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プログラム医療機器 | NES’s blog

 従来、ソフトウェア単体で医療機器として認められることは無く、パソコンなどのハードウェアと一体となって承認/認証を受けていました。

 2014年に施行された薬機法では、ソフトウェアを単体で流通する事を可能としました。
 すなわち、ソフトウェアも規制の対象になりました。




プログラムの医療機器への該当性に関するガイドライン

 2021年3月31日に『プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン』が厚生労働省(医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課/医療機器審査管理課)から発行されました。

 並行して、該当/非該当の事例の紹介も行われています。

 該当/非該当については厚生労働省にメールで問い合わせることができます。
 PMDAにも相談窓口がありますので、これから申請しようとする方々や、非該当品として広告を打ちたい方など、確認にご利用頂ければと思います。


 確認もせずに思い込みで開発をしてしまうと、あとで残念な結果が待っている事もあります。

 1つ明らかな事として、病院で使うから医療機器だという事はありません。

 例えば順番待ちの番号札を電子化したシステムは、ペーパーレスでウェブ上で動作するアプリも増えていますが、これは医療機器ではありません。

 処方されたお薬の情報を記録するシステムも、単に記録を保存し参照するだけなので医療機器ではありません。

受付呼出番号システム
おくすり手帳

[Link] 厚生労働省: プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインについて, 薬生機審発0331第1号, 薬生監麻発0331第15号, 令和3年3月31日

[Link] 厚生労働省: 医療機器プログラム事例データベース (Excelファイル)

[Link] 厚生労働省: プログラムの医療機器該当性の相談について, 事務連絡, 令和3年3月31日

[Link] PMDA: SaMD一元的相談窓口(医療機器プログラム総合相談)




攻めれば医療機器

 おくすり手帳は医療機器ではありませんが、そこに効果効能を謳えば規制対象となります。

 『禁煙アプリ』は日々の経過を記録するものですが、そこに助言を加えて行動変容を促すことで禁煙効果を高めるものであり、治験を実施して有効性が認められました。

 2020年に日本で初めての治療アプリとして薬事承認(製造販売承認)を受けました。

 その後の中医協(中央社会保険医療協議会)での審議を経て、保険収載されました。
 一般的に言えば患者の自己負担は3割、残る7割は保険でカバーされる事になりました。

 社会保険の仕組みを使うか否かは企業の戦略に依るので、今後は保険を使わない自由診療専用の治療アプリも出現するかもしれません。




該当性の基本的な考え方

1.医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム

  1. 診断に用いるため、画像診断機器で撮影した画像を汎用コンピュータ等に表示するプログラム(診療記録としての保管・表示用を除く)
  2. 画像診断機器で撮影した画像や検査機器で得られた検査データを加工・処理し、病巣の存在する候補位置の表示や、病変又は異常値の検出の支援を行うプログラム(CADe: Computer-Aided Detection)
  3. CADe 機能に加え、病変の良悪性鑑別や疾病の進行度等の定量的なデータ、診断結果の候補やリスク評価に関する情報等を提供して診断支援を行うプログラム(CADx: Computer-Aided Diagnosis)
  4. 放射性医薬品等を用いて核医学診断装置等で撮影した画像上の放射性医薬品等の濃度の経時的変化データを処理して生理学的なパラメータ(組織血流量、負荷応答性、基質代謝量、受容体結合能等)を計算し、健常人群等との統計的な比較を行うプログラム
  5. 簡易血糖測定器等の医療機器から得られたデータを加工・処理して糖尿病の重症度等の新たな指標の提示を行うプログラム
  6. 一つ又は複数の検査機器から得られた検査データや画像を加工・処理し、診断のための情報を提示するプログラム(例えば、眼底カメラ、眼撮影装置、その他眼科向検査機器から得られた画像や検査データを加工・処理し、眼球の組織・細胞や層構造について、形状・面積・厚さ・体積・濃度・色等を表示、形態情報との相関比較を行うプログラム)

2.治療計画・方法の決定を支援するためのプログラム(シミュレーションを含む)

