実績・活動 | 医工連携コンサルティング | ME – 統合医工学 | NES株式会社

  1. [調査分析]医療市場調査(文献調査)
  2. [訪問調査]医療従事者による評価
  3. [公的調査]行政・支援機関事業受託
  4. [自社企画]COVID-19対策としての簡易陰圧システム
  5. [独自ノウハウ]3億円規模のAMED事業
  6. [医業外収入]減塩レシピ(病院にある普遍的なコンテンツを事業化)
  7. [異分野波及]褥瘡対策(クッション材の応用展開を多様化)

[調査分析]医療市場調査(文献調査)

COVID-19蒸発市場

 医療の市場動向を数字で表す調査を実施しています。

 COVID-19により影響を受けた医療は多くあります。その市場に何が起き、今後どうなるのか、次のパンデミックでは何が起きるかといったことを想像するための、根拠資料となります。

 ネブライザ医療に係る波及は大きく、医師の処方回数は4千万回減り、単純に処置料を掛けると60億円ほど蒸発しました。
 よく使われる薬剤『パルミコート吸入液』は、1社の1種類の薬剤であるにも関わらず、薬価ベースで40億円ほど蒸発しました。すなわち、医療機関の売上として40億円が蒸発、薬剤卸の売上で30億円以上が蒸発したと見ることができます。

ネブライザ診療報酬算定状況
パルミコート吸入液診療報酬算定状況

市場拡大による余地拡大

 医薬品は特許が切れると、ジェネリック薬品が出現してきます。

 その市場が大きければ、出現数も多くなります。

 ある年に行った調査では、1つの薬剤が薬価ベースで200億円以上あり、しかもそれが何種類もある市場でした。

 シェア率1%の某社だけでも薬価ベースで15億円の売上、トップの企業では400億円の売上です。
 数百億円規模でビジネスモデルを描くと後発では厳しいかもしれませんが、売上20億円を目指すモデルであれば、売上400億円の商品の5%を奪取できれば良いので、比較ても描きやすい事業計画になります。

 こうした戦略に役立つ資料を、弊社で調査しました。




[訪問調査]医療従事者による評価

製品コンセプト

 開発途上の医療機器について、そのコンセプトを専門家に聞いて回る調査は実績が多い調査です。

 調査前の依頼元とのお打ち合わせには十分な時間を費やし、質問の意図がズレないように細心の注意を払っています。

 これまでの調査では、概ね1回あたり5人の専門家、そのほとんどが現役の医師を対象に調査を行っております。

 ご依頼元は企業です。
 自社で開発されている企業もあれば、コンサル的な立場で入っている企業もあり、さまざまです。


250万人に1人の激レア医師

 日本の人口に1億数千万人に対し、医師は34万人ほどです。ざっと350人に1人が医師ということです。
 筆者の世代では小中校とも全校生徒が千人規模でしたので、1校に2~3人居る程度のレアな存在、という感覚です。

 その医師の中でも、関わった事がある人が100人も居ないようなレアな診療についての調査依頼を頂戴したことがあります。
 日本国民に換算すると120万人に1人も居ないことになります。実際調査を進めると50人程度ではないかとの推測ができたので250万人に1人というレアな人との出会いが必要になります。

 その中でも、第一人者として知られる医師は10人も居ません。1億2千万分の10未満です。

 弊社の人脈は、この激レアな中から、第一人者と言われる医師とのつながりがありました。
 弊社代表が直接知っている、一緒に仕事をしたこともある医師であったため、調査はすぐに開始でき、短期間で最高クラスのインタビュイーから情報を得ることができました。

 毎回、レアなインタビュイーとのつながりを持てる訳ではありませんが、これまで依頼に答えられなかった調査はありません。




[公的調査]行政・支援機関事業受託

経済産業省(近畿経済産業局)

 経済産業省の予算により近畿経済産業局が行った事業について、弊社が調査業務を受託しました。

 COVID-19で大きく変化した社会において、産業界がどのように反応し、どのような企業がCOVID-19対応へシフトしたのかを調査しました。

 本調査では企業訪問と医療従事者訪問を行い、現場の動向や課題について掘り下げました。

 どのような調査をすると良いのかといった企画立案から、実際にインタビューをして報告書にまとめるところまで、一貫して弊社が行いました。


経済産業省(中部経済産業局)

 経済産業省の予算により中国経済産業局が行った事業について、弊社が調査業務を受託しました。

 医療ニーズの発掘方法について、中国地方に社会実装できる仕組みをつくるために医家から意見を集めると同時に、ニーズ発信の機会を設けてその良し悪しを評価しました。

 2019秋に最初のイベント、2020年1月にもイベントを開催しましたがCOVID-19で状況が大きく変化したため、方法については見直しも必要になりましたが、地元行政・企業・医家の連携は進展させることができました。


