中性子捕捉療法)があります。

 市立伊丹病院の立地でBNCTが導入できるかわかりませんが、大阪大学の医学・工学の先生方の協力は得やすい立地であると考えられます。

 手術、抗がん剤(化学療法)、放射線治療など全国どこでも受けられる治療が奏功しなかった患者さんが、藁をもすがる思いでBNCTに期待するとき、全国どこからでも伊丹まで来るのではないかと思います。

 伊丹空港を上手く使ってもらえば、遠方からでも昼までに病院に到着できると思います。到着日に事前検査を終えて、その日はホテルなどに泊まり、翌日治療を受けて、またホテルに泊まる、そんなパターンが作れれば2泊3日の小旅行需要、ホテル需要を生み出せます。

 BNCT施設には入院施設は不要なので、健康診断などと同様にホテル利用で十分だと思います。

【参考】医用原子力技術研究振興財団 各粒子線施設における治療の登録患者数
【参考】大阪医科薬科大学:関西BNCT共同医療センター
【参考】United Neutron:BNCT

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これはブログ上の私見です。




市126億円+市立病院236億円

 ここまで勝手な空想や妄想を続けて来ましたが、現実としては病院建設が進んでいます。

 新病院の基本計画らしきものが、2020年と2023年に出されています。

2020年3月
2023年6月

 約3年間で激変したからということで、予算規模が変更になっています。2020年時点の資料では409億円です。人口20万人の都市には重くのしかかる金額です。


 そして3年後には562億円に変更になりました。差額は建設工事費です。


 ここで初めて知ったのですが、市負担額が126億円で、これは税金だと思います。126億円の拠出については市議会で決まったことだと思うので、税金から出されることはコンセンサスを得ています。好むか、好まざるかに関わらず、市民が選んだ市議会議員らが採決しているので、126億円については決定事項です。

 将来、課題になりそうなのが236億円です。

 市立伊丹病院負担が236億円ですが、この市立病院の開設者は伊丹市長なので、伊丹市の公営病院です。

 建替決定時に236億円の預金があった訳ではなく、債券を発行して借り入れるので、借金です。

 説明を聞いている限りは、借り入れたお金は病院の独立採算で返済できるので、市民に税負担が及ぶことはないとのことでした。

 質問で『もし、返済できない事態になったら税金から出すのか、債務不履行で閉院するのか』といった問いかけがありましたが、『そうならないように計画しています』ということで『もし』という質問には答えてもらえないのが現状のようです。

 概ね30年くらいで返していくそうですが、それを返済できると言っている根拠データが409億円のときのものなのか、562億円に膨れ上がってから精査したのか、そのあたりは明かされていないのでわかりませんが、たぶん大丈夫なのだと思います。

【参考】地域に信頼される安全で安心な医療の提供と健康づくり~統合新病院の整備工事に着手しました~
【参考】市立伊丹病院経営強化プラン 概要版
【参考】市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る基本方針 概要版

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これはブログ上の私見です。




公立で不採算なら二重苦・三重苦

 県によると、尼崎医療センターの経営状況はは厳しく、令和5年度は経常損益13億1,500万円の赤字、純損益15億3,700万円の赤字でした。前年度が11億5千万円程の黒字でしたので、落差は約25億円です。

 県立西宮病院も同様に令和5年度は経常損益10億2,800万円の赤字、純損益8億2,700万円の赤字でした。

 阪神医療圏にある県立2病院で、単年度で20億円以上の赤字が出ています。他の県立病院も赤字なので、総じて県民全体で案分する形での税負担が生じると思われます。

 2病院の経常損益は下表のとおりです。黒塗三角印はマイナス(赤字)を示します。

年度県立尼崎県立西宮
令和5年度▲13億1,500万円▲10億2,800万円
令和4年度11億4,900万円▲1億4,400万円
令和3年度29億1,300万円▲2,000万円
令和2年度20億0,900万円▲3億1,500万円
令和元年度▲2億8,100万円▲8,800万円
平成30年度3億0,600万円2億2,400万円
平成29年度2億3,400万円3億2,500万円
兵庫県病院事業の経営状況について


 県税で赤字を支払うのは、阪神医療圏という広域の医療を支えていただいている県立病院への負担なので、県民として甘受せざるを得ないと思います。

 その上で、市立病院の赤字まで負担しなければならないとなると、話が変わってきます。

 20億円を阪神医療圏の人口175万人で割ると1人あたり1,143円です。実際には法人税などが入るので個人だけが負担ではありませんが。

 市立伊丹病院は236億円を30年で返す計画だといった話を聞いたことがあるのですが、そうであれば年8億円くらいの返済です。病院収支がプラマイゼロでも8億円の返済、病院が8億円の黒字を出し続けないと債務不履行に陥ります。