  1. CT 等の画像診断機器から得られる画像データを加工・処理し、歯やインプラントの位置のイメージ画像の表示、歯科の矯正又はインプラント治療の術式シミュレーションにより、治療法の候補の提示及び評価・診断を行い、治療計画の作成、及び期待される治療結果の予測を行うプログラム
  2. 放射線治療における患者への放射線の照射をシミュレーションし、人体組織における吸収線量分布の推定値を計算するためのプログラム(RTPS: 放射線治療計画システム)
  3. 画像を用いて脳神経外科手術、形成外科、耳鼻咽喉科、脊椎外科等の手術をナビゲーションするためのプログラム
  4. CT 等の画像診断機器で撮影した画像を加工・処理して、整形外科手術の術前計画を作成するためのプログラム
  5. 画像診断機器や検査機器で得られたデータを加工・処理し、手術結果のシミュレーションを行い、術者による術式・アプローチの選択の支援や、手術時に手術機器で使用するパラメータの計算を行うプログラム (例えば、角膜トポグラフィ機能をもつレフラクト・ケラトメータで取得した角膜形状データを基に、屈折矯正手術における角膜不正成分を考慮した手術結果のシミュレーションを行い、レーザの照射データを作成するプログラム (屈折矯正手術レーザ照射データ作成プログラム))
  6. 患者の体重等のデータから麻酔薬の投与量を容易な検証ができない方法により算出し、投与を支援するプログラム



非該当ケース

1.医療機器で取得したデータを、診療記録として用いるために転送、保管、表示を行うプログラム

  1. 医療機器で取得したデータを、可逆圧縮以外のデータの加工を行わずに、他のプログラム等に転送するプログラム (データ表示機能を有しないデータ転送プログラム)
  2. 診療記録として患者情報及び検査情報の表示、編集を行うために、医療機器で取得したデータのデータフォーマットの変換、ファイルの結合等を行うプログラム
  3. CT 等の画像診断機器で撮影した画像を診療記録のために転送、保管、表示するプログラム
  4. 検査項目の入力、表示、出力を行い、患者ごとの複数の検査結果を継時的に保管・管理するプログラム
  5. 事前に入力した患者 ID や氏名等のパラメータを複数の医療機器に転送し、設定するプログラム(パラメータそのものは加工せず転送するものに限る)

2.データ(画像は除く)を加工・処理するためのプログラム(診断に用いるものを除く)

  1. 医療機器で得られたデータを加工・処理して、汎用コンピュータ等で表示するプログラム(例えば、睡眠時無呼吸症候群の在宅治療で使用する CPAP(持続式陽圧呼吸療法)装置のデータ(無呼吸・低呼吸指数、供給圧力、使用時間等)を、SD カード等から汎用コンピュータ等で読み込み一覧表等を作成・表示するプログラム
  2. 腹膜透析装置等の医療機器を稼働させるための設定値パラメータ又は動作履歴データを用いて、汎用コンピュータ等でグラフの作成、データの表示、保管を行うプログラム
  3. 検査データの有意差検定等の統計処理を行うプログラム

3. 教育用プログラム

  1. 医学教育の一環として、医療関係者がメディカルトレーニング用教材として使用する、又は以前受けたトレーニングを補強するために使用することを目的としたプログラム
  2. 教育の一環として、手術手技の実施状況を撮影し、手術室外の医局等のディスプレイ等にビデオ表示することでライブ情報を共有させるためにデジタル画像を転送・表示させるためのプログラム

4.患者説明用プログラム

  1. ① 患者へ治療方法等を説明するため、アニメーションや画像により構成される術式等の説明用プログラム

5.メンテナンス用プログラム

  1. 医療機器の消耗品の交換時期、保守点検の実施時期等の情報を転送、記録、表示するプログラム (医療機関内の複数の医療機器の使用状況等をネットワーク経由で記録・表示させるプログラムを含む)
  2. 輸液ポンプ等の医療機器の動作履歴や稼働状況の自己点検プログラム
  3. 内視鏡洗浄消毒器等の医療機器の運転履歴、機器 ID、担当者 ID 等を記録・表示するプログラム

6.院内業務支援プログラム

  1. インターネットを利用して診療予約を行うためのプログラム
  2. 総合コンピュータシステム(レセコン・カルテコン)において、入力されたカルテ情報から情報提供用文書の出力、受付、会計業務、レセプト総括発行等の集計作業を行うプログラム
  3. 医療機器の販売管理、在庫管理、入出庫管理、設置場所の管理のためのプログラム
  4. 医療機器の添付文書の集中管理を行うため、複数の医療機器の添付文書を保管・表示するプログラム