AMED

 AMED(日本医療研究開発機構)の調査事業を受託した実績があります。詳細はお伝え出来ませんが、日本の医療機器開発の司令塔とも言える機関の仕事にも携わっています。




[自社企画]COVID-19対策簡易陰圧システム

 2020年3月、COVID-19の感染拡大が現実的となり、一斉休校が実施された事で緊張感が高まりました。

 そのような中で私たちは、病床逼迫により自宅療養を強いられる事を想定し、家族クラスター回避のための家庭用陰圧装置を開発しました。

 ニーズ調査を実施すると、医療機関では意見が割れ、感染症指定病院や大学病院等では本格的な陰圧装置を『ウォンツ』として求めていましたが、COVID-19の診療は掲げないがいつ感染者と遭遇しても良いようにと考える小規模医療機関では『ニーズ』として陰圧化さえできれば良い、という声が聞かれました。

 そこで私たちは木製の試作機であった物を、医療系設備機器の製造販売を手掛ける株式会社SISMの協力の下で金属筐体の製品に仕上げました。その期間は約1か月、4月上旬に打診してゴールデンウィークには販売できるところまで仕上がりました。

 詳しくは、特設ページもご参照ください。

構想~プロトタイピング
実施設計~試作(木製)
販売商品

[Link] 簡易陰圧システム開発ストーリー




[独自ノウハウ]3億円規模のAMED事業の申請支援・採択

医工連携イノベーション推進事業

 この事業は平成22年度補正予算の課題解決型医工連携推進事業(経済産業省)から受け継がれてきた医療機器・ヘルスケアデバイスの開発支援事業です。

 2021年の募集では1事業あたり初年度6,000万円、2年度目以降は治験があれば1億1,500万円の事業規模で補助を受けられます。


書類作成のあれこれ

 当社では、ある企業と医療研究機関とのコンソーシアムが提案する研究開発事業の、AMEDに対する提案書作成をお手伝いさせて頂きました。

 書類は課題名やプロジェクトリーダーなど基本的な事を書くところから始まり、本件がどのような事業であるのかを説明していきます。

 文字数制限のある所はしっかりと要約し、短時間で内容が理解できるように仕込みます。

 誰がどの文章を書くべきかという采配と、別々に書かれた文章の提案書内での整合をコンサルティングさせて頂きました。


国益を意識

 AMED事業は国家予算、すなわち税金が使われます。

 国民の誰も欺かない、質問には素直に答えられるような明朗な書類作成が求められます。

 隠し事が無さそうであることは最低レベル、その上で本研究の成果がいかに国益につながるか、わかりやすく説明する必要があります。

 当社には、この説明に関する経験と知識があります。


提案者の体制にも言及

 本事業は経済産業省が予算を手当てしている背景から、経済振興の色が無ければ採択されないと考えております。

 すなわち、基礎研究のような内容では文部科学省等に適した事業があるため採択されず、また希少疾患などで患者数が少ない場合には厚生労働省の事業などに応募すべきと判断される可能性があると考えられます。

 単に研究開発がしたいという内容では採択されないため、どのくらいの期間で事業化に到達するのか、商品はどのようにして医療界に浸透していくのかというストーリーを明示することが重要になります。

 そのストーリー作りにも、当社のノウハウがあります。




[医業外収入]病院にある普遍的なコンテンツを事業化

病院給食レシピ・減塩レシピ

 病院では日常業務となっている給食の提供ですが、その献立やレシピは患者の病態に合わせて研究・開発されています。

 『食べ残しがない』ことを前提に計算された栄養価や塩分量ですが、病院給食はマズイという先入観から残されてしまうこともかつてはありました。
 しかし『おいしい病院食』として食べ残しゼロを目指し、なおかつ塩分摂取量を1日6g未満、1食2グラム未満を達成できる給食レシピがありました。

 病院の意見箱においしいと投書が多くありましたので事業化を試みました。


事業は試行錯誤しながら続々と

 2010年、事業化を担当させて頂き最初は大阪ガス社長室を訪ねて料理教室での協業をスタートさせました。
 第2の事業として弁当事業を創り出しました。30品ほどが入り、1品ずつの調理工程が非常に手間のかかる内容であったため事業性を見出すには相当の苦労がありました。
 第3の事業はデジタルレシピです。調理工程を電子データ化し、スチームコンベクションオーブンの熱量などを自動制御するグローカルアイ社のシーズを活用しました。レシピ電子化を共同研究とし、電子化ができると1回100食の調理も標準化でき、手間もスキルも省力化できました。

 最後の事業としてレシピ本を発行しました。1冊1,944円のレシピ本が25万部、大きな売り上げになりました。
 出版と並行してプロモーションも強化し、発行部数を伸ばすことに成功しました。


税金を使わず国立病院が啓発活動

 本事業は売上が出たことだけが意義深いことではなく、国立高度専門医療機関のミッションとしての『循環器病の制圧』を税金を使うことなく全国展開できたことにあります。

 テレビや新聞などに広告料を支払うことなく 『減塩』を取り上げてもらえたことが、本来の事業化の目的に沿った成果でした。

 5,000万円を超える収益を生み出した本事業では、市民公開講座などの開催資金にも充当し、減塩で稼いだお金で減塩を啓発する、税金を使わない新しいビジネスモデルを創出しました。

国循のかるしおレシピ
 国立循環器病研究センターの『かるしお』レシピをつかった書籍です。
 このシリーズに初版、最初に出版した本が弊社代表のコンサル案件です。眠っていたシーズを起こし、出版をはじめとする事業化へ結び付けました。