 もし8億円を20万人の市民で案分すると1人4,000円です。病院は市民だけでなく市外でも外国人でも利用できますが、赤字補填は市内在住や所在企業が負担することになります。

【参考】兵庫県:令和5年度兵庫県病院事業の経営状況について
【参考】兵庫県:令和3年度兵庫県病院事業の経営状況について
【参考】兵庫県:令和2年度兵庫県病院事業の経営状況について
【参考】兵庫県:平成30年度兵庫県病院事業会計の決算

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これはブログ上の私見です。




黒字継続なら注目の経営手法

 県立病院の経常損益を見ると、良い年もあれば、悪い年もあるという感じです。

 2017年度、2018年度は数億円の黒字を出していたので、ここまでは病床規模や医療需要にマッチしていたのだと思います。

 2019年度は、第4四半期に新型肺炎(のちの新型コロナウイルス感染症)が流行しはじめ、受診控えが進行したので、赤字となった医療機関が多くありました。

県立病院の経常損益

 兵庫県立尼崎総合医療センターは病床規模が大きく、医師数も大学病院並みなので売り上げを伸ばすポテンシャルがある一方で固定費も大きくなります。病床稼働率が下がれば、大きな赤字を計上することになります。

 県立西宮病院と市立伊丹病院、近畿中央病院は病床数が400床台で近いですが、常勤医師数に2倍ほどの差が見られます。

病院名病床数常勤医師非常勤医師
兵庫医科大学病院963床491人265人
兵庫県立尼崎総合医療センター730床412人157人
独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院642床207人363人
公立学校共済組合近畿中央病院445床100人124人
宝塚市立病院436床87人57人
市立伊丹病院414床93人65人
兵庫県立西宮病院400床183人83人
西宮市立中央病院257床45人94人

 新病院は602床で計画されていますが、市立伊丹病院と近畿中央病院の常勤医がそのまま引き継がれると200人規模、関西労災病院に近い病床数と常勤医師数になります。
 関西労災病院では大阪大学の先生を多く見かけますが、それは非常勤医師数363人というところに係っているかもしれません。

 236億円の30年ローンで年8億円の返済、それが十分にできる事業計画があるということですので、医業経営関係者にとっては注目の案件です。

 市民向けには、黒字になるので安心してもらって良いという説明があるので、どこかに黒字になるストーリーが描かれていると思います。

 このご時世に、年8億円の黒字を30年間出し続けられる経営手法があるとすれば、これは皆で勉強した方が良い事案です。

【参考】市立伊丹病院:病院概要
【参考】市立伊丹病院近畿中央病院統合委員会資料, 市立伊丹病院経営強化プラン(素案)
【参考】箕面市立病院:経営状況
【参考】市立池田病院:病院指標・病院経営

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これはブログ上の私見です。




医療費逼迫の下での診療報酬改定

 高齢化は自明でしたが、コロナ禍で一気に出産数が減ったことで、想定外の速度で少子化が進んでいます。

 人口減少の一途であれば、当然ながら高齢化率は上昇しますが、一方で高齢者人口はじきに減少を始めますので、医療や介護など利用者の大半が高齢者というビジネスは縮小に傾くことは必至です。

 数字だけで言えば65歳以上の人口はあと15年ほどでピークを迎えます。その後、2055年頃に75歳以上の人口がピークに達します。
 団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年頃には介護施設の入居申込が活況かもしれませんが、その後は施設が余る想定なので新築物件は少ないと思われます。団塊ジュニア世代が75歳以上になる2050年には介護難民が続出、団塊世代が亡くなって出る空室の争奪戦になっているのではないかと思います。


 高齢者を支える現役世代、生産年齢人口は右肩下がりの勢いが止まりませんので、今のような社会保障制度は維持できない可能性が高いです。2000年頃は4対1くらいの人口比であったものが、現在は2対1まで縮小、2050年には1.5対1にも満たなくなります。

 75歳以上の高齢者が使う医療費は1人あたり90万円程だというデータがあります。自己負担と後期高齢者医療制度で5割負担、残りを現役世代が負担するような社会保障制度では、現役世代の生活を苦しめます。
 2050年には15~64歳の生産年齢人口が75歳以上人口の2倍程度までになるので、45万円を2人で案分、現役世代の所得は月2万円くらい後期高齢者のために徴収される可能性があります。

 ある程度の水準で医療を維持するには、診療報酬の対象となる医療を減らすか、個々の単価を下げる必要があります。
 単価を下げるにも限界があります。医師や看護師は免状取得までの過程が厳しく、仕事もハードなので最低賃金で働くような人は居ません。その待遇を悪化させない程度の単価維持が行われなければ医療崩壊は免れません。