7.健康管理用プログラム

  1. 日常的な健康管理のため、個人の健康状態を示す計測値 (体重、血圧、心拍数、血糖値等)を表示、転送、保管するプログラム
  2. 電子血圧計等の医療機器から得られたデータを転送し、個人の記録管理用として表示、保管、グラフ化するプログラム
  3. 個人の服薬履歴管理や母子の健康履歴管理のために、既存のお薬手帳や母子手帳の情報の一部又は全部を表示、記録するプログラム
  4. 個人の健康履歴データを単なる記録のために健康管理サービス提供者と共有するプログラム (診断に使用しないものに限る)
  5. 携帯情報端末内蔵のセンサ等を利用して個人の健康情報 (体動等)を検知し、生活環境の改善を目的として家電機器などを制御するプログラム
  6. 携帯情報端末内蔵のセンサ等を利用して個人の健康情報 (歩数等)を検知し、健康増進や体力向上を目的として生活改善メニューの提示や実施状況に応じたアドバイスを行うプログラム
  7. 健康診断のため、氏名等の受診者情報、受付情報、検査項目、検査機器の使用状況や問診する医師のスケジュール等健康診断の実施に関する情報及び健康診断の検査・診断データを管理し、健康診断の結果の通知表を作成するプログラム
  8. 健康診断の結果を入力、保管、管理し、受診者への報告用データや結果を表形式等に作成するプログラム
  9. 保健指導の指導状況を入力、保管、管理し、実績報告のためのデータを作成するプログラム
  10. 健康診断の問診結果、受診者の生活習慣関連情報、生活習慣改善の指導状況、改善状況に関する情報を入力、保管、管理し、生活習慣の改善のために学会等により予め設定された保健指導の助言候補から該当候補を提示するプログラム

8.一般医療機器 (機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの)に相当するプログラム (新施行令により、医療機器の範囲から除外されるもの)

  1. 汎用コンピュータや携帯情報端末等を使用して視力検査及び色覚検査を行うためのプログラム (一般医療機器の「視力表」や「色覚検査表」と同等の機能を発揮するプログラム)
  2. 携帯情報端末内蔵のセンサ等を用いて、体動を検出するプログラム (一般医療機器の「体動センサ」と同等の機能を発揮するプログラム)
  3. 「ディスクリート方式臨床化学自動分析装置」等の一般医療機器である分析装置から得られた測定値を転送、保管、表示 (グラフ化)するプログラム
  4. 添付文書の用法用量・使用上の注意や、治療指針、ガイドラインなど公知の投与量の増減に対応する薬剤の投与量を提示するプログラム(薬物投与支援用プログラム)

[Link] 厚生労働省: プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について, 薬食監麻発1114第5号, 平成26年11月14日




医療機器として販売

 医療用のソフトウェアをプログラム医療機器として販売するためには薬事申請が必要になります。

 その工程には医療機器製造業、製造販売業、販売業が必要になります。


製造業

 医療機器製造業は登録制(届出制)です。
 登録申請又は登録更新申請に当たっては、必要に応じて製造所の実地確認があります。

 プログラム医療機器では組立や滅菌工程はありませんが設計工程があります。
 言い換えると『設計』のみ規制対象となります。

 プログラムをCDに書き込むような製造工程は規制対象にならない可能性がありますが、プログラミングを行ってソフトウェアとしての形にしていく工程は製造業が必要になると考えられます。

設計主たる組立
主たる製造工程
滅菌最終製品の保管
医療機器プログラム× × ×
医療機器プログラムを記録した
記録媒体たる医療機器
× ×
一般医療機器 ×
上記以外の医療機器

製造販売業

 これまで医療機器と呼ばれて来た物と同様に、高度管理医療機器や管理医療機器などの種類に応じて第一種医療機器製造版倍業又は第二種医療機器製造販売業許可を取得している必要があります。


販売業

 ネット販売であっても医療機器プログラムを販売するには販売業が必要になります。

 USBメモリやCDなど記録媒体の販売については他の医療機器と同様に取り扱う営業所ごとに許可又は届出が必要です。

 ネット経由 (電気通信回線)で提供する医療機器プログラムが高度管理医療機器ならば販売業許可が、管理医療機器ならば販売業届出が必要です。
 ネット販売について広告する場合、一般人を対象としないように留意点があります。

  1. 販売業者の氏名又は名称及び住所
  2. 電話番号その他連絡先
  3. その他必要な事項

承認/認証

 プログラム医療機器の承認/認証の申請には下図のような書類の提出が求められます。

 慣れておられる方々であれば普通に書ける書類だと思います。

[Link] 厚生労働省: 医療機器プログラムの承認申請に関するガイダンスの公表について, 事務連絡, 平成28年3月31日




実際に売れているのか?