コンサルティングのポイント

 ニーズとシーズの発掘や分析をしっかりと行いましたが、そもそも減塩に着目したのは感覚的なもの、これはビジネス化できそうなニオイがするといった勘も働いています。

 2002年から塩分6g未満/dayのレシピ開発に取り組んで苦労されてきた管理栄養士の藤田室長、調理師の竹田さん、高血圧治療の河野部長らに敬意を払い、勝手ながら対外的に減塩を広めたいという事にご理解を頂き、更にご協力も頂きました。

 企業からは共同研究として金品を支弁して頂き、病院給食という閉鎖的なシーズは、減塩レシピとして広げる事ができるようになりました。
 コンサルとして企業と何度も打合せを行い、共同研究契約に至るまでの交渉を重ね、互いに成果が得られる絵を描きました。

 『美味しい減塩食』ですので、おいしさがブランド力になると考え、おいしさを損なわないための実験も繰り返しました。
 この実験には何度もお付き合いし、企業のテストキッチンにも幾度となく通いました。


広告宣伝もコンサルの仕事

 企業と医療のマッチング、ソリューションの創出で終わりではありません。これが事業として回りだし、収益を得られなければ永続性はありません。

 全国で開催された様々なイベントに参加しました。
 主にフード・アグリ系の見本市ですが、そこで行われるプレゼンテーションや試食会のお手伝いをしました。
 保健所の皆さんにお集まり頂き、美味しい減塩食を体験していただくイベントも開催しました。

 テレビなどのマスコミも上手くお付き合いさせて頂き、自らもテレビに出る事がありました。




[異分野波及]褥瘡対策

足の裏に胼胝(タコ)

 足の裏に胼胝(タコ)ができると歩きづらいです。
 その状態でリハビリに行ってくださいと言っても、なかなか行ってくれません。

 そこでWOCナース(wound ostomy continence nurse)という皮膚・排泄ケア専門の看護師が、靴の中敷きを胼胝の部分だけ切り抜いて歩きやすいようにする、といった工夫をしてリハビリに行くように促していました。

 この靴の中敷き、有名低反発ブランド製ですと1足あたり2~3千円、持っているすべての靴にという訳にはいきませんでした。

 そこで、千円くらいでというニーズがあったのですが、たまたま、良い材料がありました。クッションを共同開発していた企業さんが売価1千円くらいでOKという事で、商品化しました。

 ビジネスモデルとしては薄利多売、患者さん1人あたり1足ではなく数足分買ってもらえる試算でした。
 それは、有名低反発ブランド製より安くした事で実現、患者さんは持っている靴の数だけ買おうという事になるので複数売れました。

 5千円で2足しか買えないなら、とりあえず1足分だけという人が、5足あるから5千円出して買う、こうなりました。


立ち仕事に良い

 この靴の中敷きは次のステージへ飛躍しました。

  病院看護部監修を明記し販売したところ、患者だけでなく立ち仕事をする方々からも反響がありました。

 人道的な立場で廉価販売していた物ですが、思わぬところでヒットしました。

 当初計画では千枚も売れれば良いなと言っていた物が、万単位の出荷数となりました。


新人もベテランも差が無く

 WOCナースの重要な仕事は褥瘡対策、床ずれから患者を守ります。

 循環動態が悪い患者は特に注意が必要であり、踵がベッドに着地しているだけでも褥瘡が起こります。
 そこで、踵を浮かせるために看護師らはタオルを上手に畳んで敷き、踵を浮かせつつふくらはぎにも負荷を掛けないように注意します。

 これが新人とベテランに差があり、若者はビクビクしながらタオルを敷いていました。

 そこで、誰がやっても同じ結果になるようにクッションを開発しました。

 効果は抜群、褥瘡は激減しました。


コンサルティングのポイント

 このストーリーは一見すると簡単そうですが、実は出会いの場を演出しています。そこが私の仕込んだところです。

 元々クッションの開発から始まっていますが、その開発の打合せはいつもICUの中、看護師が集まるナースステーションのような場所で行いました。

 すると、試作品などを持ち込んでいる姿を、開発に関わっていない看護師も見る事になり『アレができるなら、コレもやって欲しい』とニーズが次々と出てきました。

 たくさんのニーズの中から、ターゲットプライスが合いそうなものから順に手を付けていきました。
 逆に、合わなかった物は例えばベッドマット。単価が高すぎ、調達は病院全体になり現場の要望が反映されづらい、ベッドメーカーにコントロールされがち、など悪条件が出ていたので見送りました。

 それまで縁の無かった学会へも足を運び、販売戦略を立て、実践しました。


経済産業省のイベントで講演

 このビジネスの詳細は、経済産業省のイベントで講演させて頂いたことがあります。
 タイトルは『臨床工学技士による医療ニーズ発掘・医工連携推進と商品化による課題解消』です。
 開発パートナー企業の光研化成・中島彰さんにもご登壇頂きました。

[Link]第5回全国医工連携支援機関ネットワーク会議(2014年6月13日)