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BCP Press Release research

避難所の熱中症注意喚起について | NES株式会社

避難所の熱中症注意喚起について

 弊社では事業継続計画(BCP)策定支援事業を展開させて頂いておりますが、少しでも精緻な計画を立案できるよう根拠データの取得に努めて6月には冷凍冷蔵庫の停電後庫内温度の調査結果を公表しました。

 最高気温が35℃を超え熱中症のニュースを多く耳にするこの時期に、避難所での生活を安全に過ごすためには熱中症リスクについて把握すべきであると考え、温度測定を実施しました。

 結果の概要として、気象観測用の百葉箱で測定される公式の気温と生活上の温度には差があることがわかり、昼間で5℃程の差を確認しました。更に日なたの温度は10℃程の差があり、この日の最高温度は45℃を記録しました。体育館を模擬した日影の地表面の温度は昼夜の差が少ないものの、30℃を下回る時間はわずかであり、1日の大半を体育館の床上で過ごす場合、30℃に耐えられる身体であるかを観察し続ける必要があると考えます。

 皆様の生活に役立つ情報提供を続けられるよう、これからも努めて参りますので引き続きのご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

2019年8月10日
NES株式会社




概要

標題

避難所を想定した屋外温度調査

方法

  • 温度計を3個用意し、3箇所の温度を1分間隔で測定
  • 測定箇所Aは壁の無いテントで作った日影の高さ1mの温度
  • 測定箇所Bは1日中直射日光が当たらない日影に置いたブロックの下の地表面
  • 測定箇所Cは昼間に直射日光が当たる日なたに置いたブロックの下の地表面
  • 参考値として神戸地方気象台発表の10分毎の気温
  • 結果をグラフにまとめて考察

期間

2019年8月9日(木) 0時~24時

実験者

西 謙一(電気工事士/臨床工学技士)

場所

NES株式会社 (兵庫県伊丹市野間5-10-13)




結果

 夜間は測定する場所の違いによる温度差は少なかったが、日の出とともに温度は上昇し昼10時頃には差が顕著となりました。

 この日の神戸地方気象台発表の最高気温は13時30分の33.0℃、その頃の日なたの実測温度は45℃に達していました。
 実験場所の高さ1mの温度は最高で39.4℃となり、百葉箱で測定されたものと5℃以上の差が見られました。環境省熱中症予防サイトによると、この日の神戸の暑さ指数(WBGT)は29.9℃で『厳重警戒』レベルにありました。

 直射日光を遮るだけのテントでは日の出とともに温度は上昇し朝8時には35℃を超えました。体育館の床を模した日影地表も朝8時には33℃程になり、それが8時間以上も持続するため熱中症リスクは高いと考えられます。

 体育館で運動する場合に比べれば座って過ごす方が熱中症リスクは低くなりますが、好条件の場所であっても高温となるため看過はできません。

 日なたに置いたブロックの下では45℃を超えたため、この状況はただちに熱中症の危険が迫っているものと考えられます。
 被災者は体育館の中で待機できたとしても、救援物資や食事の運搬等で、屋外での活動を強いられる市役所職員らの熱中症リスクは相当に高く、仮に日陰で活動したとしても40℃近くまで温度が上昇しているため危険度は高いと考えられます。
 更に被災者優先の心遣いにより飲水を控える職員が居た場合、熱中症リスクを更に高めてしまう恐れがあり、BCPや災害マニュアル等でも配慮が必要であると考えます。

 本実験を通じ、気象庁発表の気温に比べ避難所の環境温度は5℃以上高温である可能性があり、熱中症リスクは相応に高まると考えます。

避難所を想定した屋外気温調査(NES)