 プログラム医療機器は実際に売れているのかわかりませんでしたが、回収情報を見て『売れているなぁ』と思いました。

 睡眠評価用の計測ソフトは約1か月で450本出荷したという記録を目にしました。

 このソフトウェアは睡眠評価という機器も診断も確立された中でのソフトウェアですが、ソフトウェア単体の医療機器が徐々に定着していっているのを感じました。

[Link] PMDA: 医療機器回収情報クラスII(医療機器), SAS計測ソフトウェア




診断から治療へ

 診断用のプログラムは散見されていましたが、治療用は2020年になってようやく承認がありました。

 製薬メーカーも開発費が抑えられ、グローバル展開しやすいデジタル治療(DTx)に開発の目を向けており、特に精神疾患の改善などは早めの上市が見込まれます。

[Link] PMDA: 審議結果報告書, 禁煙治療補助システム, 令和2年6月19日

[Link] 日本経済新聞: 禁煙アプリを保険適用 治療用は国内初、外来で活用 (2020年11月11日)

[Link] 日経XTECH: CureAppが治療用アプリの保険適用で2つの提言、従来型だと割に合わないわけ (2021年6月10日)

[Link] 日経産業新聞: デジタル治療、スマホで心動かす アステラスなど開発 (2021年6月13日)




私たちが考える今後のプログラム医療機器

リハビリ支援プログラム

 怪我をしてリハビリを受けた事がある人は感じている人も多いのではないかと思いますが、回復期間中に占めるリハビリの時間が短いという課題があります。

 入院中であっても平日に30分~1時間程度です。
 月~金で5時間リハビリを受けても1週168時間の3%です。

 外来になると週1~2回、1週間の1%程です。自宅からの通院や病院待合室に居る時間の方が長いという人も居るでしょう。

 ここで考えるリハビリ支援プログラムとは、セルフメディケーションを兼ねたものです。

 例えば、週1回の外来で診察を受けて1週間分のリハビリをプログラムして貰います。診察日は理学療法士によるリハビリを受けながら、1週間自身で行うリハビリについて指導を受けます。
 患者は次の診察日まで自身でリハビリを行います。このリハビリを支援するプログラム(アプリ)では、カメラなどを組み合わせて適正なリハビリが行われているかを観察します。
 誤った運動をすると怪我の恐れがありますので、適正な運動だけをして機能回復する点に有効性と安全性が関わります。
 想定以上に回復が早い場合は受診を促して次のステップに進む事もできますし、リハビリが奏功しなければ他の治療法を模索する事にもなります。

 リハビリとは、誰かが手を添えてゆっくり曲げ伸ばしするような方法だけではなく、椅子に座って膝を伸ばすといった患者自身の意志だけでできるものも多くあります。

 こうした支援プログラム(アプリ)は医療側から見れば、患者がどの程度のリハビリを行った上での回復状況であるかわかるため、治療方針を立てやすくなります。

 これは保険者にとってもメリットがあります。努力している人は保険負担が少ないのであれば、アプリを積極的に導入して回復を促すことができます。
 財政がひっ迫する保険制度において、保険者の負担を軽減する方法は迎合されますので、開発の価値はあると思います。


麻酔管理プログラム

 麻酔科医不足が顕在化され北日本などでは2千万~3千万円の年俸で募集をしても応募者ゼロという状況が散見されます。

 結果、1人の麻酔科医が何列もの手術を同時に管理する事になり、それが社会問題化しました。

 麻酔の目的は『麻酔すること』です。
 適正な麻酔をするためには痛みを感じないようにしつつ、呼吸抑制や循環不全を起こさないように調整しなければなりません。

 麻酔科医の判断にはバイタルサインモニタや血液検査の結果が深く関わります。
 手術の進行状況や輸血の量なども関係します。
 多くが客観的情報に基づくものであり、患者自身を目視して得る主観的情報は僅かであるとすれば、麻酔管理の補助プログラムが作れると考えます。
 一歩踏み込んで、麻酔薬の調整まで実施できると良いと思います。

 私が臨床業務に従事していた医療機関では、カテーテル室と手術室で同時に手術が行われる事が日常的でした。
 手術室に入るには着替えも必要なので、麻酔科医が手術室を離れる事は容易ではありません。
 カテーテル室では麻酔科医ではなく外科医が麻酔管理を実施している事も少なくなく、その間は本業である外科業務はしていません。