 単価が下がらないとすれば、保険収載から外れるという道があります。
 湿布薬が保険から外れるのでは、という話題はよくあります。
 生命危機に及ばなそうなものから除外されていくと思いますので、例えば尿失禁手術(K823: 235,100円)や乳房再建(K022: 184,600円)などが狙われるかもしれません。そうなると泌尿器科や乳腺外科、形成外科などで症例が減るかもしれません。

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これはブログ上の私見です。




もし、返せなければ

 もしも、市立病院が借金返済が追い付かなくなって債務不履行に陥ったとき、債権者は誰かに支払ってもらおうと考えるはずです。

 公営企業債の定義は以下のようになっています。

  1. 地方公共団体が負担する債務であること
  2. 資金調達によって負担する債務であること
  3. 証書借入又は証券発行の形式を有すること
  4. 地方公共団体の課税権を実質的な担保とした債務であること
  5. 債務の履行が一会計年度を超えて行われるものであること

 市立伊丹病院が借りる企業債とは、すなわち伊丹市が負担する債務であることになりそうです。未確認情報なので、詳しい方々にご確認ください。

 236億円に利子をつけて丸々債務不履行に陥ることはないと思いますが、もし病院の赤字が続けば、1度も返済できずに破綻する可能性はゼロではありません。

 令和7年度の伊丹市一般会計予算の歳入は927億円、内市税は343億円です。歳出も927億円、内公債費が678億円、予備費1億円、災害復旧費は4千円(4,000円)です。
 歳入の内の『繰越金』は1千円(1,000円)です。万円ではなく、円です。
 あくまで予算です。
 令和5年度決算資料によれば、市の借金(地方債残高)は特例債が248億7,426万7,000円、普通債は343億2,406万4,000円、合計591億9,833万1,000円で、前年度費59億922万8,000円の減少ということです。

 借金は減っている、これは良いことだと思います。

 年間60億円の借金減ということは、それだけの資金が集まっていることになりますが、ここに236億円の借金が増えると、返済は重くのしかかることになります。

 市の支出から年8億円を新たに生み出すには、全体として事業を1%削るという考え方もあるかもしれませんが、人件費を含めて簡単には削れない項目があります。

 支出は削れないとなれば、収入を増やすしかありません。借金を借金で返す訳にはいかず、他力本願も危ういので、市税の歳入増が必要になりそうです。

 人口が減少する時代に、人口増加により住民税歳入が増えることは期待できないかもしれませんが、市民の所得が増えて歳入が増えることはあるかもしれません。

【参考】財務省:地方債制度の概要
【参考】地方公共団体金融機構
【参考】伊丹市:令和7年度(2025年度)当初予算(案) (令和6年度(2024年度)2月補正予算(案)を含む)の概要
【参考】伊丹市:決算

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これはブログ上の私見です。




病院の経営を頑張ってもらうしか

 市立病院なので、開設者が市長、市民は利用者であり後方支援者でもある、ということになります。

 64歳以下の世代は、あまり利用者という意識はないと思いますが、年齢を重ねるにつれて医療サービスを受ける機会は増えていくと思います。

 伊丹市の医療需要にピタリとマッチした病院を改めて開院すると決まっている、偉い先生方や賢い職員さんらが熟考した計画に基づいて進められていくので、市民は静観しておけば良いのだと思います。

 市立病院側の説明では、市民が借金を返済するような事態にはならないとおっしゃっていますので、むしろ黒字を出して市の会計に繰り入れられる資金が生まれるくらいの期待を持っておいても良いのかなと思います。

 お隣の宝塚市は市民からの寄付により借り入れは相当に減らすことができるか、無借金で新病院が建つかもしれません。
 お隣の西宮市は、市立病院は廃止されて県立病院が改めて開院するので、統廃合後は市が利益を得ることも借金を弁済することもないのだと思います。

 新病院、黒字の継続を期待します。

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これはブログ上の私見です。




妄想の終わり

 今回、弊社が立地する阪神医療圏の診療状況などを調査していて、ついでにブログを書くという、成り行きの記事執筆になりました。

 データについては、まだまだ深掘りしなければならない部分が多いのですが、この地域の解析を頼まれている訳では無いので、手が空いた時に分析しようと思います。

 新病院建設が進む中で、さほど競合ではないだろうと思われた宝塚市立病院が寄付によって機能強化する可能性が強まり、伊丹市民も宝塚へ流れていく可能性が高まりました。患者の争奪戦です。

 そのようなところから、ダウンサイズするとか、回復期リハビリテーション病棟を充実するとか、色々と妄想することになりました。

 結論としては、新病院構想に乗っかって、良い病院づくり、良い病院運営をしてもらうしかない、ということになりました。

 今後の動向に、注目していきたいと思います。

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