 予期せぬトラブルを想定し麻酔科医が院内に居るべきではありますが、麻酔科医を補助する麻酔管理システムはニーズがあるのではないかと思います。

 麻酔科医の人数は増やす施策をとりつつ、業務負荷は軽減できるようにすれば、麻酔科医が担い得る業務範疇が広がり、麻酔科医の多様性も広がると思います。

 個人的には、ペインクリニックが増えてくれる事を期待しています。
 私は腰痛持ち、腰椎椎間板ヘルニアですが、近所にたまたま良いクリニックを見つけられたので助かっています。病院がお休みの年末年始でも治療してもらえました。
 麻酔科医は術中麻酔だけが業務範疇ではないので、人の『痛み』の治療にも期待しています。

 ある国の医師が留学先から帰国する際、自国に帰っても同じ手術はできないと話していました。
 それはチームが無いためです。留学先と同じレベルの麻酔科医や看護師が必要なため、例えば移植術のような高度な治療ができないそうです。
 そうしたとき、医療先進国で培われたノウハウを詰め込んだ麻酔管理システムがあると、救える患者が増えるかもしれません。

[Link] 日本麻酔科学会: 麻酔科医マンパワー不足に対する日本麻酔科学会の提言 (2005年2月9日)


穿刺支援プログラム

 血管に針を刺すという行為は昔から変わりませんが、その必要性は高まっています。

 治療薬や治療法が多様化し、穿刺さえできれば治療が開始できるという状況において、穿刺を失敗したから有効な治療法を選択しなかったという事がどこまで許容されるかわかりません。

 以前、穿刺の練習モデルの開発において『お婆ちゃんの細く蛇行した血管』モデルの開発を要望しました。
 企業側からは嫌がられましたが、看護師からは歓迎されましたのでニーズがあると思います。

 高齢化によって、硬化した細い血管へのアクセスの頻度は高くなっています。
 また、日本は世界有数の乳幼児死亡率低率国であり、命は助かったものの治療を待つ児が多く居ます。発達段階の小児は血管が補足、さらに持病のある小児は発達に遅れが見られより細い血管である事があります。

 超音波診断装置(エコー)のハンディタイプが価格低下と共に臨床でも多用されるようになっています。これはハードウェアです。このデバイスは表皮より深部をモノクロ画像で見る物です。グラフィック処理により画像がカラー化される事はあります。

 一方で肉眼で見えている皮膚や血管とは異なる画像です。
 穿刺支援プログラムに求めらえる機能は、肉眼で見て穿刺すべき位置をガイドすることです。

 超音波診断装置などの体内の情報と、ウエアラブル眼鏡などの視点から見る穿刺部位の画像を組合せガイドし、さらに刺入角度を調整する機能や、血管に入った事を知らせる機能などを付加し、安全で確実な穿刺を支援するプログラムをイメージしています。

 私自身、穿刺は好きではありませんでした。
 慢性維持透析において、もし穿刺を失敗してシャント(透析用に造設した血管)を傷つけてしまったときの代償の大きさを考えるといつも緊張していました。
 シャント新設となれば1か月くらい入院する事になり、特に職を持って社会に出ている現役世代の方々には影響が大きくなります。もしかすると職を失い、生活保護の対象になってしまうかもしれません。

 医療従事者はその責任を負わされるかどうかわかりませんが、自責の念は消え去らないでしょう。

 この緊張感を少しでも和らげ、助けるツールが欲しいと思っている医療従事者は確実に居ます。

 超音波診断装置と複数のカメラを組み合わせなければできないかもしれませんが、ハードウェアを売る会社はたくさんあるので、それをつなげるハブのようなソフトウェアが出現すれば、ハード屋さんが一生懸命に販売してくれるかもしれません。


まだまだある

 プログラム医療機器に関する構想はまだまだいくつかあります。関係者からの聞き取りや、独自の市場調査を重ね、これぞという企画を生み出そうと考えています。

 筆者が後期高齢者になるまでしばらくありますが、自身が医療のお世話になる機会が増えるころまでに、必要そうなアプリが出そろう事を期待し、検討しています。




 私たちは独自に磨いた嗅覚でニーズを探索し、市場性を評価し、実現可能性を検討しています。

 私たちはコンサルティングが本業ですので、モノづくりはしません。ただし、ソフトウェア(アプリ)の場合は企画段階である程度は結果が見えてきますので、良い企画が生み出せるように検討を重ねています。

 コンサルティングや共同開発などについて、お気軽にお問合せ頂ければ幸いです。

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